
- 結論、がん保険を解約してもいいかどうかは人によって異なり、家計の状況や年齢・他の保障状況などから総合的に判断する必要があります。

監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- がん保険を解約してもいい?
- がん保険の解約を検討してもいいタイミング
- 保険料の負担が家計を圧迫している時
- 古い保険で保障内容が時代に合わない時
- 貯蓄や他の保障で十分にカバーできると判断した時
- 定年退職後で収入が減少した時
- がん治療に対する考え方が変わった時
- がん保険を解約するか迷ったら無料相談で専門家の意見を聞こう
- がん保険を解約する際に知っておきたい注意点
- 新しいがん保険に加入できなくなる可能性がある
- 再加入時の保険料が高くなる可能性がある
- 再加入時には免責期間が発生する
- がん保険をやめた後に後悔した人の声【アンケート調査】
- がん保険を解約したのは何歳の時ですか?
- がん保険を解約した理由はなんですか?
- 解約して後悔したことはなんですか?
- もし時間を戻せるなら解約しないという選択をしますか?
- がん保険の解約時には解約返戻金が受け取れる
- 解約返戻金とは?
- 解約返戻金を受け取る際の注意点
- がん保険を解約する際の手順
- がん保険を解約する際は慎重に検討しよう【まとめ】
がん保険を解約してもいい?
がん保険を解約してもいいかどうかは、以下の点によって変わるため、一概に判断はできません。
- 年齢
- 貯蓄状況
- 他の保険で得られる保障内容
日本人が障害でがんに罹患する確率は、男性で62.1%、女性で48.9%と2人に1人は罹患する(※)とされています。
また、がん治療は長期化しやすく、中には高額な治療費がかかるケースもあるため、十分な備えがないまま解約するのは慎重に考える必要があります。
さらに、一度がん保険を解約した後再加入を希望しても、年齢や他の病気などの事情で再加入が難しくなったり、条件が悪くなったりするため注意が必要です。
がん保険の解約を検討してもいいタイミング
がん保険を解約を検討してもいいタイミングは以下の通りです。
- 保険料の負担が家計を圧迫している時
- 古い保険で保障内容が時代に合わない時
- 貯蓄や他の保障で十分にカバーできると判断した時
- 定年退職後で収入が減少した時
- がん治療に対する考え方が変わった時
解約ではなく、見直しをするだけでも保険料負担を抑えたり、今の時代に合った保障を安く受けやすくなったりします。
それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
保険料の負担が家計を圧迫している時
月々の保険料が家計の大きな負担となっている場合は、保障内容を見直すか解約を検討するタイミングです。
加入当初は負担感なく月々の保険料を払えていても、何かしらの事情で収入が落ちたり、出費が冷えたりすると、保険料の負担が大きくなる場合が少なくありません。
不測の事態のために加入し続けることも大切ですが、まずは目の前の生活を安定させるのが最優先です。
ただし、単純にがん保険を解約するのではなく、より安い保険への乗り換えも検討しましょう。
古い保険で保障内容が時代に合わない時
2つ目は、古い保険で保障内容が時代に合わない時です。
日々、医療が進歩しているように保険も進歩していっており、新しい治療に対応できるように、新しいがん保険や新しい特約などがどんどん出てきます。
特に、加入から長期間経過している保険は、保障が古く十分な給付金を受け取れない場合もあるため注意が必要です。
そういった場合は、よりコスパがよく現代に合った保障を受けられる保険への乗り換えを検討しましょう。
貯蓄や他の保障で十分にカバーできると判断した時
貯蓄や他の保障で十分カバーできると判断したときも、がん保険の解約を検討するタイミングです。
がんの治療には、公的医療保険が適用されるため自己負担額は原則3割であり、治療費が高額になっても高額療養費制度が活用できます。
自己負担額を貯蓄で十分賄えると判断した場合は、がん保険に対する月々の保険料を削減するために解約を検討するのも1つの選択肢です。
また、加入中の医療保険に、がん診断一時金やがん通院特約など付加されている場合は、がん保険がなくてもある程度の保障を確保できるかもしれません。
定年退職後で収入が減少した時
定年退職後は主な収入減が年金となり、現役自体に比べて収入が減少するため、がん保険を解約するか検討するタイミングになります。
