
「公務員はiDeCoをやらないほうがいいって聞いたけど本当?」
「公務員でもiDeCoをやらないほうがいいケースがあるの?」とお悩みではないでしょうか。
結論、公務員は退職金や年金制度が充実している可能性が高いため、iDeCoの必要性が民間企業の会社員より低いとされています。
しかし、状況によってはiDeCoをやった方がいい場合もあるため、本当に自分には必要ないのか慎重に検討する必要があります。
この記事では、公務員がiDeCoをやらないほうがいい理由や対策について詳しく解説するので、ぜひご覧ください。

監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- 公務員はiDeCoをやらないほうがいいと言われる理由
- 退職金や年金が手厚く必要性が低いため
- 公務員の掛金の上限が低いため
- 原則60歳まで積立金を引き出せないため
- iDeCoをやらないほうがいいか悩んでいる場合はFP相談で解決!
- 公務員でiDeCoをやったほうがいい人の特徴
- 退職金の受取時期とiDeCoの受取時期を分散できる人
- 公務員を早期退職・転職する予定がある人
- 住宅ローン控除や他の所得控除を使い切っていない人
- 現役時代の所得税率が高く老後の所得が大きく下がる見込みの人
- 公務員でiDeCoをやらないほうがいい人の特徴
- 60歳まで資金を引き出せないことに不安がある人
- 近い将来まとまったお金が必要な人
- 元本割れリスクを受け入れられない人
- iDeCoをやめておく場合の選択肢【公務員向け】
- 新NISA
- 個人年金保険
- 公務員がiDeCoを始める際の注意点3つ
- 年末調整または確定申告を行う必要がある
- 退職・転職時はiDeCoの移管手続きが必要
- 育休中もiDeCoを継続したい場合は手続きが必要
- 公務員がiDeCoに加入する流れ
- 公務員はiDeCoをやらないほうがいいと言われる理由【まとめ】
公務員はiDeCoをやらないほうがいいと言われる理由
公務員はiDeCoをやらないほうがいいと言われる主な理由は以下の3つです。
- 退職金や年金が手厚く必要性が低いため
- 公務員の掛金の上限が低いため
- 原則60歳まで積立金を引き出せないため
これらの理由を理解することで、自分にとってiDeCoが適しているかどうかを判断できます。
各理由について詳しく見ていきましょう。
退職金や年金が手厚く必要性が低いため
公務員は退職金や年金が手厚く、iDeCoの必要性が低いとされています。
公務員の退職金は民間企業より高額で、平均2,000万円程度支給されます。
また、公務員は厚生年金に加えて年金払い退職給付という上乗せ年金があるため、老後の収入が比較的安定しています。
そのため、税制優遇を受けてまで追加の老後資金を準備する必要性が民間企業の会社員より低くなります。
ただし、将来的に公務員の退職金や年金制度が改正される可能性もあるため、完全に安心できるわけではありません。
公務員の掛金の上限が低いため
iDeCoは公務員の掛金の上限が低い、というのも理由の一つです。
そもそも、iDeCoは加入者区分によって、掛金の拠出上限額が以下のように決められています。
加入者区分 | 掛け金の拠出上限額 |
---|---|
自営業者等 | 月額6.8万円 (年額81.6万円) |
会社に企業年金がない会社員 | 月額2.3万円 (年額27.6万円) |
企業型DCのみに加入している会社員 | 月額2.0万円 (月額24万円) |
DBと企業型DCに加入している会社員 | 月額2.0万円 (月額24万円) |
DBのみに加入している会社員 | 月額2.0万円 (月額24万円) |
公務員 | 月額2.0万円 (月額24万円) |
専業主婦(夫)など | 月額2.3万円 (年額27.6万円) |
※引用:iDeCo(イデコ)をはじめるまでの4つのポイント|iDeCo【公式】
民間企業の会社員(企業年金なし)は月額23,000円、自営業者は月額68,000円まで拠出できるのに対し、公務員は月額20,000円とやや低い設定になっています。
そのため、「この程度の節税効果であれば、60歳まで資金が拘束されるデメリットの方が大きい」と感じる方も多くいます。
原則60歳まで積立金を引き出せないため
iDeCoは老後の資産を築くことを目的として国が税制優遇している制度であるため、原則60歳まで資金を引き出すことができません。
iDeCoの加入者が高度障がいになった場合には「障がい給付金」、死亡した場合には「死亡一時金」を受け取れますが、それ以外の理由では資金を引き出すことは不可能です。
iDeCoは生活が苦しくならないように、余裕を持って掛金を拠出するようにするといいでしょう。
また60歳の時点で加入年数が10年に満たない場合、受け取り開始は変わりますので注意が必要です。
60歳時点での加入年数と受け取り開始時期
加入年数 | 受け取り年齢 |
---|---|
8年以上10年未満 | 61歳 |
6年以上8年未満 | 62歳 |
4年以上6年未満 | 63歳 |
2年以上4年未満 | 64歳 |
1カ月以上2年未満 | 65歳 |
つまり50代でiDeCoに加入した方は、60歳になっても受け取ることはできません。
iDeCoを開始する際は、自分はいつから引き出すことができるのか確認しておきましょう。
iDeCoをやらないほうがいいか悩んでいる場合はFP相談で解決!
