

この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- iDeCoは手数料負けしやすい?と言われる理由4選
- 二重の手数料構造
- 少額投資の不利さ
- 商品ラインナップの制限
- 途中解約によるリスク
- 公務員・主婦はiDeCoで手数料負けしやすい?実際どう?
- 公務員の場合
- 専業主婦(第3号被保険者)の場合
- iDeCoは手数料負けしやすいのか不安な方はFPの無料相談を活用しよう
- iDeCoで手数料負けしないための対策とは?公務員・主婦・会社員の方必見
- 可能な限り長期間(10年以上)の運用を前提とする
- 低コストのインデックスファンドを選ぶ
- 掛金を一定額以上にする
- FPなど金融の専門家に相談する
- iDeCoで手数料負けしやすい毎月の掛け金はいくら?シミュレーションで解説
- 5,000円の場合
- 10,000円の場合
- 20,000円の場合
- iDeCoで手数料負けが気になる場合は他の資産形成方法も検討しよう
- 【まとめ】iDeCoは手数料負けしやすい?と言われる理由
iDeCoは手数料負けしやすい?と言われる理由4選

iDeCoが手数料で損をしやすい理由は以下の4つです。
- 二重の手数料構造
- 少額投資の不利さ
- 商品ラインナップの制限
- 途中解約によるリスク
ここでは、iDeCoが手数料で損をしやすい理由を詳しく解説します。
それぞれの要因を理解して、効率的なiDeCo運用の参考にしてください。
二重の手数料構造
DeCoでは複数の手数料が重なるため、一般的な投資商品よりもコスト負担が大きくなりやすい仕組みになっています。
まず、発生する主な手数料を整理すると以下のとおりです。
手数料の種類 | 金額の目安 |
---|---|
事務手数料 | 月額105円 (掛金の額に関係なく発生:固定) |
資産管理手数料 | 月額66円 (掛金の額に関係なく発生:固定) |
運営管理機関手数料 | 月額0~約400円 (金融機関によって異なる:0円もある) |
信託報酬 (投資信託の場合) | 年率0.2%~1.5%程度 (運用資産額に応じて毎年発生:資産から自動控除) |
国民年金基金連合会への105円の月額事務手数料に加え、信託銀行への資産管理手数料(月額66円)が固定でかかります。少額投資だと、この固定費の比重が大きくなり「手数料負け」しやすい要因となります。
さらに、運営管理機関手数料がかかる金融機関を選ぶと負担は増加します。
たとえば月額385円の手数料が設定されている場合、基本の固定費と合わせて年間6,672円が差し引かれる計算です。
少額投資の不利さ
iDeCoの最低掛金は月5,000円ですが、この水準では手数料負けのリスクが特に高いといえます。
理由はシンプルで、掛金の額にかかわらず基本手数料は一定額かかるためです。掛金が少なければ少ないほど、手数料が占める割合が大きくなってしまいます。
基本手数料(国民年金基金連合会と信託銀行への手数料)は以下の通りです。
171円(105円+66円)×12か月=年間2,052円
月5,000円を積み立てる場合、年間の掛金総額は60,000円。そのうち基本手数料だけで約3.4%が差し引かれる計算になります。
つまり、年3.4%以上の運用益を出せなければ手数料負けになってしまうのです。
商品ラインナップの制限
iDeCoで選べる運用商品は金融機関ごとに制限されており、これが手数料負けしやすい3つ目の理由です。
通常の証券口座では数千種類の投資信託から選べますが、iDeCoでは各金融機関が用意した限られたラインナップに限定されます。
特に、低コストのインデックスファンドが十分に揃っていない金融機関を利用すると、高コスト商品しか選べず手数料負けのリスクが高まります。
途中解約によるリスク
iDeCoを途中解約する場合、手数料負けするリスクがあります。
理由は、運用期間が短いと積み立てによる運用益が十分に得られず、それまでに支払った手数料の方が受取額を上回ってしまう可能性があるからです。
そのため、iDeCoを始める際には「長期的に継続できるかどうか」を事前にしっかり検討することが欠かせません。
公務員・主婦はiDeCoで手数料負けしやすい?実際どう?
iDeCoには大きな税制上のメリットがありますが、職種によっては手数料の負担が重くなり、資産が思ったほど増えにくい場合もあります。
とくに「公務員」と「専業主婦(夫)」は、手数料負けにつながるリスクがあるのか気になるところではないでしょうか。
ここでは、それぞれの立場における状況を整理しながら、税制上のメリットと手数料の影響を踏まえた「手数料負けの可能性」と、その対策について解説していきます。
公務員の場合

