収入保障保険の基礎知識
収入保障保険とは

収入保障保険とは、被保険者が死亡または高度障害状態*¹になった場合に、遺された家族が毎月定額の保険金*²を受け取れる生命保険です。
収入保障保険の特徴は下記の通りです。
- 毎月定額で保険金を受け取れる
- ライフステージの変化に合わせた設計がしやすい
- 保険期間の経過とともに、受け取ることができる保険金額が減少する
遺された家族の生活費を安定的に支え、必要な時期に応じて柔軟に保障を設計しやすい仕組みになっています。
*¹ 高度障害状態:高度障害状態とは、両目が見えなくなるなど、約款で定められた重い状態を指す
*² 収入保障保険は一般的に毎月定額で給付される仕組みだが、契約内容によっては一時金としてまとめて受け取れる商品もある
収入保障保険と誤解されやすい保険
収入保障保険と混同されやすい保険として、「定期保険」と「就業不能保険」があります。

収入保障保険は必要保障額の減少に合わせて保険金総額が減少していく仕組みに対し、定期保険は契約期間中を通じて同額の保障が続きます。(上図参照)
下記の表でそれぞれの特徴や違いについてまとめました。
なお、保険商品によって要件が異なるため、全ての保険商品に記載内容が当てはまるわけではない点にご注意ください。
| 収入保障保険 | 定期保険 | 就業不能保険 | |
| 加入目的 | 遺族の生活費を補填 | 遺族にまとまった 資金を残す |
生存時に長期間、 働けなくなった時の生活費補填 |
| 誰のために | 遺族 | 遺族 | 本人・家族 |
| 保険期間 | 長期 (ライフプランに合わせて) |
一定期間 (10~20年など) |
長期 (10~20年など) |
| 免責期間*³ (支払対象外期間) |
なし (死亡・高度障害時に支払い) |
なし (死亡・高度障害時に支払い) |
長期 (60日/180日など) |
| 支払い条件 | 被保険者が死亡 または高度障害になった場合 |
被保険者が死亡または 高度障害になった場合 |
医師の診断に基づく 就業不能状態が継続 |
*³ 免責期間(支払対象外期間):病気やケガで働けなくなってから給付金の支払いが始まるまでの待機期間。一般的には60日や180日などが設定され、その期間は給付金を受け取れない
収入保障保険のメリット・デメリット

収入保障保険は生活費を安定的に補えるなどのメリットがある一方、受取総額が時間の経過とともに減少するなどのデメリットが存在します。
以下で収入保障保険のメリットとデメリットについてそれぞれ解説していきます。
収入保障保険のメリット
- 毎月給付により、保険金を計画的に活用できる
- ライフステージの変化に応じて柔軟に保険金を用意できる
- 保険料負担を抑えられる
- 生命保険料控除の対象
▽毎月給付により、保険金を計画的に活用できる
一般的に収入保障保険は毎月一定額の保険金が給付される保険です。
定期保険のように一括でまとまった金額を受け取る保険とは異なり、運用や管理の負担を心配する必要がないため、生活費の補填として計画的に活用しやすい点が特徴です。
さらに、毎月安定して給付を受けられることで、遺された家族の心理的負担を軽減することも期待できます。
▽ライフステージの変化に応じて柔軟に保険金を用意できる

収入保障保険はライフステージの変化に合わせて受取総額が逓減*⁴する仕組みです。
掛け捨て型であり、時間の経過とともに受け取れる保険金が減少していく仕組みのため、必要な時期に効率よく保障を備えられる点がメリットです。
一般的に子どもの成長に伴い養育費や教育費の総額は少しずつ減り、住宅ローンも返済が進むにつれて残高が減少していくため、高額な保障を必要とする期間は限定的といわれています。
各家庭の状況に応じて保障額を調整できるため、ライフステージの変化に対応した柔軟な備えが可能であり、過不足のない保障を確保できる点が魅力です。
*⁴ 逓減型保険:加入後の経過年数に応じて保障額が徐々に減っていく仕組みの保険
▽保険料負担を抑えられる
収入保障保険は、同額の保障を備えるのであれば、定期保険、終身保険より保険料負担を抑えられる傾向があります。
▽生命保険料控除の対象
収入保障保険の保険料は生命保険料控除*⁵の対象になり、年間に支払った保険料の金額に応じて、所得税および住民税の課税所得から一定額が控除されます。
控除額(所得税/住民税)は下記の通りです。
※新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額となります。
| 年間払込保険料 | 控除金額 |
| 20,000円以下 | 払込保険料全額 |
| 20,000円超40,000円以下 | (払込保険料×1/2)+10,000円 |
| 40,000円超80,000円以下 | (払込保険料×1/4)+20,000円 |
| 80,000円超 | 一律40,000円 |
参考:国税庁No.1140 「生命保険料控除 国税庁」(令和7年度)
| 年間払込保険料 | 控除金額 |
| 12,000円以下 | 払込保険料全額 |
| 12,000円超32,000円以下 | (払込保険料×1/2)+6,000円 |
| 32,000円超56,000円以下 | (払込保険料×1/2)+14,000円 |
| 56,000円超 | 一律28,000円 |
*⁵ 生命保険料控除:所得税や住民税を計算する際に、課税所得から支払った保険料を一定額差し引ける制度
収入保障保険のデメリット
- 保険期間の経過に伴い、受取総額が減少
- 掛け捨て型のため、解約返戻金がない
- 大きな支出には不向き(月額給付の場合)
- 保険金が課税対象となる場合がある
▽保険期間の経過に伴い、受取総額が減少