iDeCoをやらないほうがいいか悩んでいる場合は、FP相談で解決するのがおすすめです。
公務員の方は退職金制度や年金制度が複雑で、個人の状況によってiDeCoの必要性が大きく異なります。
また、将来のライフプランや収入の変化を考慮した総合的な判断が必要になるため、専門知識を持った専門家に相談することが運用で失敗するリスクを下げることにつながります。
iDeCoの専門家(FP)に相談すると、客観的な視点から最適な資産運用方法を提案してもらえるのでぜひ活用を検討しましょう。
公務員でiDeCoをやったほうがいい人の特徴
ここでは、公務員でiDeCoをやったほうがいい人の特徴を紹介します。
以下のような特徴に当てはまる方は、iDeCoの活用を検討することをおすすめします。
- 退職金の受取時期とiDeCoの受取時期を分散できる人
- 公務員を早期退職・転職する予定がある人
- 住宅ローン控除や他の所得控除を使い切っていない人
- 現役時代の所得税率が高く老後の所得が大きく下がる見込みの人
これらの特徴を理解することで、自分がiDeCoを活用すべきかどうかを判断できます。
退職金の受取時期とiDeCoの受取時期を分散できる人
退職金の受取時期とiDeCoの受取時期を分散できる人は、iDeCoをやったほうがいいでしょう。
なぜなら、公務員の退職金とiDeCoの一時金を同じ年に受け取ると、退職所得控除の枠を超えて高い税率が適用される可能性があるからです。
しかし、受取時期を5年以上ずらすことで、それぞれに退職所得控除を適用でき、税負担を軽減できます。
例えば、60歳で定年退職し退職金を受け取り、65歳でiDeCoを一時金として受け取るといった戦略が有効です。
このような税務上の工夫ができる方は、iDeCoの活用メリットが大きくなります。
公務員を早期退職・転職する予定がある人
公務員を早期退職・転職する予定がある人は、iDeCoをやったほうがいいでしょう。
早期退職や転職により退職金が減額される場合、iDeCoで老後資金を補完する必要性が高まります。
また、転職先が民間企業の場合、企業年金制度が公務員より劣る可能性があります。
iDeCoは転職時に持ち運びができるため、キャリアチェンジを考えている公務員にとって有効な資産形成手段です。
特に50代前半で早期退職を検討している方は、退職後の収入減少に備えてiDeCoの活用を検討することをおすすめします。
住宅ローン控除や他の所得控除を使い切っていない人
住宅ローン控除や他の所得控除を使い切っていない人は、iDeCoをやったほうがいいでしょう。
住宅ローン控除は所得税から直接差し引かれる税額控除のため、所得税額が少ない場合は控除しきれない部分が生じます。
一方、iDeCoの小規模企業共済等掛金控除は所得控除のため、住宅ローン控除と併用しても節税効果を得られます。
また、生命保険料控除や地震保険料控除などを満額使っていない場合も、iDeCoによる追加の節税効果が期待できます。
所得控除の活用状況を確認し、余裕がある場合はiDeCoの検討をおすすめします。
現役時代の所得税率が高く老後の所得が大きく下がる見込みの人
現役時代の所得税率が高く老後の所得が大きく下がる見込みの人は、iDeCoをやったほうがいいでしょう。
iDeCoは拠出時に所得控除を受け、受取時に課税される仕組みです。
そのため、現役時代の税率が20%や23%と高く、老後の税率が5%や10%と低い場合、大きな節税効果を得られます。
特に管理職の公務員で年収が高い方は、退職後の年金収入との税率差を活用できる可能性があります。
ただし、将来の税制改正や年金制度の変更リスクも考慮して判断する必要があるので、注意しましょう。
公務員でiDeCoをやらないほうがいい人の特徴
公務員でiDeCoをやらないほうがいい人の特徴は以下のとおりです。
- 60歳まで資金を引き出せないことに不安がある人
- 近い将来まとまったお金が必要な人
- 元本割れリスクを受け入れられない人
上記のような特徴に当てはまる方は、iDeCoの活用を慎重に検討する必要があります。
これらの特徴を理解し、本当にiDeCoが自分に適していないかどうかを判断しましょう。
60歳まで資金を引き出せないことに不安がある人
60歳まで資金を引き出せないことに不安がある人は、iDeCoをやらないほうがいいでしょう。
iDeCoは原則60歳まで中途解約ができないため、急な資金需要に対応できません。
公務員は安定した職業とはいえ、病気や家族の介護などで予期せぬ出費が発生する可能性があります。
また、住宅購入や子どもの進学など、計画的な支出であっても資金の流動性を重視する方には向いていません。
資金の拘束に対して強い不安を感じる場合は、より流動性の高い資産運用方法を選択するのがおすすめです。
近い将来まとまったお金が必要な人
近い将来まとまったお金が必要な人も、iDeCoをやらないほうがいいでしょう。
住宅購入の頭金や子どもの大学進学費用など、5年以内にまとまった資金が必要な場合、iDeCoへの拠出は適していません。
特に30代から40代の公務員は、教育費や住宅関連費用の支出が重なる時期です。
この時期にiDeCoで資金を拘束してしまうと、必要な時に資金が不足する可能性があります。
