

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- iDeCoで節税できるというのは嘘といわれる理由
- iDeCoを運用する際の税制優遇(節税)メリット
- 掛金が全額所得控除の対象になり所得税と住民税を抑えられる
- 利息・配当・売却益などの運用益は非課税で再投資される
- iDeCoを受け取る際の税制優遇(節税)メリット
- 一時金として受け取る場合は退職所得控除の対象になる
- 年金として受け取る場合は公的年金控除の対象になる
- 受取方法の組み合わせで税負担を最適化できる
- iDeCoの節税効果を高めるためのポイント
- 所得税率の高い年に掛金を集中させる
- 退職金や他の年金との受取タイミングを調整する
- 長期運用で複利効果を最大化する
- iDeCoに関する不安はマネーキャリアの無料相談サービスで解決
- iDeCoには複数の節税効果がある!【まとめ】
iDeCoで節税できるというのは嘘といわれる理由
iDeCoで節税できるのは噓と言われる理由には、以下のようなものがあります。
- 受取時に課税されるため節税ではなく税の繰り延べであるから
- 退職所得控除や公的年金等控除の枠を圧迫する可能性があるから
- 運用成果によっては元本割れのリスクがあるから
このように、「iDeCo=絶対にお得な節税制度」とは言い切れない事情があるため、「節税は嘘」といわれる場合があります。
しかし制度を正しく理解し、戦略的に活用することで十分な節税効果が得ることができます。
iDeCoを運用する際の税制優遇(節税)メリット
iDeCoの運用時に得られる節税メリットは以下の2点です。
- 掛金が全額所得控除の対象になり所得税と住民税を抑えられる
- 利息・配当・売却益などの運用益は非課税で再投資される
具体的には、運用期間中に発生する利息や配当、売却益が非課税になるため、効率的に資産を増やせる可能性があります。
それぞれのメリットを理解することで、iDeCoの節税効果をより実感できるようになります。
掛金が全額所得控除の対象になり所得税と住民税を抑えられる
iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、支払った全額が課税対象から差し引かれます。
このメリットにより所得税と住民税の負担をまとめて軽減できるため、毎月の節税効果が即座に実感できます。
日本の所得税・住民税の税率は以下の通りです。
課税所得 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
195万以下 | 5% | 10% |
195万超~330万以下 | 10% | 10% |
330万超~695万以下 | 20% | 10% |
695万超~900万以下 | 23% | 10% |
900万超~1,800万以下 | 33% | 10% |
1,800万超~4,000万以下 | 40% | 10% |
4,000万超~ | 45% | 10% |
参考:所得税の税率|国税庁
ではiDeCoに加入した際の課税所得ごとに、年間の税金負担軽減額を見てみましょう。
- 企業年金のない会社員の年間拠出額27万6,000円(月間拠出限度額23,000×12)
- 自営業者の年間拠出額81万6,000円(月間拠出限度額68,000×12)
上記の条件で、年間の税金負担軽減額を以下にまとめました
所得税+住民税 | 年間掛掛金27万6,000円の軽減額 | 年間掛金81万6,000円の軽減額 |
---|---|---|
15% | 4万1,000円 | 12万2,405万5,200円 |
20% | 5万5,200円 | 16万3,200円 |
30% | 8万2,800円 | 24万4,800円 |
33% | 9万1,080円 | 26万9,280円 |
43% | 11万8,680円 | 35万880円 |
50% | 13万8,000円 | 40万8,000円 |
55% | 15万1,800円 | 44万8,800円 |
参考:所得税の税率|国税庁
iDeCoは「掛け金がそのまま節税につながる」シンプルかつ効果的な制度です。
特に所得の高い方ほどメリットが大きく、長期的な資産形成と同時に大きな節税効果も得られる点が大きな魅力です。
利息・配当・売却益などの運用益は非課税で再投資される

iDeCoを受け取る際の税制優遇(節税)メリット
続いて、iDeCoの受け取り時の節税効果についてです。
受け取り方によって対象の控除が変わってきます。
- 一括金として受け取る場合は退職所得控除の対象になる
- 年金として受け取る場合は公的年金等控除の対象になる
- 受取方法の組み合わせで税負担を最適化できる
上記3点について解説します。
一時金として受け取る場合は退職所得控除の対象になる