収入保障保険は、保険期間が満了するまで給付が続く保険です。
契約直後に給付の対象となった場合、長期間にわたり給付を受けられますが、期間の経過とともに残りの給付期間が短くなり、受取総額は次第に減少していきます。
例えば、契約直後に保障が始まればおよそ30年分の給付を受けられますが、50歳になってから保障が始まった場合は残り10年分しか受け取れません。
このようにライフステージに沿った合理性がある一方で、保険金総額が年々減っていく点には注意が必要です。
▽掛け捨て型のため、解約返戻金がない
収入保障保険は掛け捨て型のため、保険期間の途中で解約しても解約返戻金は発生しません。
そのため、貯蓄性を確保したい人は、養老保険や終身保険などの貯蓄型保険がおすすめです。
養老保険は貯蓄と保障を兼ね備え一定期間後に満期金を受け取ることができ、子どもの教育資金や老後の生活費など目標に合わせて計画的に準備できます。
一方、終身保険は一生涯の保障に加え貯まった資金を教育費にも活用できるほか、将来の長期的な資産づくりにも役立ちます。
▽大きな支出には不向き(月額給付の場合)
収入保障保険は月額給付が基本*⁶であるため、住宅購入や子どもの入学金、結婚費用などのまとまった支出には対応しづらい特徴があります。
したがって、一度に大きな資金を必要とする方には不向きな保険といえます。
*⁶ 一括受け取りが可能な商品もあるが毎月給付のメリットが薄れてしまうため、まとまった資金が必要な人は他の保険を検討することがおすすめ
▽保険金が課税対象となる場合がある

収入保障保険の給付金は受け取り方によって課税区分が異なります。一時金として受け取る場合は相続税の対象となり、基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数*⁷」と定められています。また、「500万円×法定相続人の数」までの保険金は非課税枠として扱われます。
一方、年金形式で受け取る場合、雑所得として扱われ、2年目以降の受給分に対して所得税および住民税が課税されます。
特に収入保障保険のように給付が長期に及ぶ場合には、相続税と所得税のいずれの影響も考慮する必要があるため、事前に税理士などの専門家へ相談しておくことが望ましいでしょう。
*⁷ 被相続人(亡くなった人)の財産を、遺言がない場合に民法のルールに沿って相続する権利を持つ人
収入保障保険の必要性

