この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- 教員が定年までに住宅ローンを完済するための対策
- 定年から逆算して無理のない返済期間を決める
- 教育費・老後資金とのバランスを考える
- 退職金や年金を踏まえた返済計画を立てる
- 繰上げ返済を計画的に行う
- 後悔しないために!無料FP相談で無理のない返済計画を立てよう
- 教員が定年までに完済できないとどうなる?3つのリスク
- 再雇用後の収入では返済が厳しくなる
- 退職金の大部分がローン返済に消える
- 年金生活に入ってもローンが残る
- 教員が住宅ローンを定年までに完済するための返済シミュレーション
- 40歳で4000万円・25年ローンを借りた場合
- 50歳で3000万円・15年ローンを借りた場合
- 【まとめ】教員の定年までの完済計画はFPに相談するのが安心
教員が定年までに住宅ローンを完済するための対策
教員が定年までに住宅ローンを完済するためには、次の3つの対策を意識しましょう。
- 定年から逆算して無理のない返済期間を決める
- 教育費・老後資金とのバランスを考える
- 退職金や年金を踏まえた返済計画を立てる
教員の定年は段階的に引き上げられ、2031年4月には65歳※になる予定です。定年までに完済するには、ゴールから逆算して無理のない返済スケジュールを立てることがポイントです。
ここからは、それぞれの対策について具体的に見ていきましょう。
定年から逆算して無理のない返済期間を決める
教員が定年までに住宅ローンを完済するには、無理のない返済期間と返済比率を設定することが大切です。 返済期間は、65歳までに完済できるように計画を立てましょう。 たとえば、40歳で返済を開始した場合、65歳定年であれば25年間の返済期間となります。
返済比率とは、年収に対する年間返済額の割合のことです。 この比率が高すぎると、返済が家計を圧迫し、途中で返済が困難になるリスクが高まります。 そのため、理想の返済比率は20~25%以内※に抑えるのが目安です。
教育費・老後資金とのバランスを考える
住宅ローンを返済していく中では、子どもの教育費や自分たちの老後資金も同時に準備していく必要があります。 教育費が増える時期は家計を圧迫しやすいため、早めの資金確保を意識しましょう。
たとえば、学資保険やつみたてNISAなどの制度を活用して、子どもの進学時期に学費が間に合うよう計画的に準備します。 リスクを抑えたい場合は、定期預金でコツコツ積み立てるのも一つの方法です。
老後資金については、退職金だけに頼らず、定年までに貯蓄や資産運用を組み合わせて備えましょう。 住宅ローンの返済に偏りすぎず「教育」「住宅」「老後」の3つをバランスよく確保することが、無理のない返済を続けるためのポイントです。
退職金や年金を踏まえた返済計画を立てる
住宅ローンは、退職金を返済に充てるケースも少なくありません。教員の退職金は比較的安定していますが、全額をローン返済に回すと老後資金が不足するリスクがあります。
そのため、退職金の一部を繰上返済に活用し、残りは老後の生活費や医療費の備えに充てるといったように、使い道をあらかじめ明確にしておくことが大切です。
また、年金の受給開始時期や受給額を確認し、定年後の収入見通しを立てておきましょう。年金が支給されるまでに空白期間がある場合は、再雇用制度や非常勤講師としての勤務などで収入を確保するのも一つの方法です。
繰上げ返済を計画的に行う
教員の定年が65歳とすると、40歳で返済を始めれば25年、50歳では15年しか返済期間を取れません。年齢を重ねるほど返済期間が短くなり、同じ借入総額でも毎年の返済額が増えて家計への負担が重くなります。
そのため、定年までの完済を目指す場合は、計画的に繰上返済を活用しましょう。 繰上返済を行うことで元金を減らし、利息負担を抑えながら返済期間を短縮できます。
繰上返済のタイミングとしては、 以下などが効果的です。
- 教育費の支払いが終わった後
- 子どもの独立後
- 退職金の一部を受け取った時期
ライフイベントに合わせて繰上返済を行うことで、家計への負担を抑えながら定年完済を実現できます。
後悔しないために!無料FP相談で無理のない返済計画を立てよう
定年までに住宅ローンを完済する場合でも、返済期間は長期にわたります。そのため「今の返済額で本当に大丈夫だろうか」「教育費や老後資金との両立が不安」と感じる教員の方も少なくありません。
無理なく返済を続けるには、定年時期が明確な教員だからこそ、老後の生活設計まで見据えた計画が必要です。しかし、自分だけで試算すると、繰上返済のタイミング、退職金の活用方法、住宅ローン控除との兼ね合いなど、判断が難しい部分も多くあります。
教員が定年までに完済できないとどうなる?3つのリスク

教員が住宅ローンを定年までに完済できない場合は、いくつかのリスクが発生します。主に以下のリスクです。
- 再雇用後の収入では返済が厳しくなる
- 退職金の大部分がローン返済に消える
- 年金生活に入ってもローンが残る
それぞれ、具体的リスクの内容はなにか、そしてどのように対処して備えておけばよいか見ていきましょう。
