この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
>> 井村 那奈の詳細な経歴を見る
この記事の目次
- 年収1000万円でも生活が苦しいのはなぜ?主な理由5つ
- 税金・社会保険料の負担が大きく手取りが減るため
- 公的手当や給付金が減額・対象外になる場合があるため
- 住宅ローンや家賃が家計を圧迫しているため
- 子どもの教育費が家計を圧迫しているため
- 車やブランド品などの見栄消費が多い
- 年収1000万円こそ家計の見直しが必要!プロと一緒に家計の最適化をしよう
- 見栄消費をやめて年収1000万円の生活を最適化する家計の見直しポイント4つ
- 現状の収支を把握して、無駄な支出を削減する
- ライフプランの作成と貯蓄プランを設定する
- 貯蓄と資産運用のバランスを考える
- ふるさと納税を最大限活用する
- 年収1000万円の方の家計改善でよくある失敗例とは?現役FPに聞いてみた【座談会】
- 他の家庭の事例を参考にしすぎてしまうケース
- 生活が苦しい根本原因を理解できていないケース
- マネーキャリアの無料FP相談で効率的に家計の見直しをしよう
- 【実際どう?】年収1000万円以上の家庭にアンケート調査を実施
- どの支出項目が最も家計を圧迫していますか?またその月額平均は?
- 家計にゆとりを持たせるために実践していることは何ですか?
- 【まとめ】年収1000万円で生活が苦しい世帯は今すぐ家計の見直しをしよう
年収1000万円でも生活が苦しいのはなぜ?主な理由5つ
年収1000万円というと高収入のように思えますが、税金を引くと手取りはある程度少なくなります。
さらに以下のような理由で、生活が苦しいと感じる人も少なくありません。
- 税金・社会保険料の負担が大きく手取りが減るため
- 公的手当や給付金が減額・対象外になる場合があるため
- 住宅ローンや家賃が家計を圧迫しているため
- 子どもの教育費が家計を圧迫しているため
- 車やブランド品などの見栄消費が多い
税金・社会保険料の負担が大きく手取りが減るため
年間1000万円だと、税金や社会保険料などを引いたときの月間の手取りと年間の手取りはいかのようになります。
- 月間の手取り:約60万円
- 年間の手取り:約720万円
年収1000万円といっても、その12分の1がそのまま手取りになるわけではありません。
なぜなら、累進課税制度により所得税率が高くなるため、額面と手取りの差は大きくなります。
年収1000万円と900万円では、手取りや税金、社会保険料にどれほどの差があるのか、以下の表で比較してみましょう。
ここでは、ボーナスなし・配偶者なしという条件で試算しています。
| 年収 | 1000万円 | 900万円 |
|---|---|---|
| 月収 | 約83万円 | 約75万円 |
| 住民税 | 約63万円 | 約53万円 |
| 所得税 | 約81万円 | 約62万円 |
| 社会保険料 | 約57万円 | 約52万円 |
| 手取り(月額) | 約60万円 | 約54万円 |
公的手当や給付金が減額・対象外になる場合があるため
公的手当や給付金は、一定の収入を超えると減額になったり、利用できなくなったりします。
年収1000万円の世帯が影響を受けるのは、主に以下の制度です。
- 児童手当:月5000円に減額
- 高校無償化が対象外
- 医療費助成の子ども医療費の負担増または対象外
- 非課税樹民世帯向け給付金の対象外
さらに、国民健康保険料や介護保険料が高くなるケースもあり、自治体によっては保育料が最高額になります。
こうした公的支援の減額や対象外により、年収が高いにもかかわらず実質的な手取りが目減りし、生活が苦しいと感じる要因となっているのです。
住宅ローンや家賃が家計を圧迫しているため
住宅ローンや家賃は毎月発生する固定費の1つです。
そのため、年収1000万円あっても、それに見合わない高額なローンや家賃を抱えていると、家計を圧迫し生活が苦しくなります。
こうした高額な住居費は家計に占める割合を大きく引き上げ、他の支出を削らざるを得ない状況を生み出します。
しかし、年収の高さから無理な借り入れをしてしまったり、見栄で高級物件を選んだりする人は少なからずいます。
また、住居費は一度決めると長期間変更が難しいため、ローンや賃貸契約を結ぶ際には、将来的な家計のバランスを慎重に検討することが重要です。
子どもの教育費が家計を圧迫しているため