まずは近い将来の資金需要を満たした上で、余裕資金でiDeCoを検討することが重要です。
元本割れリスクを受け入れられない人
元本割れリスクを受け入れられない人は、iDeCoをやらないほうがいいでしょう。
iDeCoでは元本保証型の商品も選択できますが、低金利環境では運用益がほとんど期待できません。
一方で、投資信託などのリスク性商品を選択した場合、今度は市場の変動により元本割れする可能性が生じます。
iDeCoをやめておく場合の選択肢【公務員向け】
iDeCoをやめておく場合の選択肢として公務員の方に向いているのは以下の2つです。
- 新NISA
- 個人年金保険
新NISA
iDeCoをやめておく場合の選択肢として、新NISAがおすすめです。
新NISAは年間360万円まで投資でき、運用益が非課税となる制度です。
iDeCoと異なり、いつでも資金を引き出せるため、流動性を重視する公務員に適しています。
また、つみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)を併用でき、投資の幅が広がります。
所得控除は受けられませんが、受取時の課税もないため、シンプルで分かりやすい制度です。
項目 | 新NISA | iDeCo(公務員) |
---|---|---|
年間投資上限 | 360万円 | 14.4万円 |
所得控除 | なし | あり |
引き出し制限 | なし | 60歳まで不可 |
個人年金保険
個人年金保険も、iDeCoをやめておく場合の選択肢として有効です。
個人年金保険は元本保証があり、リスクを避けたい公務員に適した商品です。
また、個人年金保険料控除により年間最大4万円の所得控除を受けられます。
ただし、低金利環境では運用利回りが低く、インフレリスクに対応できない可能性があります。
また、途中解約時には元本割れするリスクもあるため、長期間継続できるかどうかの検討が必要です。
安全性を重視する公務員には選択肢の一つとなりますが、利回りの低さには注意が必要です。
公務員がiDeCoを始める際の注意点3つ
- 年末調整または確定申告を行う必要がある
- 退職・転職時はiDeCoの移管手続きが必要
- 育休中もiDeCoを継続したい場合は手続きが必要
これらの注意点を理解することで、iDeCoを適切に活用できるようになるので詳しく見ていきましょう。
年末調整または確定申告を行う必要がある
iDeCoは年末調整または確定申告で所得控除を受けられ、所得税や住民税が安くなります。
公務員の方は年末調整の場合が多いと思いますが、以下の手続きが必要です。
- 勤務先で受け取る「給与所得者の保険証控除申告書」に記入し提出
- 国民年金基金連合会から届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」の原本を提出
退職・転職時はiDeCoの移管手続きが必要
退職・転職時はiDeCoの移管手続きが必要になります。
また、公務員から民間企業に転職した場合、掛金の上限額が変更される可能性があります。
さらに、転職先に企業年金制度がある場合は、掛金上限がさらに制限される場合があります。
手続きを怠ると運用指図者となり、新たな掛金の拠出ができなくなるため、転職時は速やかに国民年金基金連合会に連絡し、必要な手続きを行いましょう。
育休中もiDeCoを継続したい場合は手続きが必要
育休中もiDeCoを継続したい場合は手続きが必要です。
育児休業中は給与が支給されないため、通常の給与天引きによる掛金拠出ができません。
継続したい場合は、個人払込に変更する手続きを行い、銀行口座からの引き落としに切り替える必要があります。
また、育休中は所得が少なくなるため、所得控除のメリットも限定的になります。
一時的に拠出を停止し、職場復帰後に再開することも可能なので、家計状況に応じて判断しましょう。
公務員がiDeCoに加入する流れ
公務員がiDeCoに加入し、拠出を開始するまでの流れは以下のとおりです。
- 運営管理機関(金融機関)を選択し、加入申込書を取り寄せる
- 勤務先から「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」を取得し、必要事項を記入してもらう
- 加入申込書と事業主証明書を運営管理機関に提出し、審査を受ける
- 審査通過後、国民年金基金連合会から加入通知書が届く
- 運用商品を選択して掛金の拠出を開始する
ただし、運用機関や会社によって細かい対応は異なるため注意が必要です。
また、手続きには1〜2ヶ月程度かかるため、余裕を持って申し込みを行うことが大切です。
公務員はiDeCoをやらないほうがいいと言われる理由【まとめ】
ここまで、公務員がiDeCoをやらないほうがいいと言われる理由や対策について紹介しました。
公務員は退職金や年金制度が充実しているため、iDeCoの必要性が民間企業の会社員より低く、掛金上限も制限されているため、やらないほうがいいと言われることがあります。
しかし、iDeCoを活用すべきかどうかの判断には個人の状況や将来設計の詳細な検討が必要であり、一概に「やらないほうがいい」とは言えません。
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