
内容をまとめると
- 年収600万円の世帯でも、生活費の見直しや貯蓄活用、自治体の就学支援制度を利用すれば私立高校への進学が可能である
- 私立高校の授業料だけでなく、教材費や通学費、施設費など様々な費用がかかるため、無償化制度や自治体独自の支援策の活用が重要
- 所得制限や各種控除の適用によって無償化支援の受給額は異なるため、正確な支給額を把握し計画的に教育費を準備することが必要
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この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- 年収600万で私立高校に通わせることは可能か
- 年収600万でも工夫をすれば私立高校に通わせることは可能
- 私立高校における年収600万円世帯の割合
- 年収600万円で私立高校に通わせる場合の費用の目安
- 私立高校の授業料や施設費などの費用
- 授業料以外で発生する教材費や交通費
- 年収600万で私立高校に通わせる世帯が利用できる国の支援制度
- 高等学校等就学支援金制度の内容と支給条件
- 私立高校無償化の2025年の制度変更と2026年の最新動向
- 年収600万円世帯の私立高校無償化の自己負担額をシミュレーション
- 年収や家族構成別にもらえる支援金額の試算方法
- 年収600万世帯が利用できる自治体独自の支援制度もある
- 年収600万円の家庭の家計や貯蓄計画はFPに相談しよう
- 年収600万で私立高校に通わせるに関するよくある質問
- 高校無償化の所得制限は何を見れば分かりますか?
- 高校無償化で所得制限の裏ワザはありますか?
- まとめ
年収600万で私立高校に通わせることは可能か
私立高校に子どもを通わせるには年間で80万円以上の費用がかかるケースもあり、年収600万円世帯では費用面での工夫や公的支援の活用が欠かせません。
この章では、年収600万円の家庭が私立高校進学を実現するための現実的な可能性を見ていきます。
年収600万でも工夫をすれば私立高校に通わせることは可能
年収600万円の家庭でも、生活費の見直しや貯蓄を活用、さらに自治体の就学支援制度を利用することで私立高校への進学は可能です。
私立高校に進学するためには、授業料以外にも教材費や施設費がかかりますが、無償化制度の適用で授業料負担は軽減されます。
例えば東京都や大阪府などの自治体では独自の支援制度を設けているところもあります。
教育費が家計に与える影響を踏まえ、将来の教育計画を早めに立てることが重要です。
私立高校における年収600万円世帯の割合
文部科学省の子供の学習費調査による、私立高校に通う子供の年収の割合は以下のとおりです。
年収階層 | 割合 |
---|---|
~399万円 | 16.3% |
400~599万円 | 17.6% |
600~799万円 | 19.7% |
800~999万円 | 22.9% |
1,000万円~1,199万円 | 29.3% |
1,200万円以上 | 62.0% |
私立高校に通う子どもの家庭の年収層は幅広く分布しています。
年収600万円〜799万円の家庭は約19.7%を占めており、私立高校進学者の中で比較的多い層です。
一方で、年収800万円以上の家庭の割合も高く、800万円〜999万円が約22.9%、さらには1,000万円以上の高所得層が数割を占めています。
これらのデータから、年収600万円台の家庭も一定の割合で私立高校に進学していることがわかります。
ただし年収が上がるほど私立高校進学が多い傾向にあり、年収600万円台の家庭は費用負担を工夫しながらの進学が多いことも想像されます。
年収600万円で私立高校に通わせる場合の費用の目安
私立高校に進学する際には、授業料や施設費などの基本的な支出に加え、教材費や交通費なども必要です。
年収600万円の家庭が準備すべきおおよその費用を全体像で把握し、無理のない計画を立てましょう。
以下で具体的に費用の内訳を見ていきます。
私立高校の授業料や施設費などの費用
文部科学省の令和5年度子供の学習費調査によると、私立高校の年間の学習費総額は約103万円です。
このなかで主に占める学校教育費、つまり授業料や施設費などは大きな割合を占めており、入学金なども含めると初年度は特に高額になります。
23万円の授業料のほか、施設整備費や校納金などが年間約15万円前後かかる可能性があります。
