

この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- どこまでなら在職老齢年金で「働き損」しない?
- 損益ラインは「51万円」
- 月収・年金額別の支給停止額をシミュレーション
- 年金が減っても「働いた方が得」なケースも
- 在職老齢年金で働き損したくない?どこまで働いても大丈夫かFPに聞いてみよう
- 【体験談】在職老齢年金で損した人・得した人のリアルな声
- 「知らずに年金がゼロになった…」という後悔
- 「支給停止ラインを把握して収入を調整」して得した例
- 在職老齢年金で働き損しないために!誤解しやすい4つのポイント
- 報酬には賞与も含まれる
- 繰下げ受給をしても損することがある
- 厚生年金基金が影響することも
- 51万円を超えると絶対損とは限らない
- 在職老齢年金で働き損しないための対策3選
- 収入がラインを超えないよう調整する
- 厚生年金に加入しない働き方を選ぶ
- 高年齢雇用継続給付金を活用する
- 在職老齢年金で働き損したくない人はマネーキャリアに相談を
- 【まとめ】在職老齢年金を知れば働き損は防げる!どこまで働けるかを知ろう
どこまでなら在職老齢年金で「働き損」しない?
節目の60歳を迎えても、働き続ける選択をする人が増えています。その際に気になるのが「在職老齢年金」の制度。年金と給与の合計が一定額を超えると年金の支給が減るため、「働き損では?」と不安に感じる方も少なくありません。
しかし、支給停止=損とは限らず、実際の手取りや将来の年金額を含めて総合的に判断することが重要です。
まずは、在職老齢年金の制度を踏まえ、「どこまでなら働き損にならないか?」を以下の視点から解説します。
- 損益ラインは「51万円」
- 月収・年金額別の支給停止額をシミュレーション
年金が減っても「働いた方が得」なケースも 制度の仕組みを理解し、自分にとって最適な働き方を見つけるための参考にしてください。
損益ラインは「51万円」
2025年度の在職老齢年金制度では、「基本月額(老齢厚生年金の報酬比例部分)」と「総報酬月額相当額(給与+賞与の月平均)」の合計が51万円を超えると、支給停止の対象となります。
この超過分の半額が年金から減額される仕組みです。仮に減額額が基本月額を上回る場合、年金は全額停止となります。
つまり、在職老齢年金で「働き損」しないためには、月収と年金の合計が51万円以内に収まるかどうかが重要な判断基準となります。
働き方や収入の設計次第で、年金の受給額に大きな差が生じるため、事前のシミュレーションが不可欠です。
月収・年金額別の支給停止額をシミュレーション
在職老齢年金では、総報酬月額と年金の基本月額の合計が51万円を超えると、支給停止の対象となります。
以下の早見表からも分かるように、報酬が50万円を超えると年金の減額が始まり、60万円を超えると支給額がほぼゼロになるケースも見られます。
総報酬/年金 | 6万円 | 8万円 | 10万円 | 12万円 | 14万円 |
---|---|---|---|---|---|
40万円 | 6(全額) | 8(全額) | 10(全額) | 11.5(▲0.5) | 12.5(▲1.5) |
45万円 | 6(全額) | 7.0(▲1.0) | 8.0(▲2.0) | 9.0(▲3.0) | 10.0(▲4.0) |
50万円 | 3.5(▲2.5) | 4.5(▲3.5) | 5.5(▲4.5) | 6.5(▲5.5) | 7.5(▲6.5) |
55万円 | 1.0(▲5.0) | 2.0(▲6.0) | 3.0(▲7.0) | 4.0(▲8.0) | 5.0(▲9.0) |
60万円 | 0(全額停止) | 0(全額停止) | 0.5(▲9.5) | 1.5(▲10.5) | 2.5(▲11.5) |
※「▲」は支給停止された金額を表します。実際の手取りは税・社会保険料などにより異なります。
たとえば、年金額が10万円で報酬が55万円の場合、支給される年金は3万円にまで減少します。つまり、在職老齢年金で働き損となるのはどこまでか、という視点では、報酬と年金のバランスが極めて重要であり、収入設計次第で損益が大きく変動します。
年金が減っても「働いた方が得」なケースも
在職老齢年金では、一定の収入を超えると年金が減額されますが、それでも「働き損」とは限りません。
給与は年金よりも手取り割合が高く、支給停止があっても総収入は増加するケースが多く見られます。
さらに、厚生年金に加入して働くことで、支払った保険料が将来の年金額に反映される「在職定時改定」の対象となり、年金額が毎年見直されて増加する可能性もあります。短期的な減額だけでなく、長期的な収入設計を踏まえた判断が重要です。
在職老齢年金で働き損したくない?どこまで働いても大丈夫かFPに聞いてみよう

