
「出産手当金って、もらえないケースがあるの?」
「損をしないように正しい知識を得たい」
そんな疑問や不安を感じている妊娠中の方は多いでしょう。
結論からお伝えすると、出産手当金を受け取るには健康保険に加入し、なおかつ仕事を休業している方など、明確な受給条件を満たす必要があります。
この記事では、出産手当金がもらえないケースや、もらえるための条件、さらに出産前後にもらえる他のお金も分かりやすく解説します。
・「自分が出産手当金の対象かどうか知りたい」
・「手当がないと家計が不安……。他に使える制度はある?」
そんな不安がある方は、本記事を読むことで必要な手当や支援制度を正しく理解し、出産に向けた家計準備がスムーズに進められるようになります。
内容をまとめると
- 出産手当金は一部例外を除いて被扶養者や国保加入者はもらえない
- 健康保険に加入していて、出産のために休業すれば受給可能
- 出産前後にはほかにも活用できる制度がある
- マネーキャリアでは、出産前後の制度活用や家計見直しを相談可能

この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
出産手当金がもらえないケースとは?
出産手当金は出産するすべての方が対象なのではなく、受給するには一定の要件を満たす必要があります。
以下の条件に該当する場合は、出産手当金が支給されません。
- 配偶者の扶養に入っている
- 国民健康保険に加入している
- 健康保険を任意継続している
- 休業中に給与を受け取っている
- 申請期限の2年を過ぎている
それぞれのケースを順に確認していきましょう。
配偶者の扶養に入っている
配偶者の扶養に入っていると、出産手当金は原則として受け取れません。
出産手当金は、健康保険の被保険者である労働者本人を対象とした制度です。
そのため、出産前に会社を退職して夫の扶養に入った場合は、受給資格を失うことになります。
国民健康保険に加入している
国民健康保険には出産手当金の制度がなく、自営業・フリーランスの方は対象外です。
出産前に会社を辞め国民健康保険に切り替えた場合も、手当金の受給資格はなくなります。
健康保険を任意継続している
任意継続被保険者は、原則として出産手当金の新規受給対象ではありません。
任意継続とは、退職後も勤めていた会社の健康保険に2年間加入し続けられる制度のこと。
任意継続被保険者になると、保険そのものには加入しているものの「労働者としての立場」ではなくなります。
休業中に給与を受け取っている
産前産後の休業中に給与を受け取っている場合は、出産手当金の一部または全額が支給されない可能性があります。
なぜなら、出産手当金は「給与の支払いがない期間」の所得保障を目的としているからです。
休業中に給与が支払われていれば、手当金の金額はその分差し引かれるか、支給自体が行われません。
2年の申請期限を過ぎている
出産手当金には申請期限があり、2年を過ぎると原則受け取れません。
具体的には、「出産手当金の支給対象期間の翌日(=休業開始日)」から起算して2年以内に申請を行う必要があります。
この期限を過ぎてしまうと、たとえすべての要件を満たしていても、受給資格は失われてしまいます。
出産手当金がもらえる条件とは?
以下の条件に該当する方は、出産手当金をもらえます。
- 自分で会社の健康保険に加入している
- 妊娠4か月(85日)以降に出産している
- 出産を理由に仕事を休んでいる
これらの条件を、以下で詳しく確認していきましょう。
自分で会社の健康保険に加入している
出産手当金は、健康保険(被用者保険)に加入している会社員などの「被保険者」に支給されます。
配偶者の扶養に入っている方や、自営業で国民健康保険に入っている場合は対象外です。
妊娠4か月以降に出産している
妊娠4か月(85日)以降の出産であれば、出産手当金の受給対象です。
たとえ流産や死産・人工妊娠中絶などでも、妊娠4か月(85日)以降なら同様に支給されます。
具体的には、「1ヵ月=28日」と換算され、28日×3ヵ月+1日=85日目が妊娠4か月目の初日と定義されます。
出産のため休業している
出産手当金は、出産を理由に仕事を休んでいることが前提です。
したがって、実際に勤務を続けている場合や、休業していても給与が支払われている場合は、支給額が減額されたり受給できなかったりします。
出産前後でもらえるお金
- 傷病手当金
- 出産育児一時金
- 高額療養費制度
- 育児休業給付金
- 児童手当
傷病手当金
傷病手当金は、妊娠中の体調不良で仕事を休んだときに活用できる制度です。
つわりや切迫早産などで働くことが難しい状況であっても、収入を一部カバーできます。
自分で健康保険に加入していることが前提で、連続する3日間の欠勤を経た4日目からが支給対象です。
出産育児一時金
出産育児一時金は、出産費用を補助する目的で支給されます。
健康保険に加入していれば誰でも利用でき、子ども1人につき原則50万円(令和5年4月以降)が支給されます。
国民健康保険でも支給されるため、自営業・フリーランスの方も対象です。
参照:全国健康保険協会
高額療養費制度
高額療養費制度は、出産にかかる医療費が高額になった場合に利用できます。
帝王切開や吸引分娩などの異常分娩、妊娠中の入院治療(妊娠悪阻・切迫早産など)で医療費が高額になった場合が対象です。
自己負担額が一定の上限を超えた場合、超えた分が後日払い戻されます。
育児休業給付金
育児休業給付金は、育児休業中の家計を支えるための制度です。
雇用保険に加入している方が対象で、育児のために仕事を休んでいても、一定の収入を確保できます。
支給額は、原則として休業開始から180日間は「休業前賃金の67%」、その後は「50%」です。
児童手当
児童手当は、子育て家庭に毎月支給される公的手当です。
子ども1人につき、年齢に応じて月額1万円〜1万5,000円が支給されます。
出産手当金に関するよくある質問
出産手当金について、よくある質問をご紹介します。
- 出産手当金の支給期間は?
- 出産手当金でもらえる金額は?
- 出産手当金はどうやって申請する?
それぞれの疑問について、順に確認していきましょう。
出産手当金の支給期間は?
出産手当金でもらえる金額は?
出産手当金でもらえる金額は、休業1日あたり「標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3」です。
標準報酬月額は、過去12ヵ月間の月収(社会保険料の計算基準)を平均して算出されます。
出産手当金はどうやって申請する?
出産手当金の申請方法は、勤務先を通じて行うのが一般的です。
会社員の場合、会社が手続きを進めてくれるケースが多く、申請書類も一括して提出できます。
申請に必要な書類には、本人が記入する部分と医師や助産師による証明欄が含まれているため、計画的に準備しましょう。