一時金として、まとめて受け取る場合は退職所得となります。
なのでこの場合は、退職所得控除の対象になります。
退職所得控除額は勤続年数によって変わります。
iDeCoで積み立てた金額が退職所得控除額よりも少ない場合は、積み立てた金額と利益はそのまま受け取れます。
毎年の積み立て時、そして運用時の節税効果に加えて、受け取り時にも節税効果が得られるためiDecoはとても得をすることがわかります。
年金として受け取る場合は公的年金控除の対象になる
年金として、少額づつ受け取る場合は※雑所得として、公的年金控除の対象となります。
65歳以上で無収入ならば、年間110万円までは非課税となります。
よって、拠出時の節税効果がなくなるわけではありません。
※雑所得…所得税法で定められた各種所得のいずれにも該当しない所得
受取方法の組み合わせで税負担を最適化できる
iDeCoは「一時金」「年金」「併用」の3つの受取方法があり、それぞれ異なる控除制度を活用できます。
それぞれの特徴は以下の通りです。
- 一時金:退職所得控除が適用され、控除後の金額の1/2に課税
- 年金:公的年金等控除が適用され、65歳以上で年金収入110万円以下は非課税
- 併用:控除枠を分散して使うことで、全体の税負担を抑えやすくなる
2026年からは、会社の退職金とiDeCoの一時金受取の間隔が10年未満の場合、退職所得控除を両方に適用できなくなるルールが導入されます。
そのため、今後は退職金とiDeCoの受取タイミングの調整も、節税対策として重要です。
自分の退職金や収入状況に合わせて受取方法を設計することで、税負担を最小限に抑えることができます。
iDeCoの節税効果を高めるためのポイント
iDeCoの節税効果を高めるためのポイントは以下の通りです。
- 所得税率の高い年に掛金を集中させる
- 退職金や他の年金との受取タイミングを調整する
- 長期運用で複利効果を最大化する
このように、iDeCoでは受取時の計画や運用期間の工夫によってさらに節税効果を高めることが可能です。
ここからは、それぞれのポイントについて具体的に解説します。
所得税率の高い年に掛金を集中させる
所得税率が高い年にiDeCoの掛金を多めに拠出すると、節税効果を最大化できます。
そのため、昇給や突然の臨時収入などにより所得が増える年には、掛金を上限まで増額することで、その年の税負担を効果的に軽減できます。
ただし、年末調整や確定申告で適切な申告手続きを行う必要があるほか、年間拠出限度額には職業区分ごとの上限が設けられている点にも留意が必要です。
退職金や他の年金との受取タイミングを調整する
iDeCoの受取時にかかる税負担は、退職金や公的年金など他の収入との重なり方によって大きく変動します。
たとえば、iDeCoを一時金で受け取ると「退職所得控除」が使えますが、退職金と同じ年に受け取ると控除枠が重なり、課税額が増える可能性があります。
また、iDeCoを年金で受け取る場合も「公的年金等控除」が使えますが、他の年金と重なると非課税枠を超えて課税される可能性があります。
こうした課税リスクを避けるためには、以下のような調整が有効です。
- 退職金とは10年以上間隔を空けて、iDeCoを一時金で受け取る
- 65歳以降の公的年金受給と重ならないよう、iDeCo年金の受給時期を前後させる
長期運用で複利効果を最大化する
iDeCoは長期運用を前提とした制度であり、時間を味方につけることで複利の効果を最大限に活かすことができます。
たとえば、年利3%で30年間積み立てた場合、単利に比べて複利では約1.4倍の資産を形成できるとも試算されています。
途中で利益に課税される通常の運用と違い、iDeCoでは運用益がすべて非課税で再投資されるため、長期になるほど差が広がります。
そのため、節税効果を最大化するには、できるだけ早いタイミングで加入し、長期で積み立てを続けることが重要です。
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iDeCoには複数の節税効果がある!【まとめ】
iDeCoは「節税できる」といわれる制度ですが、厳密には税金を先延ばしにする繰り延べであるため、完全な非課税ではありません。
ただし、制度を正しく理解し活用することで、実質的な税負担を大きく抑えることが可能です。
本記事で紹介したiDeCoの節税に関するポイントを以下にまとめます
- iDeCoの掛金は全額所得控除の対象となり、所得税・住民税を軽減できる
- 運用益(利息・配当・売却益)は非課税で再投資可能
- 受け取り時も退職所得控除または公的年金等控除の対象になる
- 「節税は嘘」と言われる理由は、課税の繰り延べ・控除枠の圧迫・元本割れリスクの3つ
- 所得税率の高い年に拠出を集中させるなど、工夫次第で節税効果を高められる