65歳以降も働く場合、「在職老齢年金 働き損 どこまで」という疑問は多くの人にとって重要です。年金が減額される可能性があるとはいえ、実際にどの程度損をするのかは個々の収入や年金額によって異なります。
また、働くことで得られる給与の方が年金よりも手取り割合が高く、結果的に収入が増えるケースもあります。
さらに、在職中に支払う保険料が将来の年金額に反映される「在職定時改定」もあるため、長期的には有利になる可能性もあります。損得の判断には、専門的な視点が欠かせません。

【体験談】在職老齢年金で損した人・得した人のリアルな声
在職老齢年金の制度は複雑で、正しく理解していないと「知らないうちに年金がゼロになっていた…」というような後悔につながることもあります。
一方で、制度の仕組みを把握し、収入をうまく調整することで「得をした」と感じている人もいます。
ここでは、実際に在職老齢年金を受け取りながら働いていた人たちのリアルな声を紹介します。制度を知らずに損をしたケースと、支給停止ラインを意識して得をしたケース、それぞれの体験談から、制度への理解を深めるヒントを見つけてください。
- 「知らずに年金がゼロになった…」という後悔
- 「支給停止ラインを把握して収入を調整」して得した例
これから働きながら年金を受け取る予定の方は、ぜひ参考にしてみてください。
「知らずに年金がゼロになった…」という後悔
年金月額が20万円、報酬月額が50万円でフルタイム勤務を続けた結果、在職老齢年金の支給がほぼ全額停止されたというケースがあります。
制度の詳細を知らず、「こんなに減るなら、働き方を変えておけばよかった」と後悔する声も少なくありません。
特に、年金受給開始後も継続して働く場合は、収入と年金のバランスが損益に直結します。制度の理解不足が「働き損」につながることもあるため、事前の確認が重要です。
「支給停止ラインを把握して収入を調整」して得した例
在職老齢年金の制度を理解し、FPに相談したことで「働き損」を回避できたという事例もあります。
ある方は、給与と年金の合計が51万円を超えないように就労時間を調整。その結果、年金は全額支給され、パート収入と合わせて生活費を確保していたケースがあります。さらに、税や社会保険料の負担も抑えられ、手取りベースでの収入効率が向上しました。
制度を活用しながら、自分に合った働き方を選ぶことで、損を避けつつ安定した生活を実現することが可能です。
在職老齢年金で働き損しないために!誤解しやすい4つのポイント

在職老齢年金の制度は複雑で、誤解されやすいポイントがいくつもあります。制度を正しく理解していないと、「働いたのに損をした」と感じてしまうこともあります。
損を避けるためには、制度の仕組みや注意点をしっかり押さえておくことが重要です。
ここでは、特に誤解されやすい4つのポイントについて、具体的な事例を交えながら解説します。制度の理解を深め、損をしない働き方を考えるための参考にしてください。
- 報酬には賞与も含まれる
- 繰下げ受給をしても損することがある
- 厚生年金基金が影響することも
- 51万円を超えると絶対損とは限らない
それぞれのポイントを丁寧に確認し、制度を味方につけましょう。
報酬には賞与も含まれる
在職老齢年金の支給停止判定に用いられる「総報酬月額相当額」には、毎月の給与だけでなく、過去1年間の賞与(ボーナス)も含まれます。
具体的には、年間の賞与合計を12で割り、月額報酬に加算して計算されるため、月給が安全圏にあっても、年2回の高額賞与によって支給停止ライン(51万円)を超えてしまうケースがあります。
この仕組みを知らずに働き続けると、年金が予期せず減額・停止されるリスクがあるため、注意が必要です。
繰下げ受給をしても損することがある
在職老齢年金の支給停止を避けるために、繰下げ受給を検討する人もいます。しかし、在職中に繰下げを選択した場合、すべての年金額が繰下げによる増額対象になるとは限りません。
実際には、在職老齢年金制度によって支給停止となる部分は、繰下げ加算の計算対象から除外されます。
つまり、繰下げた期間に働いていたことで年金が減額され、繰下げによる増額の恩恵を十分に受けられないケースもあるのです。
制度の仕組みを理解せずに繰下げを選ぶと、かえって損をする可能性もあるため注意が必要です。
厚生年金基金が影響することも
過去に厚生年金基金に加入していた人は、その「代行部分」が老齢厚生年金の基本月額に含まれる場合があります。
たとえば、本人の感覚では「月額10万円の年金」と思っていても、基金の代行部分が加算されて実質的に12万円とカウントされ、気づかぬうちに支給停止ライン(51万円)を超えてしまうケースもあります。
このような誤認は、在職老齢年金の減額リスクを高める要因となるため、過去の企業年金制度への加入歴がある方は特に注意が必要です。
51万円を超えると絶対損とは限らない
在職老齢年金の支給停止ラインである「51万円」は、あくまで減額の起点であり、これを超えたからといって必ずしも損になるわけではありません。
年金が減額されたとしても、その分を給与で補えていれば総収入ベースではプラスになるケースも多く見られます。
また、厚生年金保険料を支払っている間は「在職定時改定」により、将来の年金額が上乗せされる仕組みもあるため、長期的な視点では得になる可能性もあります。目先の減額だけでなく、総合的な収入設計が重要です。
在職老齢年金で働き損しないための対策3選