子どもが生まれれば、幼稚園や保育園、義務教育である小学校と中学校の学費はかかります。その上、高校や大学へ進学すればさらに多くの費用が必要となります。
さらに、大学も公立の方が私立よりは安いものの、少なくとも数百万円のお金が必要にんるケースが多いです。
また、塾や習い事に通わせる場合は、それらの費用も別途用意しなければなりません。
このように、多額の費用が発生する教育費は、年収1000万円の家庭でも家計を大きく圧迫する要因となるのです。
特に、複数の子どもが同時期に私立学校や大学に通う場合、年間の教育費だけで数百万円に達することもあり、他の支出を削らざるを得ない状況に陥ります。
車やブランド品などの見栄消費が多い
年収1000万円以上だと、ある程度収入があるので、使えるお金がたくさんあります。しかし、車やブランド品にお金を使えば、生活費として使えるお金が減るため家計を圧迫することになります。
また、周囲の人が持っているから自分も欲しい、あるいは対抗意識から購入してしまうケースもあります。
さらに、ステータスの一部として高級ブランド品や外車を購入する人もいます。
こうした見栄消費や習慣的な支出が積み重なることで、年収が高いにもかかわらず生活が苦しくなるのです。
年収1000万円こそ家計の見直しが必要!プロと一緒に家計の最適化をしよう
年収1000万円というと大金を得ているように思えますが、実際の手取りを見ると、思ったよりも自分に使えるお金は少ないです。それは、年収が増えれば増えるほど、税金や保険料が高くなるので、手取りが減るためです。
生活を楽にしたいならば、一度家計を見直してみましょう。出費の中でも、固定費や外食費用は削除しやすい項目です。そんな費用を減らせば、支出が減るので家計が楽になり、生活に余裕が生まれます。
見栄消費をやめて年収1000万円の生活を最適化する家計の見直しポイント4つ
年収1000万円で生活苦しいときに、家計を見直すときには以下のポイントを考慮しましょう。
- 現状の収支を把握して、無駄な支出を削減する
- ライフプランの作成と貯蓄プランを設定する
- 貯蓄と資産運用のバランスを考える
- ふるさと納税を最大限活用する
現状の収支を把握して、無駄な支出を削減する
家計を見直すにしても、現在の収入と支出がわからなければ、どの部分で使いすぎているのか、どの支出を減らせば家計の負担が減るのかというのが把握できません。そこで、最初に現在の収支を把握しましょう。
収支は実際に数値にして割り出します。それには家計簿をつけるのが良いです。いくつもの家計簿アプリがあるので、使いやすそうなアプリを利用してください。
収支を把握した後は、外食費はいくらまでにするか、固定費で減らせる部分はないのかと見ていきます。以下の固定費は減らしやすいです。
- 家賃
- 光熱費
- 通信費
- 保険料
- サブスクリプション費用
安い家賃の家に引っ越せないか、格安スマホにできないか、保険を安くできないかなどを考えてみましょう。
ライフプランの作成と貯蓄プランを設定する
ライフプランや貯蓄プランを計画すれば、どのようにお金を確保するか見えてきて、計画的にお金を使えます。
最初に将来のライフプランを時系列順に整理しましょう。結婚・出産・住宅ローン・老後などを時系列にしていきます。その後にライフプランごとに、必要なお金の金額を見積もります。出産費用50万円、教育資金ひとりにつき1000万円などです。
貯蓄と資産運用のバランスを考える
貯蓄だけではライフイベントで必要となるお金を貯めるのは難しいので、資産運用も取り入れていきましょう。資産運用を行ったことがない人ならば、つみたてNISAやiDeCoがおすすめです。初心者でも取り組みやすくリスクが少ないです。
つみたてNISAはいつでも引き出すことができ、iDeCoは60歳になると引き出せます。どちらも投資運用益は非課税で税金が発生しません。
また、ある程度リスクを取れる人や、資金に余裕がある人ならば、株式投資や投資信託などで資産運用すると良いでしょう。投資先を増やせばリスク分散となり、資金が一気に全額失うのを防げます。
ふるさと納税を最大限活用する
年収1000万円以上あると、税金が高くなるので、節税できれば家計への負担を減らせます。節税対策として使える方法の1つがふるさと納税です。納税と名前がついていますが、寄付に当たります。ふるさと納税で寄付した2000円以上の金額は、すべて控除対象です。そのため、返戻金が2000円以上のふるさと納税を行えば、税金が安くなります。
ふるさと納税の控除対象には所得制限がないので、年収1000万円以上でも控除を利用できます。どんなふるさと納税の返礼品があるかは、扱っているサイトを見てみると良いでしょう。