公務員がiDeCoで「手数料負けしやすい」といわれるのは、掛金の上限額が比較的低く設定されていることが理由とされています。
2024年11月までは月1万2,000円が上限で、拠出額が少ない分、固定手数料の影響を受けやすい構造になっていました。
ただし、実際には公務員であっても年収が300万円以上あれば、手数料負けのリスクはそれほど高くないと考えられます。
なぜなら、公務員は給与所得に対して所得税と住民税が課税されるため、iDeCoによる税制優遇の恩恵を受けやすいからです。
【シミュレーション例:掛金5,000円/所得税率5%の場合】
・年間掛金:5,000円×12か月=60,000円
・税負担軽減額:60,000円×(所得税5%+住民税10%)=9,000円
このケースでは、年間でおよそ9,000円の節税効果が得られます。これは同期間にかかる基本手数料(約2,052円)を上回るため、長期的に見れば手数料負けする可能性は低いといえるでしょう。
専業主婦(第3号被保険者)の場合

専業主婦(夫)がiDeCoで手数料負けしやすいといわれる理由のひとつに、所得がないため税制優遇を十分に活かしにくい点があります。
iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象となりますが、そもそも所得税が発生しない場合はこの恩恵を受けられません。例えば、年収120万円(社会保険の扶養内)で働く場合、所得税の負担はほとんどなく、住民税の軽減効果のみが期待できる程度です。
試しに、掛け金月5,000円と月23,000円(上限額)でシミュレーションをしてみましょう。
掛け金額 | 月額5,000円 | 月額23,000円 |
---|---|---|
年間掛金 | 60,000円 | 276,000円 |
税制優遇額 (住民税10%) | 6,000円 | 27,600円 |
年間手数料 | 6,672円(※) | 6,672円(※) |
結果 | 手数料負けする | 手数料負けしない |
※年間手数料内訳:固定手数料 2,052円+運営管理手数料(月額385円×12ヶ月)=6,672円
このように、月額385円の運営管理手数料がかかる金融機関を選んだ場合、掛金が少ないと手数料が節税効果を上回ってしまうケースもあります。
月5,000円の積立では住民税の軽減額(6,000円)が手数料(6,672円)を下回り、手数料負けになる可能性があります。
iDeCoは手数料負けしやすいのか不安な方はFPの無料相談を活用しよう

iDeCoの「手数料負け」が気になる方は、ファイナンシャルプランナー(FP)への無料相談を活用するのも一つの方法です。
iDeCoは収入や年齢、職業などによって最適な活用法が異なるため、自分だけで判断するのは難しい場合があります。税制優遇の効果も人によって差が出るため、専門家のアドバイスが役立ちます。
マネーキャリアでは、iDeCoに関する無料相談を実施しています。経験豊富なFPが、収入や家計状況に応じて手数料負けのリスクを判断し、適切な金融機関や掛金の設定をアドバイスしてくれます。手数料が無料または低額の金融機関の選び方や、年払いで事務手数料を減らす方法など、具体的な対策も教えてもらえるでしょう。