再雇用後の収入では返済が厳しくなる
教員でも、定年後に再雇用として働ける場合があります。再雇用では、契約社員や嘱託として雇用されることが多く、給与は定年前の6〜7割※程度になるケースが一般的です。
収入が減ることで、定年後も住宅ローンの返済を続ける場合、家計への負担が増加します。さらに、老後は医療費も増える傾向があるため、返済と生活費の両方で家計に圧迫がかかる可能性があります。
退職金の大部分がローン返済に消える
定年時に住宅ローンの残高が多いと、退職金で一括返済することになる可能性が高くなります。退職金は本来、老後の生活資金として重要なお金です。しかし、ローン返済に充ててしまうと、老後資金が一気に不足してしまいます。
老後資金が足りない場合、再雇用などで定年後も働く必要が出てくるかもしれません。本来は自由に過ごせるはずの時間も、働くことで犠牲になってしまいます。お金だけでなく、時間の自由も失われるリスクがあることを忘れてはいけません。
年金生活に入ってもローンが残る
教員生活を終え、年金生活に入ったとしても、定年までに住宅ローンを完済していなければ、返済の負担が続きます。年金だけで生活費とローン返済を両立させるのは難しく、老後の生活に不安を抱える可能性が高まります。
さらに、老後には医療費や介護費など、予期せぬ出費も発生します。住宅ローンの返済負担が大きいと、これらの費用を賄えず、生活の質を下げざるを得ないケースもあります。最悪の場合、住宅や車などの資産を売却して支出をまかなうことになりかねません。
教員が住宅ローンを定年までに完済するための返済シミュレーション
ここからは、実際に何歳から住宅ローンの返済を始めた場合に、毎月の返済額がどれくらいになるかをシミュレーションしてみます。
シミュレーションするケースは、以下の2つです。
- 40歳で4000万円・25年ローンを借りた場合
- 50歳で3000万円・15年ローンを借りた場合
※定年は65歳と仮定
さらに、頭金の有無によって返済額がどれくらい変わるかも比較します。
40歳で4000万円・25年ローンを借りた場合
40歳で4,000万円のローンを25年返済で借りた場合のシミュレーションです。金利は全期間固定の1.0%とします。
| 項目 | 頭金なし | 頭金1割 | 頭金2割 |
|---|---|---|---|
| 借入額 | 4,000万円 | 3,600万円 | 3,200万円 |
| 返済期間 | 25年 | 25年 | 25年 |
| 金利 | 1.0% | 1.0% | 1.0% |
| 毎月返済額 | 150,749円 | 135,674円 | 120,599円 |
| 年間返済額 | 1,808,988円 | 1,628,088円 | 1,447,188円 |
| 総返済額 | 45,224,695円 | 40,702,225円 | 36,179,756円 |
頭金なしの場合、総返済額は4,000万円よりも約500万円多くなります。一方で、頭金を2割(約800万円)用意した場合は、総返済額が4,000万円よりも約400万円少なくなります。
頭金を多く用意するほど、毎月の返済額が減り、返済負担を軽くする効果があります。
ただし、小学校教員の平均年収は約640万円※1であるため、頭金800万円を用意するのは現実的には難しいケースも多いでしょう。
50歳で3000万円・15年ローンを借りた場合
50歳で3,000万円のローンを15年返済で借りた場合のシミュレーションです。金利は全期間固定の1.0%とします。
| 頭金なし | 頭金1割 | 頭金2割 | |
|---|---|---|---|
| 借入額 | 3,000万円 | 2,700万円 | 2,400万円 |
| 返済期間 | 15年 | 15年 | 15年 |
| 金利 | 1.0% | 1.0% | 1.0% |
| 毎月返済額 | 179,548円 | 161,594円 | 143,639円 |
| 年間返済額 | 2,154,576円 | 1,939,128円 | 1,723,668円 |
| 総返済額 | 32,318,704円 | 29,086,833円 | 25,854,963円 |
頭金を用意すれば、1割でも2割でも、頭金なしの場合より毎月の返済額を抑えられます。返済期間が15年と短いため、頭金なしでは毎月の返済額が高額になり、現実的ではありません。
定年までに住宅ローンを完済するためには、ある程度の頭金を用意しておくことが望ましいです。ただし、頭金があっても返済額は高くなるため、無理のない返済計画を立て、返済が難しくなるリスクも考慮しておきましょう。
【まとめ】教員の定年までの完済計画はFPに相談するのが安心
住宅ローンの返済計画は、給与・ボーナス・退職金・年金といった「教員ならではの収入の流れ」を踏まえて立てることが重要です。ローンは複雑な要素が絡むため、専門知識のあるFPに相談すると安心です。
マネーキャリアでは、定年まで無理なく完済できるローンのシミュレーションや、繰上返済の最適なタイミングを具体的に提案してもらえます。教育費や老後資金とのバランスに不安がある場合も、FPの客観的なアドバイスを受けることで、安心して将来設計を描けます。