収入保障保険の必要性は家族構成や資産状況などによって大きく異なります。
特に、家計を一人で支えている人や、子どもが独立していない世帯、公的保障が限られる個人事業主・フリーランスにとっては重要な備えとなります。
一方で、扶養家族がいない人や、十分な貯蓄・家族の収入で生活を維持できる方にとっては優先度が下がる場合もあります。
以下で必要性が高い人と低い人に分けて整理していきます。
収入保障保険の必要性が高い人
- 家計の主な収入源である人
- 子どもが幼く、独立までの期間が長い人
- 個人事業主・フリーランス
一家の生活費や住宅ローン、教育費などを主に自分の収入で支えている場合、その収入を失うことは家族の生活基盤に大きな影響を与えます。
収入保障保険は、万一の際に毎月一定額を受け取れる仕組みを持つため、残された家族が生活費を計画的に確保できる点で有効です。家計を一人で担う家庭はもちろんですが、共働き世帯でも、一方の収入が途絶えると家計に負担がかかることがあります。
将来の生活やお子さまの進路を守る手段として、収入保障保険の検討は有効な選択肢といえます。
▽子どもが幼く、独立までの期間が長い人
子どもが小さいほど、今後長期間にわたり養育費や教育費が必要となります。
大学進学までを想定した場合、数百万円規模の教育費が必要になるケースも少なくありません。
収入保障保険は、子どもの成長に合わせて生活費を毎月補填できるため、教育や生活水準を安定的に維持するための大きな支えとなります。
▽個人事業主・フリーランス
会社員とは異なり、個人事業主やフリーランスは厚生年金に加入できないため、遺族厚生年金を受給できません。公的保障は国民年金に基づく遺族基礎年金のみであり、支給額も限定的です。
公的保障だけでは生活費を十分に賄えないケースが多いため、収入保障保険で補うことを選択肢として検討することをおすすめします。
収入保障保険の必要性が低い人
- 独身で扶養家族のいない人
- 子どもが既に独立している人
- 配偶者や家族の収入が安定している人
- 十分な貯蓄がある人
▽独身で扶養家族のいない人
扶養する家族がいない場合、自身に万一のことがあっても生活費を必要とする遺族がいないため、収入保障保険の必要性は低いと考えられます。
こうした場合には、他の保障や資産形成手段を優先することが合理的です。
▽子どもが既に独立している人
子どもの養育費や教育費といった大きな支出が終了している世帯では、必要とされる保障額は大幅に縮小します。
収入保障保険よりも老後資金や医療費への備えを重視することが望ましいでしょう。
▽配偶者や家族の収入が安定している人
配偶者や家族の収入が安定し、公的保障や貯蓄などで当面の費用をカバーできそうな場合は、収入保障保険の必要性は低めと考えられます。
住宅ローンや教育計画、育児・介護による働き方の変化も含めて不足額を試算し、判断する事をおすすめします。
▽十分な貯蓄がある人
生活費や教育費をまかなえる水準の金融資産をすでに確保されている場合、収入保障保険の必要性は低くなります。
このような状況では、保険料を支払うよりも資産運用や相続対策を重視される方が合理的といえます。
収入保障保険の選び方

保険期間
収入保障保険の保険期間は「年満了型」「歳満了型」に分かれます。
- 年満了型:加入から一定の年数で保障が終了
- 歳満了型:特定の年齢に達した時点で保障が終了
また、支払保証期間の有無によっても実際に受け取れる保障額は変動するため、併せて検討する必要があります。
支払保証期間
支払保証期間とは、保険期間満了直前に保険事故が発生した場合でも、一定期間は給付金の支払いを保証する仕組みです。
例えば5年と設定した場合、例えば保険期間満了の1年前に万一のことがあっても最低5年間の給付が保証されます。
安心感は高まりますが、支払保証期間を長くすると保険料が上昇するため、家計への影響を踏まえた設計が求められます。
保険金額の決め方

必要な保険金額の決め方は大きく分けて次の2つの方法があります。
- 被保険者の月収(賞与含む)−遺族年金
- 毎月の生活費-遺族年金
①は「現在の収入をそのまま担保し老後の貯蓄までカバーする」考え方です。
②は「最低限この金額があれば安心して生活できる」という基準で保障額を決める方法です。
ただし②の方法では、①に比べて収入保障額が少なくなるため、子どもの習い事や大学進学費用、また残された配偶者の働き方なども含めて慎重に検討する必要があります。
以下がそれぞれのケースの具体例になります。
例:30歳夫会社員年収600万円、30歳妻専業主婦(無収入)、子供3歳、子供0歳の4人家族 現在、夫に万が一があった場合
①被保険者の月収(賞与含む)−遺族年金(基礎年金+厚生年金):50万円-遺族年金(109,191+50,408)=340,401円
②毎月の生活費-遺族年金(基礎年金+厚生年金):27万円(日本人の生活費平均)-遺族年金(109,191+50,408)=110,401円
保険金の受け取り方

収入保障保険は、原則として毎月の給付を基本としています。ただし、保険商品によっては一括受取を選択可能です。
毎月給付は生活費の補填に適しており、計画的な資金管理がしやすい点が特長です。
一方、一括受取は住宅ローンの返済や入学金などまとまった支出に対応しやすい反面、資金管理が難しくなる可能性があります。
給付を一括で受け取る場合には、収入保障保険本来の役割である「毎月の生活費補填」との親和性が低下するため、定期保険など他の保険商品を選択肢に含めることも有効です。




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