iDeCoで手数料負けしないための対策とは?公務員・主婦・会社員の方必見

iDeCoで手数料負けを防ぐためには、いくつかの重要なポイントがあります。手数料負けしたいための対策は以下の4つです。
- 可能な限り長期間(10年以上)の運用を前提とする
- 低コストのインデックスファンドを選ぶ
- 掛金を一定額以上にする
- FPなど金融の専門家に相談する
対策を踏まえて自分に合った最適なiDeCo運用プランを見つけましょう。
可能な限り長期間(10年以上)の運用を前提とする
iDeCoのメリットを十分に活かすためには、長期での運用を前提にすることが重要といわれています。
10年以上の長期運用であれば複利効果が働き、手数料の影響を相対的に抑えやすくなります。
たとえば年利3%で運用した場合、10年で約1.3倍、20年で約1.8倍、30年で約2.4倍になる可能性もあります。
一方で短期間の運用では、毎月かかる固定手数料や商品変更時のコストが相対的に大きくなり、資産形成が思うように進みにくいこともあります。
そのため、iDeCoを始める際には「長期的な運用」を意識することが大切です。
低コストのインデックスファンドを選ぶ
手数料負けを防ぐためには、信託報酬の低い投資信託を選ぶことも大切です。
特に、年0.3%以下のインデックスファンドは長期運用において有利に働きやすいと考えられます。
インデックスファンドとは、日経平均株価やTOPIX、S&P500といった指数に連動するように運用される投資信託です。
運用担当者が銘柄を選定するアクティブファンドに比べてコストが抑えられており、多くの場合、信託報酬は年0.1〜0.3%程度に収まります。
この差は長期の積み立てほど大きく影響するため、できるだけ低コストのファンドを選ぶことがポイントになります。
掛金を一定額以上にする
iDeCoで手数料負けを抑える方法のひとつとして、掛金をある程度以上の金額に設定することが挙げられます。
口座管理手数料は掛金額に関わらず固定で発生するため、拠出額が多いほど手数料の割合は相対的に小さくなります。
目安としては、月2万円程度以上に設定すると効果が出やすいと考えられます。
たとえば、年間の固定手数料を約4,860円(月405円)としてシミュレーションすると次のようになります。
<月1万円(年間12万円)>
- 4860円÷120,000円×100=4.05%
- 4860円÷240,000円×100=2.03%
- 4860円÷360,000円×100=1.65%
月1万円と月3万円では、負担割合に倍以上の差が出るため、iDeCoでは掛金設定が資産効率を左右する大切な要素といえます。
FPなど金融の専門家に相談する
iDeCoは制度や手数料体系が複雑で、自分一人で最適な判断をするのは難しいでしょう。手数料負けを避けるためには、ファイナンシャルプランナー(FP)など金融の専門家に相談することが非常に効果的です。
専門家はあなたの年収や家族構成・ライフプランに合わせて、最適なiDeCo運用プランを提案してくれます。以下のような具体的なアドバイスが受けられます。
- 金融機関を選ぶべきか
- どのような商品に投資すべきか
- 掛金はいくらが適切か
iDeCoで手数料負けしやすい毎月の掛け金はいくら?シミュレーションで解説
iDeCoでは「手数料負け」を避けるために、毎月の掛金額が大きなポイントになります。
掛金が少ないと、毎月必ずかかる固定手数料(約171円)や金融機関ごとの運営管理手数料の負担が相対的に重くなり、さらに信託報酬などの変動コストも加わるため注意が必要です。
ここでは、以下の3つの掛金額でどの程度手数料負けのリスクがあるのかを具体的にシミュレーションします。
- 5,000円の場合
- 10,000円の場合
- 20,000円の場合
自分にとって無理のない金額設定を考えるうえでの参考にしてください。
5,000円の場合

月5,000円は、iDeCoで設定できる最低掛金額です。ただ、この水準では固定手数料の影響が特に大きく、手数料負けのリスクが高まりやすいと考えられます。
年間で6万円を拠出した場合、毎月405円の手数料は年換算で4,860円となり、手数料率は約8.1%に達します。さらに信託報酬0.5%を加えると、実質的なコスト負担は年間で約8.6%となり、資産形成への影響が無視できない水準になります。
具体的なシミュレーションを見てみましょう。
【年利3%:月5,000円を20年間運用した場合】
運用条件 | 手数料なし (個別銘柄) | 手数料あり (iDeCo) |
---|---|---|
資産額 (20年後) | 約161万円 | 約98万円 |
差額 | - | 約63万円 |
減少率 | - | 約39%減 |
平均リターンが年3〜5%という投資信託では、手数料によって運用成果がほぼ無効化されるリスクが高いです。
10,000円の場合

月10,000円の掛金は、手数料負けのリスクがまだ相当程度残るものの、月5,000円よりは状況が改善します。この金額だと、税制優遇メリットと手数料のバランスを意識することが重要です。
年間掛金は12万円、固定手数料約4,860円の割合はおよそ4.05%。さらに信託報酬0.5%を加えると、年間の手数料率は約4.55%となります。依然として一般的な投資信託と比べると高めですが、運用益が手数料を上回る可能性も出てきます。
具体的なシミュレーションで確認しましょう。
【年利3%:月10,000円を20年間運用した場合】
運用条件 | 手数料なし
(個別銘柄) | 手数料あり
(iDeCo) |
---|---|---|
資産額
(20年後) | 約322万円 | 約245万円 |
差額 | - | 約77万円 |
減少率 | - | 約24%減 |
20年間、年利3%で運用した場合のシミュレーションでは、手数料がなければ資産は約322万円です。しかし、iDeCoの手数料を考慮すると、最終的な資産は約245万円にとどまります。差額は約77万円で、率にして約24%の減少です。
20,000円の場合

