
「NISAを夫婦で分けるべき?」
「夫婦で1つの口座を運用することはできる?」
とお悩みではないでしょうか。
前提として、NISAは1人1口座というルールがあるため、以下のようになります。
- 分ける=1人1口座
- 分けない=どちらか一方だけが口座開設・運用
- 同じ口座で2人の資産を入れる=原則NG・贈与税がかかるリスクあり
また、口座を分ける(夫婦それぞれでNISAをやる)べきか、分けない(どちらか一方だけがNISAをやる)べきかは各家庭の資産管理方法や夫婦の収入によって異なります。
この記事では、夫婦2人がNISA口座を分けるべきか、メリット・デメリットについて解説します。
また、夫婦でNISA口座を分けるべき人の特徴なども紹介しますのでぜひ参考にしてください。
▼この記事がおすすめな人
- NISA口座を夫婦で分けるべきか知りたい方
- NISA口座を夫婦で分けた場合のメリット・デメリットを知りたい方
- 夫婦でNISA口座を分けるべき・分けないべきな人の特徴を知りたい方

監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
>> 井村 那奈の詳細な経歴を見る
この記事の目次
- NISA口座は夫婦で分けるべき?
- NISA口座を夫婦で分けるデメリット
- 資産全体のパフォーマンスを一目で確認できない
- 金融資産の相続・名義変更時に手続きが倍かかる
- 毎年の非課税枠をどう使うか夫婦で相談・分担する必要がある
- NISA口座を夫婦で分けるメリット
- 非課税枠を2人分活用できる
- 分散投資で投資リスクを減らせる
- それぞれの投資スタイルやリスク許容度に合わせた運用ができる
- 相続時・離婚時に資産を分割しやすい
- NISA口座を夫婦で分けるか迷ったら無料FP相談で解決!
- 夫婦でNISA口座を分けるべき人の特徴
- 夫婦それぞれに投資資金・管理意識がある場合
- 投資スタイルやリスク許容度が異なる場合
- 将来の相続や財産分与を意識している場合
- 夫婦でNISA口座を分けない方がよい人の特徴
- 投資を積極的に行っているのがどちらか一方のみの場合
- 家計管理を一元化していて資金も共通口座で管理している場合
- 証券口座や資産状況を別々に管理するのが負担に感じる場合
- 夫婦でNISAで投資したらどうなる?シミュレーション
- 夫婦で月5万円積み立てた場合
- 夫婦で月10万円積み立てた場合
- 夫婦で月15万円積み立てた場合
- NISA口座は夫婦で分けるべき?【まとめ】
NISA口座は夫婦で分けるべき?
結論、夫婦でNISA口座を分けて活用するのがおすすめです。
なぜなら、NISAは1人1口座までしか開設できませんが、夫婦で口座を持てば非課税枠を2倍に広げられるからです。
例えば、NISAでは年間最大360万円まで投資可能ですが、夫婦で利用すれば世帯で最大720万円まで非課税で投資できます。
ただし、夫婦で分けて運用する際には、資産の管理や投資商品の選び方を事前に話し合い、贈与税の扱いにも注意する必要があります。
夫婦で協力して資産形成を進めれば、効率的に将来の資金を増やすことができます。
NISA口座を夫婦で分けるデメリット
ここでは、NISA口座を夫婦で分けるデメリットについて以下3つ紹介します。
- 資産全体のパフォーマンスを一目で確認できない
- 金融資産の相続・名義変更時に手続きが倍かかる
- 毎年の非課税枠をどう使うか夫婦で相談・分担する必要がある
これらのデメリットは、夫婦で資産形成を進めるうえで見落とされがちな点です。
事前に役割分担や管理方法を話し合っておくことで、スムーズな運用につながります。
資産全体のパフォーマンスを一目で確認できない
一つ目のデメリットは、資産全体のパフォーマンスを一目で確認できないことです。
夫婦それぞれがNISA口座を持つと、管理画面や取引履歴が分かれるため、世帯全体で資産がどの程度増えているのかを把握しにくくなります。
その結果、運用状況を正しく把握できず、リバランスの判断が遅れる可能性があります。
また、投資方針を共有せずに個別運用すると、同じ銘柄への重複投資でリスク分散が不十分になるケースもあります。
