
「新NISAのつみたて投資枠で120万円を超えたらどうなる?」
「新NISAのつみたて投資枠で120万円を超えてもいいの?」
とお悩みではないでしょうか。
結論、新NISAのつみたて投資枠で年間投資枠120万円を超えた分は通常の課税口座での投資になります。
この記事では、新NISAでつみたて投資枠の上限を超えた場合の対応について解説します。
また、確定申告についても紹介するのでぜひご覧ください。

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- 新NISAでつみたて投資枠の上限120万円を超えたらどうなる?
- 超過分は課税口座での取引になり一部条件では確定申告が必要
- 運用益や配当金はいくら出ても非課税
- 新NISAでつみたて投資枠の上限120万円を超えた場合の対処法
- 成長投資枠に資産を回す
- 配偶者のNISA口座を活用する
- 課税口座で税負担の少ない商品に投資する
- 翌年の投資枠を待つ
- 新NISAのつみたて投資枠120万円に関する注意点3選
- 払い出し・売却分も上限額に含まれる
- つみたて投資枠と成長投資枠の間での資産移動(スイッチング)はできない
- ボーナス増額分も含めた総額が120万円になるよう調整する必要がある
- 新NISAのつみたて投資枠120万を超えそうな場合はマネーキャリアのFPに相談しよう【まとめ】
新NISAでつみたて投資枠の上限120万円を超えたらどうなる?
新NISAでつみたて投資枠の上限120万円を超えた場合の以下の仕組みについて詳しく解説します。
- 超過分は課税口座での取引になり一部条件では確定申告が必要
- 運用益や配当金はいくら出ても非課税
超過分は課税口座での取引になり一部条件では確定申告が必要
つみたて投資枠で投資金額が120万円を超えたら、超えた分は課税対象となり、NISA口座以外の課税口座(特定口座・一般口座)へ移管されます。
また、課税口座に移管されたものについては、以下のように課税口座の種類によって確定申告の必要性が異なります。
口座の種類 | 確定申告の有無 |
---|---|
特定口座 (源泉徴収あり) | なし |
特定口座 (源泉徴収なし) | あり (利益20万円以上) |
一般口座 | あり (利益20万円以上) |
ただし、給与所得者で給与収入が2,000万円以下の場合、株式等の譲渡所得等の合計額が年間20万円以下であれば確定申告が不要になる仕組みがあり、特定口座(源泉徴収なし)と一般口座での取引にも適用されます。
運用益や配当金はいくら出ても非課税
つみたて投資枠で出た運用益や配当金はいくらでも非課税です。
つみたて投資枠の非課税優遇枠は、時価総額ではなく投資額で120万円となっております。
つまり、投資上限額の範囲で投資を行っていれば、時価総額が投資額を上回っても非課税のまま維持されます。
たとえば、120万円で投資をし、その後130万円に値上がりした場合、投資額は非課税優遇枠の範囲内なので、出た利益については非課税対象のままとなります。
あくまで、非課税で優遇される上限枠は投資額に対してで、時価が上限を超えても課税されることはないので安心しましょう。
新NISAでつみたて投資枠の上限120万円を超えた場合の対処法
新NISAでつみたて投資枠の上限120万円を超えた場合の対処法を4つ紹介します。
紹介する方法は以下の通りです。
- 成長投資枠に資産を回す
- 配偶者のNISA口座を活用する
- 課税口座で税負担の少ない商品に投資する
- 翌年の投資枠を待つ
成長投資枠に資産を回す
つみたて投資枠の上限120万円を超えた場合、同じNISA口座内の成長投資枠(年間240万円)に切り替えて投資を継続することができます。
成長投資枠では、つみたて投資枠で購入できない個別株式なども含め、より幅広い金融商品に投資することが可能です。
投資する際は金融機関の注文画面で明示的に「成長投資枠」を選択する必要がありますが、同一口座内での対応なので手続きは比較的簡単です。
配偶者のNISA口座を活用する
配偶者がいる家庭では配偶者名義のNISA口座を活用することで家計全体の非課税投資枠を拡大できます。
配偶者のNISA口座を活用すれば、夫婦合わせて年間240万円(つみたて投資枠)、最大720万円(両枠合計)の非課税投資が可能になります。
ただし、配偶者名義の口座なので法的には配偶者の資産となる点に注意し、家計全体の資産形成計画として合意の上で活用することが大切です。
課税口座で税負担の少ない商品に投資する
課税口座で税負担の少ない商品に投資するというのも1つの手段です。
例えば、インデックスファンド・ETFなど売買が少なく税負担の少ない商品を選択するといいでしょう。
頻繁な売買を避け長期保有することで課税タイミングを先送りでき、必要に応じて損益通算を活用するとさらに税負担を軽減できます。
また、特定口座(源泉徴収あり)を利用すれば税務管理も簡単になるので、計画的な売却タイミングの調整が可能となります。
翌年の投資枠を待つ
翌年の投資枠を待つのも1つの手です。
例えば、上限額に達してしまったのが10月~12月ごろの場合、翌年1月に再度投資枠が復活するまで待てば税負担について考えずに済むからです。
ただし、上限額に達してしまったのがその年の最初の段階で、さらに資産を増やすために何か投資をしたいということであれば、別の方法を検討しましょう。
貯金の目標金額や理想のペース、税負担などを考慮してどのような行動をとるべきかは慎重に検討することが大切です。
新NISAのつみたて投資枠120万円に関する注意点3選
新NISAのつみたて投資枠120万円に関する注意点は以下の3点です。
- 払い出し・売却分も上限額に含まれる
- つみたて投資枠と成長投資枠の間での資産移動(スイッチング)はできない
- ボーナス増額分も含めた総額が120万円になるよう調整する必要がある
払い出し・売却分も上限額に含まれる
新NISAのつみたて投資枠では、払い出しや売却分もその年の非課税投資枠の上限額に含まれます。
例えば、年初に60万円分の投資信託を購入し、その後それを全額売却した場合でも、その年のつみたて投資枠の残りは60万円のままです。
これは旧NISAと同様の仕組みで、年間の投資上限額は「買付金額の合計」で計算されるためです。
そのため、年間の投資計画を立てる際は、途中で売却する可能性も考慮して、非課税枠を最大限活用できるよう計画することが重要です。
つみたて投資枠と成長投資枠の間での資産移動(スイッチング)はできない
新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の間での資産移動(スイッチング)はできません。
例えば、つみたて投資枠で購入した投資信託を売却して、その資金を成長投資枠で使うことはできますが、非課税のまま直接移動させることはできません。
売却して資産移動した場合、つみたて投資枠で得た利益に対しては課税されませんが、成長投資枠での新たな購入には新規の投資枠を使うことになります。
このルールは、それぞれの投資枠の目的や対象商品が異なることから設けられており、投資戦略を立てる際には両枠の使い分けを事前に計画しておくことが大切です。
ボーナス増額分も含めた総額が120万円になるよう調整する必要がある
新NISAのつみたて投資枠120万を超えそうな場合はマネーキャリアのFPに相談しよう【まとめ】

- つみたて投資枠の上限額(投資額で年間120万円)を超えたら課税対象となり、出た利益に応じて確定申告が必要になる
- つみたて投資枠の年間投資枠の上限には払い出しや売却分も含まれるが、翌年以降は復活する
- 運用益や配当金はいくら出ても非課税