月々の保険料は収入が減少した家計を圧迫するため、保険料負担を減らしたい場合は解約を検討してもよいでしょう。
しかし、がんは高齢になるほど罹患するリスクは高まるため、がんの治療費を退職金や貯蓄で賄えない場合は解約しないほうがよい場合もあります。
保険料の負担を減らしたいなら、解約ではなく保険料の安い別の保険商品に乗り換えるなどの選択肢も考え、リスクと保険料のバランスを意識しましょう。
がん治療に対する考え方が変わった時
高齢になって積極的な治療を望まなくなった場合、高額な治療費をカバーするためのがん保険の必要性は下がります。
例えば以下のようなときは、解約を検討する価値があるといえます。
- 延命治療よりも緩和ケアを重視したい
- 家族に保険料の負担をかけたくない
- 十分な貯蓄があり、必要最小限の治療費は賄える
- 公的医療保険や高額療養費制度で対応可能と判断
がん保険を解約するか迷ったら無料相談で専門家の意見を聞こう
がん保険を解約するか迷ったら専門家(FP)の意見を聞くのも検討しましょう。
FPは保険のプロであり、一般的な知識ではわからない複雑な保障の仕組みやプランをよく理解しています。
そのため、FPに相談することで年齢や加入中の保険内容・貯蓄状況を踏まえた最適な解約タイミングや見直しをアドバイスしてもらうことが可能です。
FPへの相談サービスは数多くありますが、その中でも無料で相談できるマネーキャリアがおすすめです。
- オンラインでがん保険の解約診断ができる
- 保険料を抑えたい場合は50社以上の保険会社のプランを比較してもらえる
- 相談実績10万件の安心感があり、何度でも無料相談ができる
がん保険を解約する際に知っておきたい注意点
がん保険の解約を考えたタイミングで注意していただきたいことがありますので、下記にまとめてみました。
- 新しいがん保険に加入できなくなる可能性がある
- 再加入時の保険料が高くなる可能性がある
- 再加入時には免責期間が発生する
詳しくは後ほど解説しますが、この3点は注意が必要です。
特に、加入しているがん保険を解約した後に、新しいがん保険に加入できなくなる可能性には特に注意してください。
新しいがん保険に加入できなくなる可能性がある
最も注意していただきたいのが、新しいがん保険に加入できなくなる可能性があることです。
新しい保険に加入する場合には、健康状態を報告する「告知」が必要になります。
その告知により、現在の健康状態で加入できる・加入できない、の審査がされます。
健康であれば問題ないですが、病気を患ってしまった場合や、健康診断の結果が著しく悪い場合には加入を拒否される場合があります。
再加入時の保険料が高くなる可能性がある
がん保険の再加入時に保険料が高くなる可能性があることも注意が必要です。
一般的にがん保険を含む生命保険商品は年齢が高くなるほど、病気や死亡リスクが高くなるため、保険料も高くなります。
特にがんに関しては、厚生労働省の調査によると日本人の死因の第1位であるため、年齢を重ねることによる保険料の上昇率も高い傾向です。
そのため、がん保険の解約を検討する際は、再加入の可能性や再加入時の保障内容と保険料のバランスを総合的に判断する必要があります。
再加入時には免責期間が発生する
基本的にがん保険には免責期間が存在する点にも注意が必要です。
免責期間を簡潔にまとめると、契約日から90日以内に発見されたがんに対しては保険が使えないというものです。
新しくがん保険に加入したとしても、前のがん保険を解約していては免責期間中にがんを罹患すると、がんに対する保障がなにもなくなってしまいます。
保険商品によっては免責期間が存在しないものもあるので、解約を検討するタイミングで免責期間については考えておく必要があります。
がん保険をやめた後に後悔した人の声【アンケート調査】
がん保険をやめた後に後悔した人の声をアンケートで調査しました。
今回アンケートととった項目は以下の通りです。
- がん保険を解約したのは何歳の時ですか?
- がん保険を解約した理由はなんですか?
- 解約して後悔したことはなんですか?
- もし時間を戻せるなら解約しないという選択をしますか?
がん保険を解約したのは何歳の時ですか?
「がん保険を解約したのは何歳の時ですか?」という質問に対する結果は以下のようになりました。
- 20代:23.2%
- 30代:32.6%
- 40代:16.3%
- 50代:18.6%
- 60代:9.3%
がん保険を解約した理由はなんですか?