そのため、夫婦で口座を分ける場合は、定期的に資産状況を共有し、世帯全体でバランスを見直す仕組みをつくることが重要です。
金融資産の相続・名義変更時に手続きが倍かかる
二つ目のデメリットは、金融資産の相続や名義変更時に手続きが倍かかることです。
夫婦で別々にNISA口座を持つと、どちらかが亡くなった場合や名義を変更する際に、双方の口座で手続きを行う必要があります。
そのため、必要書類の準備や金融機関とのやり取りが煩雑になり、手続きの負担が大きくなるリスクがあります。
特に相続時には資産の評価や分配に関する確認作業が増えるため、家族の心理的負担も無視できません。
このように、夫婦でNISA口座を分けることは資産形成にメリットがある一方、将来的な手続きの複雑さを招く可能性がある点には注意が必要です。
毎年の非課税枠をどう使うか夫婦で相談・分担する必要がある
三つ目のデメリットは、毎年の非課税枠をどう使うか夫婦で相談・分担する必要があることです。
NISAは1人1口座のため、夫婦で活用すれば非課税枠は倍になりますが、その分「誰がどの商品をどの程度投資するか」を決めることが必要です。
さらに、将来の取り崩し時期や用途を考慮しながら調整する必要があるため、家計全体を見渡した計画性が求められます。
このように、夫婦での話し合いと運用方針の共有がスムーズにできないと、せっかくの非課税メリットを十分に活かせない可能性があります。
NISA口座を夫婦で分けるメリット
ここでは、NISA口座を夫婦で分けるメリットについて以下を解説していきます。
- 非課税枠を2人分活用できる
- 分散投資で投資リスクを減らせる
- それぞれの投資スタイルやリスク許容度に合わせた運用ができる
- 相続時・離婚時に資産を分割しやすい
非課税枠を2人分活用できる

夫婦それぞれでNISA口座を使い分けるメリットの1つ目は「非課税枠を2人分活用できる」ことです。
夫婦2人分の非課税投資枠を使えば非課税枠が下記のように2倍になります。
- 世帯の生涯投資枠は合計3,600万円
- 世帯の年間投資枠は合計720万円
ご自身のNISA口座を開設する際に、配偶者名義のNISA口座も一緒に開設することで、手軽に投資枠を拡大できます。
分散投資で投資リスクを減らせる
夫婦それぞれでNISA口座を使い分けるメリットの2つ目は「分散投資で投資リスクを減らせる」ことです。
分散投資とは、投資する資産、地域、投資タイミングなどを複数に分けて投資する方法です。資産運用では分散投資でリスクを抑えることが重要であり、夫婦それぞれで口座を使い分けると、分散投資が可能になります。
仮に、夫婦で同一口座を用いて少数の銘柄に集中投資すると、購入時が価格の高いタイミングだった場合や、購入後に暴落した場合、自分の資産が大幅に目減りしてしまいます。
そこで、夫婦それぞれでNISA口座を使い分ければ、異なる銘柄への分散投資で投資リスクを回避できます。
それぞれの投資スタイルやリスク許容度に合わせた運用ができる
夫婦それぞれでNISA口座を使い分けるメリットの3つ目は「それぞれの投資スタイルやリスク許容度に合わせた運用ができる」ことです。
例えば、一人が安定性を重視して低リスクの商品を選び、もう一人が積極的に成長性を狙うといった形で、世帯全体の資産運用に柔軟性が生まれます。
また、同じ銘柄に偏らずにバランスを取ることで、夫婦で資産を補完し合える点も利点です。
さらに、ライフステージや収入状況の違いに応じて運用方針を変えられるため、長期的に安定した資産形成につながります。
相続時・離婚時に資産を分割しやすい
夫婦それぞれでNISA口座を使い分けるメリットの4つ目は「相続時・離婚時に資産を分割しやすい」ことです。
別々の口座で運用していれば、法的な所有関係が明確になるため、相続や離婚の際に資産の扱いを巡るトラブルを防ぐことができます。
例えば、相続時には夫婦共有の財産として一括管理する必要がなく、亡くなった方の口座のみを対象に手続きを行えば済みます。
また、離婚時にはそれぞれの口座ごとに資産が整理されているため、資産を売却せずに分割が可能となり、複利効果を失うリスクも回避できます。
このように、別口座を持つことで資産管理が明確になり、将来のトラブルを減らす効果が期待できます。
NISA口座を夫婦で分けるか迷ったら無料FP相談で解決!