月2万円の掛金は、手数料負けを抑える目安として有効とされる水準のひとつです。この金額であれば、固定手数料の影響を小さくでき、運用益や税制優遇のメリットを活かしやすくなります。
年間掛金は24万円となり、固定手数料約4,860円の割合はおよそ2.03%。ここに信託報酬0.5%を加えても、年間の総手数料率は約2.53%に収まります。この水準であれば、一般的な投資信託の平均的な運用リターンと比較しても、手数料負けのリスクは小さくなると考えられます。
具体的なシミュレーションは以下のとおりです。
【年利3%:月20,000円を20年間運用した場合】
運用条件 | 手数料なし
(個別銘柄) | 手数料あり
(iDeCo) |
---|---|---|
資産額
(20年後) | 約644万円 | 約542万円 |
差額 | - | 約102万円 |
減少率 | - | 約16%減 |
20年間、年利3%で運用した場合、iDeCoの手数料を考慮すると資産は約644万円から約542万円に減少します。差額は約102万円で、率にして約16%の減少です。金額的には最も大きな差になりますが、率で見ると最も小さい影響にとどまっています。
iDeCoで手数料負けが気になる場合は他の資産形成方法も検討しよう

iDeCoは税制優遇など大きなメリットがある一方で、掛金が少ない場合や短期間の運用では手数料負けのリスクが高まることがあります。そのため、状況によってはiDeCoだけでなく、他の資産形成方法もあわせて検討しておくと安心です。
おすすめの資産形成方法は以下のとおりです。
資産運用方法 | 新NISA | 投資信託 | REIT |
---|---|---|---|
こんな方におすすめ | ・元本を自由に引き出したい方 ・長期投資を考えている方 ・複数の投資商品を検討したい方 | ・資金を柔軟に運用したい方 ・商品の選択肢を重視する方 ・積立額を自由に設定したい方 | ・インカムゲインを重視する方 ・分散投資を考えている方 ・不動産への投資に興味がある方 |
メリット | ・運用益が非課税 ・恒久的な制度で生涯1,800万円まで投資可能 ・いつでも引き出し可能 ・商品の選択肢が多い | ・商品の選択肢が非常に多い ・入出金が自由 ・積立額の変更が容易 ・少額から始められる | ・比較的高い分配金利回り ・不動産価格の上昇による値上がり期待 ・少額から不動産投資が可能 |
デメリット | ・所得控除がない ・年間の投資枠に制限がある ・損失が出た場合の税制優遇なし | ・約20.315%の税金がかかる ・税制優遇がない ・自己管理が必要 | ・価格変動リスクがある ・分配金に税金がかかる ・市場環境により分配金が変動 |
老後資金の形成には複数の選択肢があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。自分のライフプランや目的に合わせて、どの方法を取り入れるかを検討することが大切です。
【まとめ】iDeCoは手数料負けしやすい?と言われる理由

iDeCoが「手数料負けしやすい」といわれる背景には、二重の手数料構造、少額投資での不利さ、商品ラインナップの制限といった点があります。
特に月5,000円の最低掛金では、手数料率が約8.6%に達し、シミュレーションによっては20年間で資産が約40%目減りするケースも想定されるため注意しましょう。
自分に無理のない範囲内で、手数料負けしないようにiDeCoを運用していくなら、マネーキャリアの無料FP相談でサポートを受けるのがおすすめです。
満足度98.6%、相談実績100,000件以上の実績があり、状況に合わせた最適なiDeCo運用法を提案してくれます。
iDeCoと新NISAなど他の資産形成手段の組み合わせ方も相談可能なのでお気軽にご相談ください。

iDeCoで手数料負けしないためには、適切な掛け金額の設定や低コストで運用できる金融機関選び、手数料負けしにくい運用商品選びがポイントになります!
「資産形成を始めたいけど月々の掛け金はあまり多く出せない」と悩んでいる方は、まずはマネーキャリアの無料相談窓口にご相談ください!
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