年収1000万円の方の家計改善でよくある失敗例とは?現役FPに聞いてみた【座談会】
年収1000万円といえば一見「余裕がある」と思われがちですが、実際には住宅ローンや教育費、税金の負担も大きく、意外と家計にゆとりを感じられないという方も少なくありません。
今回は、ファイナンシャルプランナー(FP)の加藤さんと池元さんに、年収1000万円世帯で起こりがちな“家計改善の落とし穴”と対策について話を伺いました。
他の家庭の事例を参考にしすぎてしまうケース
加藤FP:他の家庭の事例を見すぎて、自分たちに合わない家計の立て直しをしてしまうケースは本当に多いですね。SNSやYouTubeで“年収1000万円でこれだけ貯金してます”みたいな情報を参考にしすぎて、自分たちの状況と乖離した目標を立ててしまうんです。
池元FP:しかも、年収1000万円といっても、住んでいる地域や家族構成、住宅ローンの有無などで可処分所得は大きく変わりますよね。同じ金額を目指してもうまくいかないのは当然なんです。
加藤FP:そうそう。実際、都市部に住んでいて住宅ローンも教育費もかかるご家庭と、郊外で比較的固定費が少ないご家庭では、月の貯蓄余力は全く違います。
池元FP:だからこそ、他人の目標貯蓄額ではなく、自分たちの“リアルな数字”をもとにプランを立てることがすごく重要なんですよね。
加藤FP:参考にするのは悪いことじゃないんですが、「そのまま真似する」ではなく、「どう自分たちの家計に当てはめるか」がポイントです。
生活が苦しい根本原因を理解できていないケース
池元FP:自分たちの家計で、何が家計を圧迫しているのかをきちんと把握できていないケースですね。なんとなく「貯金できない」「生活が苦しい」と感じていても、原因を特定しないまま節約を始めてしまうと長続きしません。
加藤FP:実際、年収1000万円あっても、教育費と住宅ローン、車の維持費、保険料、サブスクなどが重なって、固定費だけでかなりの割合を占めているケースは少なくありません。でもそれを“なんとなくの感覚”で把握しているだけの方も多いんです。
池元FP:そうそう。数字で分解してみると原因がはっきり見えることも多いですよね。
加藤FP:はい。原因が分かれば、削るべき支出・残すべき支出の優先順位がつけられるので、対策も無理なく続けられます。逆にそこが曖昧だと、節約しても効果が出ず、モチベーションが下がってしまうんですよ。
池元FP:だから「とにかく節約」よりも、まずは家計を分析して“根っこ”をつかむこと。これが高収入世帯ほど大事なポイントです。
マネーキャリアの無料FP相談で効率的に家計の見直しをしよう
年収が増えれば増えるほど、税金や保険料の金額が高くなるので、年収に占める手取りに額が少なくなります。年収1000万円で生活苦しいと感じているならば、今すぐ家計を見直してみましょう。
最初に収支を具体的な金額で割り出し、数値で見えるようにします。その後、使いすぎている部分はないのか、減らせる支出はないのかを調べます。固定費は支出の中で減らしやすい部分であるため、出費を少なくできる固定費がないか確認すると良いでしょう。
【実際どう?】年収1000万円以上の家庭にアンケート調査を実施
年収1000万円以上の家庭とは、どのような生活を送っているのでしょうか。多くの方が気になる内容について、当編集部がアンケート調査を実施いたしました。
ここからは、以下の調査結果について解説していきます。
- どの支出項目が最も家計を圧迫していますか?またその月額平均は?
- 家計にゆとりを持たせるために実践していることは何ですか?
どの支出項目が最も家計を圧迫していますか?またその月額平均は?

家計にゆとりを持たせるために実践していることは何ですか?

【まとめ】年収1000万円で生活が苦しい世帯は今すぐ家計の見直しをしよう
年収1000万円だと、税金や保険料が高くなり、受けられる公的支援が減るため、家計が苦しくなりやすいです。趣味や嗜好品にお金をかける、または教育費やローンでの出費が多いので生活苦しいという場合もあるでしょう。
生活が苦しいならば、お金について詳しいFPに相談してみましょう。ライフプランニングや家計の見直し、投資運用、ローンなどについて熟知しています。家計の見直しでも具体的なアドバイスがもらえるでしょう。
マネーキャリアもFPの1つであり、無料で相談できる窓口です。相談員全員がFPの資格を持っているので、お金についてならば、安心して相談できるでしょう。