在職老齢年金の制度は、複雑な仕組みや例外が多く、誤解されやすいポイントがいくつもあります。制度を正しく理解していないと、「働いたのに損をした」と感じてしまうこともあるので注意が必要です。損を避けるためには、制度の本質をしっかり押さえておくことが重要です。
ここでは、在職老齢年金に関する誤解しやすいポイントを、具体的な事例を交えながら4つ紹介します。制度の理解を深め、損をしない働き方を考えるための参考にしてください。
- 報酬には賞与も含まれる
- 繰下げ受給をしても損することがある
- 厚生年金基金が影響することも
- 51万円を超えると絶対損とは限らない
それぞれの注意点を具体的な事例で考え、制度を味方につけて賢く働きましょう。
収入がラインを超えないよう調整する
在職老齢年金の支給停止ラインである「51万円」を超えないよう、収入や就労時間を調整することは有効な対策の一つです。
特に、短時間の再雇用契約やパート勤務であれば、報酬をコントロールしやすく、年金の全額支給を維持しながら生活費を確保することが可能です。
会社と相談し、働き方を柔軟に見直すことで、年金制度の不利益を回避することができます。
厚生年金に加入しない働き方を選ぶ
在職老齢年金の支給停止は、厚生年金に加入していることが前提です。したがって、そもそも厚生年金に加入しない働き方を選べば、支給停止の対象にはなりません。
たとえば、業務委託契約や個人事業主として働くことで、厚生年金の加入を避けることが可能です。
このような働き方であれば、年金を減額されることなく、収入を得ることができます。ただし、制度の違いや保障の有無なども踏まえたうえでの選択が必要です。
高年齢雇用継続給付金を活用する
60歳以降に賃金が60歳時点の75%未満に下がった場合、雇用保険から高年齢雇用継続給付金が支給されることがあります。
この給付金は在職老齢年金とは別枠で支給されるため、年金が減額されても給付金によって手取りが補われるケースもあります。
特に再雇用で給与が下がる人は、給付金を含めた実質の手取りで損得を判断することが重要です。ただし、給付金の受給により年金の一部が支給停止となる調整もあるため、制度の理解が欠かせません
在職老齢年金で働き損したくない人はマネーキャリアに相談を

60代以降も働くと決めた以上、お金のことで損したくないと考えるのは自然なことです。しかし、在職老齢年金制度の存在が、働き方の選択において大きなハードルとなっている人も少なくありません。
とはいえ、制度を正しく理解し、資産状況に応じた対策を講じれば、損しない働き方は十分に可能です。働き損のラインは人によって異なるため、まずはFPなどの専門家に相談し、自分に合った働き方を見つけることが重要です。
【まとめ】在職老齢年金を知れば働き損は防げる!どこまで働けるかを知ろう
在職老齢年金の制度についてと、「働き損」を防ぐためのポイントや対策を解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
在職老齢年金では、給与と年金の合計が月51万円を超えると一部が支給停止になります。しかし、それだけで「働き損」と決めつけるのは早計です。年金が減っても給与で補われていれば、総収入ベースではプラスになることもありますし、将来的な年金増額(在職定時改定)も見込めます。
制度を正しく理解し、戦略的に働き方を選ぶことで、むしろ「得する」ことも可能です。一人で悩まず、まずはFP無料相談を活用して、自分にとって損しない選択肢を見つけましょう。
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