FPへの相談なら、無料で相談できるマネーキャリアがおすすめです。
- 夫婦でNISA口座をどう活用すべきかを個別にアドバイスしてもらえる
- 世帯全体の資産状況を踏まえたNISA運用方法を提案してもらえる
- NISA以外の預貯金や保険など、総合的な資産形成プランもアドバイス可能
- オンラインで何度でも無料相談できるため、迷ったときにすぐ確認できる
夫婦でNISA口座を分けるべき人の特徴
ここでは、夫婦でNISA口座を分けるべき人の以下特徴を紹介します。
- 夫婦それぞれに投資資金・管理意識がある場合
- 投資スタイルやリスク許容度が異なる場合
- 将来の相続や財産分与を意識している場合
これらの特徴に当てはまる世帯は、口座を分けることで資産運用や将来の管理がスムーズになります。
以下にそれぞれの特徴について解説します。
夫婦それぞれに投資資金・管理意識がある場合
一つ目の特徴は、夫婦それぞれに投資資金と管理意識がある場合です。
夫婦で資金を別々に持ち、それぞれの判断で運用したいと考えるケースでは、NISA口座を分けることで自分の方針に沿った投資が可能になります。
また、資産の増減を自分で管理できるため、運用に対する責任感や納得感を持ちやすいです。
さらに、お互いが異なる投資方針を取れば分散効果も期待でき、リスクを抑えながら資産形成を進められます。
投資スタイルやリスク許容度が異なる場合
二つ目の特徴は、夫婦で投資スタイルやリスク許容度が異なる場合です。
片方がリスクを抑えて安定的に運用したいのに対し、もう一方が積極的に株式投資をしたいケースなどがあります。
同じ口座で管理すると、どちらかの意向に合わせざるを得ず、不満や不安を抱える原因になります。
そこで、別々のNISA口座を持てば、それぞれが自分のリスク許容度や投資スタイルに合わせた商品選びや運用が可能です。
その結果、夫婦で資産形成の方向性を尊重し合いながら、世帯全体としては分散効果の高いポートフォリオを実現できます。
将来の相続や財産分与を意識している場合
三つ目の特徴は、将来の相続や財産分与を意識している場合です。
夫婦が同じNISA口座で資産を運用すると、相続や離婚の際に所有関係が曖昧になり、分割に時間や手間がかかるリスクがあります。
一方で、夫婦それぞれにNISA口座を分けておけば、名義が明確なため、相続手続きや財産分与をスムーズに進めることが可能です。
さらに、資産管理のトラブルを減らせるだけでなく、将来的なライフプラン設計の見通しを立てやすくなる点もメリットです。
このように、長期的な視点で安心して資産形成を行いたい場合には、夫婦別々のNISA口座を利用するのが適しています。
夫婦でNISA口座を分けない方がよい人の特徴
ここでは、夫婦でNISA口座を分けない方がよい人の特徴として以下を解説します。
- 投資を積極的に行っているのがどちらか一方のみの場合
- 家計管理を一元化していて資金も共通口座で管理している場合
- 証券口座や資産状況を別々に管理するのが負担に感じる場合
このようなケースでは、口座を分けるよりも一つの口座で管理した方が効率的です。
次にそれぞれの特徴について詳しく解説します。
投資を積極的に行っているのがどちらか一方のみの場合
夫婦でNISA口座を分けない方がよい人の一つ目の特徴は、投資を積極的に行っているのがどちらか一方のみの場合です。
夫婦で片方が投資に関心がなく、もう一方だけが判断や管理を担っているケースでは、NISA口座を分ける必要性は低いといえます。
資産を一方が管理することで、家計全体の収支を把握しやすくなり、効率的な資産運用につながります。
そのため、無理に口座を分けずに一方が管理する方が適しています。
家計管理を一元化していて資金も共通口座で管理している場合
二つ目は、家計管理を一元化していて資金も共通口座で管理している場合です。
このケースでは夫婦で別々にNISA口座を持っても、実質的には同じ資金を使うため、分けるメリットが少なくなります。
むしろ、口座を分けることで資産状況が見えにくくなり、管理が複雑化する恐れがあります。
家計を共通で管理している場合は、夫婦で1つの運用方針を共有し、どちらか一方が共有資金をまとめて運用する方が効率的です。
証券口座や資産状況を別々に管理するのが負担に感じる場合
二つ目は、証券口座や資産状況を別々に管理するのが負担に感じる場合です。
夫婦でNISA口座を分けると、口座ごとの残高や投資商品を個別に確認する必要があり、資産全体を把握しにくくなります。