学校によっては施設費の支払いが年初だけでなく継続的に必要なケースもあるため、詳細は各校の案内を確認して準備しましょう。
これらの費用は家計にとって大きな負担となるため、早めの貯蓄や補助制度の活用が欠かせません。
授業料以外で発生する教材費や交通費
授業料以外にも私立高校にかかる費用は多岐にわたります。
令和5年度の調査によると、教材費や教科書、実験材料費などが約7万円、クラブ活動や学校行事にかかる費用は約6万円です。
さらに通学費用も年間約14万円と、これらを合計すると30万円近くの追加支出が見込まれます。
また修学旅行費などの特別支出も発生するため、全体の費用も家計に加味して資金計画を立てる必要があります。
事前に学校から具体的な費用見積もりを入手し、計画的に準備することが家計の安定につながります。
年収600万で私立高校に通わせる世帯が利用できる国の支援制度
私立高校に通う家庭の授業料負担を軽減する国に制度が整っています。
特に年収600万円台の世帯は高等学校等就学支援金制度が活用できる可能性が高いです。
ここでは、高等学校等就学支援金制度の内容と受給条件について詳しく説明します。
高等学校等就学支援金制度の内容と支給条件
高等学校等就学支援金制度は、授業料の負担軽減を目的に設けられています。
主に以下の学校に通っている子供が対象です。
- 国公私立の高等学校(全日制・定時制・通信制)
- 中等教育学校の後期課程(中学課程を除く)
- 特別支援学校の高等部
- 高等専門学校(1~3学年)
- 専修学校の高等課程
- 専修学校の一般課程
私立高校の場合、世帯の課税所得が590万円未満であれば年間最大39万6,000円が支給されます。
世帯年収が590万円を超え910万円未満であれば年間約11万8,800円です。
支給金は学校へ直接支払われるため、保護者が授業料の費用を立て替える必要はありません。
支給額は家族構成や働き方によって異なり、毎年度収入審査が行われます。
このように支給条件を満たし申請を行うと、高等学校等就学支援金制度の支援が受けられ、学費負担を抑えられます。
私立高校無償化の2025年の制度変更と2026年の最新動向
2025年から私立高校の無償化制度に大きな変化があり、これまでは所得制限があった支援が拡充されました。
所得910万円以上の世帯も高校生等臨時支援金として年間11万8800円の支援を受けられます。
2026年には所得制限が完全に撤廃され、全ての世帯が対象となる見込みで、私立高校への支援上限額も私立高校の全国平均授業料相当の45万7000円に引き上げられます。
これにより、私立高校の授業料実質無償化が全国的に実現され、経済的理由による進学の制約の大幅な緩和が期待されています。
年収600万円世帯の私立高校無償化の自己負担額をシミュレーション
私立高校の無償化制度は世帯の年収や家族構成、地域によって支援金額が異なります。
私立高校に通わせるための教育費の自己負担額を正確に把握するためには、これらの条件に応じた支給額の試算が欠かせません。
ここでは年収や家族構成による計算方法と、地域別の支援金額の違いを詳しく解説します。
年収や家族構成別にもらえる支援金額の試算方法
私立高校無償化支援金の支給額は、高等学校等就学支援金制度に基づき、課税所得や控除を反映した所得算定によって決まります。
- 保護者の課税所得額×6%-市町村民税の調整控除額
上記の計算結果が30万4,200円未満であれば支援の対象と判断され、課税所得が少ないほど支援金額が多いです。
例えば、同じ世帯年収600万円でも以下のように共働きと片働きで利用できる控除が異なり、控除の有無に伴い課税所得も変わるため、支給される支援金が異なります。
世帯の働き方 | 共働き | 片働き |
---|---|---|
利用できる控除 | ・給与所得控除(夫婦それぞれに適用) ・基礎控除(夫婦それぞれに適用) ・社会保険料控除(夫婦それぞれに適用) ・扶養控除 ・医療費控除 ・生命保険料控除など各種個別控除 | ・配偶者控除 ・配偶者特別控除 ・給与所得控除(収入のある配偶者のみ適用) ・基礎控除 ・扶養控除 ・社会保険料控除(収入のある配偶者のみ適用) |
課税所得のイメージ | 約350万円〜450万円程度 | 約450万円〜530万円程度 |
支給される支援金額 (目安) | 上限の39万6,000円程度支給される可能性が高い | 支給額は共働きより減少し、20万円〜30万円台になる場合がある |