また、非課税枠の利用状況や損益の進捗も夫婦それぞれで確認する必要があるため、定期的に情報を突き合わせる作業が増えます。
資産を一元的に管理したい人にとっては、この分散管理が大きなストレスになる可能性があります。
そのため、資産管理の手間を省きたい方は、無理に口座を分けずに一方の名義で集中的に管理する方が適しています。
夫婦でNISAで投資したらどうなる?シミュレーション
ここからは夫婦でNISAを始めた際のシミュレーションを解説します。老後の生活費、子どもの教育費、住宅ローンなどの支出が多いなかで、老後や将来に向けて今からどれだけ積立の準備が必要なのかを参考にしましょう。
▼NISAを40代から始める場合のシミュレーション
- 夫婦で月5万円積み立てた場合
- 夫婦で月10万円積み立てた場合
- 夫婦で月15万円積み立てた場合
夫婦で月5万円積み立てた場合
毎月5万円をNISAに投資する場合、少額ながらも堅実に資産を増やせます。 多くの家庭で負担になりにくく、家計に与える影響も少ない金額なため、投資を始める第一歩として適しています。
年利3%で運用した場合の積立予想は以下のとおりです。20年後の評価額は約1,642万円、運用収益は約442万円となります。
元本 | 運用収益 | 評価額 | |
---|---|---|---|
5年後 | 300万円 | 23万円 | 323万円 |
10年後 | 600万円 | 99万円 | 699万円 |
20年後 | 1,200万円 | 442万円 | 1,642万円 |
毎月5万円の積立は、夫婦それぞれが毎月約3.3万円の積立をする計算になり、共働きであればそれぞれの月収が20万円程あれば無理なく積み立てられる金額です。
NISAを利用せずに「銀行預金」で毎月5万円、10年間資産形成した場合、現在の預金金利0.020%程度では運用益はほぼ見込めません。
夫婦で月10万円積み立てた場合
毎月10万円をNISAに投資する場合、より積極的な資産形成が可能になります。家計において一定の負担とはなりますが、許容できる範囲内の負担で、その分リターンも大きく期待できます。
年利3%で運用した場合の積立予想は以下のとおりです。20年後の評価額は約3,283万円、運用収益は約883万円となります。
元本 | 運用収益 | 評価額 | |
---|---|---|---|
5年後 | 600万円 | 46万円 | 646万円 |
10年後 | 1,200万円 | 197万円 | 1,397万円 |
20年後 | 2,400万円 | 883万円 | 3,283万円 |
毎月10万円の積立は、夫婦それぞれが毎月5万円の積立をする計算になり、共働きであればそれぞれの月収が30万円程あれば無理なく積み立てられる金額です。
老後に2,000万円貯めておきたいという目標がある場合、40歳の夫婦が今からスタートしても20年後の60歳の頃には達成できる見込みとなります。
夫婦で月15万円積み立てた場合
毎月15万円をNISAに投資する場合、さらに大きな資産形成を目指せます。家計によってはある程度の負担となりえますが、その分資産の成長ポテンシャルも非常に高くなります。
年利3%で運用した場合の積立予想は以下のとおりです。20年後の評価額は約4,925万円、運用収益は約1,325万円となります。
元本 | 運用収益 | 評価額 | |
---|---|---|---|
5年後 | 900万円 | 70万円 | 970万円 |
10年後 | 1,800万円 | 296万円 | 2,096万円 |
20年後 | 3,600万円 | 1,325万円 | 4,925万円 |
毎月15万円の積立は、夫婦それぞれが毎月7.5万円の積立をする計算になり、共働きであればそれぞれの月収が50万円程あれば無理なく積み立てられる金額です。
NISA口座は夫婦で分けるべき?【まとめ】
本記事では、NISA口座を夫婦で分けるべきかについて解説しました。主なポイントは以下のとおりです。
- 夫婦でNISA口座を分けることで、非課税枠が2倍になり資産形成の効率を高められる
- 一方で、資産全体の把握が難しくなる・手続きが倍になるなどのデメリットも存在する
- 投資スタイルやリスク許容度が異なる夫婦では、別々に運用する方が適している場合がある
- 家計管理を一元化している夫婦では、無理に口座を分けない方がスムーズに資産管理できる