片働き世帯では同じ年収600万円でも控除の違いで課税所得が高めに出るケースがあり、その場合支給額は少なくなります。
このように、高等学校等就学支援金制度の支援額は、単なる年収だけで支給額を判断できるものではありません。
扶養家族数や各種控除が課税所得に反映される仕組みのため、正確に支給額を把握したい方は、住民税の課税証明書を確認したり、自治体の窓口やファイナンシャルプランナーに相談するのがおすすめです。
高等学校等就学支援金制度の支給判定に関わる課税所得の主な控除種類と概要は、以下のとおりです。
控除の種類 | 説明 | 控除額の目安 |
---|---|---|
基礎控除 | 収入がある全員に適用される基本的な控除、 所得から一律に差し引かれる | 48万円 |
配偶者控除 | 所得の低い配偶者がいる場合に適用。 共働き世帯では適用されにくい | 最大38万円 |
扶養控除(一般扶養) | 高校生を含む扶養家族がいる場合の控除、 人数分適用される | 33万円/1人 |
特定扶養控除 | 9歳~22歳の扶養親族向け、 高校生の年齢層を含む | 45万円/1人 |
社会保険料控除 | 健康保険や年金保険料を支払っている場合に対象 | 実際支払額に応じた控除 |
医療費控除 | 一定額以上の医療費を支払った際に利用可能 | 支払い超過分の一部控除 |
生命保険料控除 | 生命保険料を支払っている場合に適用 | 上限あり |
調整控除 | 住民税の算定上の調整として差し引かれる控除 | 個別に異なる |
これらの控除額を収入から差し引いた後の課税所得をもとに、支給対象かどうかや支給額が決定されます。
各種控除が多いほど課税所得が減り、支給金額が増える仕組みです。
年収600万世帯が利用できる自治体独自の支援制度もある
国の高等学校等就学支援金制度は全国共通であり、公立や私立高校に通う世帯に対し一定の所得制限などを基に授業料支援を行う仕組みです。
しかし、都道府県や市区町村などの自治体が独自に上乗せ支援や補助制度を設けているケースもあるため、実際の支援内容や支給額には地域ごとに違いがあります。
例えば東京都では、2024年度から所得制限が撤廃され、私立高校の授業料はほぼ無償化されました。
支援金の上限は約48万4,000円です。
都外の私立高校に進学しても対象になり、授業料が上限以下の学校では実質的な負担はほぼありません。
一方大阪府は、2026年度までの段階的な導入を経て、全学年での私立高校授業料無償化を目指しています。
大阪の支援は授業料全額を支給する形で、自己負担ゼロに近い仕組みですが、対象となるのは大阪府内の指定校に限られます。
制度の利用条件や申請方法も自治体によって多少異なるため、住んでいる自治体の最新情報を確認することが重要です。
年収600万円の家庭の家計や貯蓄計画はFPに相談しよう
年収600万で私立高校に通わせるに関するよくある質問
年収600万円世帯でが私立高校へ通っている方や通学を検討している方が抱きやすい疑問や不安をまとめました。
- 高校無償化の所得制限は何を見れば分かりますか?
- 高校無償化で所得制限の裏ワザはありますか?
わかりやすく解説します。
高校無償化の所得制限は何を見れば分かりますか?
高校無償化の所得制限は、保護者の課税所得を基に判断されます。
具体的には、年収ではなく住民税などに基づく課税標準額や課税所得で判定され、世帯の収入の合算額を使います。
例えば、共働き世帯では両親の収入を合計して基準に当てはまるかどうかを確認します。
所得制限の目安はおおむね年収910万円未満ですが、扶養人数や控除の状況によって変動するため、住民税課税証明書などで課税所得の詳細を確認すると正確です。
また、市町村から送られてくる所得証明書の数字も重要です。
これらを総合して支援の対象かどうか決まります。
高校無償化で所得制限の裏ワザはありますか?
高校無償化の所得制限に関して裏ワザとして誤解されがちなものはありますが、法的に認められた抜け道はありません。
家計の収入を意図的に少なく見せる行為や虚偽申告は禁止されており、発覚すれば支援金の返還を求められる場合もあります。
一方で、勤務先の扶養控除や保険料控除などの所得控除を適切に活用することで、課税所得を正しく減らすことは可能です。
課税所得が減ると、支援を受けやすくなるケースもあります。
こうした節税対策を行う際は、専門家に相談しながら計画的に進めることをおすすめします。