30代女性
毎月の固定費が高く子供が生まれるまでは解約しておこうと思った
夫のがん保険を解約しました。金額的に毎月の固定費が高いと感じたため解約に至りました。子供を出産する予定なので、出産後保険をまた見直したいと思い、一旦お金が必要だったのもあり、積み立ての保険自体解約しました。

20代女性
保障が重複したから
がん保険を解約した理由は、職場の福利厚生で新たに手厚い医療保険に加入できたためです。 保障内容が重複しており、毎月の保険料の負担も見直したかったことから、必要性を感じなくなりました。 また、健康状態が良好で、予防や定期検診にも力を入れているため、今の自分には過剰な保障だと判断しました。

20代男性
まだ若いので保険料を貯金に回そうと思った
まだ20代と若く、結婚した当初だったので、これからの将来子供のことにお金がかかってくるのなら少しでも貯金しておいた方が良いと判断したため、加入していたがん保険を解約してその保険料を貯金に回すようにしました。
解約して後悔したことはなんですか?
「解約して後悔したことはなんですか?」という質問に対する結果は以下のようになりました。
- がんと診断され、治療費の負担が重くなった:20.9%
- 家族や親族ががんになり、保険の重要性を実感した:30.2%
- 年齢が上がって再加入時の保険料が高くなってしまった:18.6%
- 健康状態が悪化して再加入できなくなった(または条件が厳しくなった):18.6%
- がんに関するニュースや情報を見て不安になった:11.7%
また、具体的には以下のような声が寄せられました。

50代男性
解約した後にがんが見つかり後悔
がん保険を解約した途端に、肺がんが見つかりました。医療保険は入っていたし、高額医療費制度もあったものの、やはり治療が基本実費になるため治療の選択の幅が狭くなったと思う。受けたい治療が受けれるように、万が一のために、がん保険は入っていなければいけなかった。

20代女性
健康状態が悪化して再加入が難しくなった
一度がん保険を解約し40代くらいで再契約しようと思いましたが、現在病気にかかってしまって再契約が厳しいかもと言われました。 また、この病気ががんにかかる確率が高いものらしく解約しなければよかったと後悔しています。

50代女性
高齢になりがんのリスクが上がった時に後悔した
以前、家計の見直しをした際に、父のがん保険を解約したことがあります。当時、父は健康で特に持病もなかったため、保険料の負担を減らす目的で解約を決めました。しかし今になって考えると、高齢になりがんのリスクも上がる時期に保障がないのは不安だと感じています。もしもの時に医療費の負担が大きくなることを考えると、解約せずに続けておけば良かったのではないかと少し後悔しています。
もし時間を戻せるなら解約しないという選択をしますか?
「もし時間を戻せるなら解約しないという選択をしますか?」という質問に対する結果は以下のようになりました。
- はい:90.7%
- いいえ:9.3%
がん保険の解約時には解約返戻金が受け取れる
がん保険の解約時に解約返戻金が受け取れる場合もあります。
がん保険には大きく分けて掛捨てタイプか、積立てタイプの2種類があり、積立タイプの場合は積み立てた保険料が解約時に返ってきます。
加入しているがん保険が、解約返戻金がないタイプなのか、解約返戻金があるタイプなのかも確認してみてください。
解約返戻金がある積立タイプの場合にも、解約返戻金を受け取る際に、いくつか注意すべきことがありますので後ほど解説します。
解約返戻金とは?
そもそも解約返戻金とは何かを解説しておきます。
先ほどお伝えしたように、積立タイプの場合に解約時に返ってくるお金のことです。
この解約返戻金には3つの型があります。
- 従来型
- 低解約返戻金型
- 無解約返戻金型
従来型は払戻率により計算され算出された金額がもどってくる一般的な型です。
低解約返戻金型は保険商品によりますが、通常の返戻金の70%程度に返ってくる金額を抑えている型で、その代わりに、保険料の払込完了後の返戻率を高く設定しています。
無解約返戻金型は解約返戻金がない代わりに、保険料を安く抑えられる。上記でいう掛捨てタイプのことです。
解約返戻金を受け取る際の注意点
解約返戻金を受け取る際にも注意点があります。
- 保険料の満額が戻るわけではない
- 保険料払込期間中の解約返戻金は少なくなる
- 税金がかかる場合がある
解約返戻金を受け取れるとしても、今まで払ってきた保険料の全額が受け取れるわけではありません。
上記の3つの型のどれかによって金額は変わってきますので、気になる方は加入している保険会社に確認してみてください。また、商品によっては全額返ってくるものもあります。
解約のタイミングが保険料払込期間中の場合は基本的に、解約返戻金は少なくなるように設定されていますので、注意が必要です。
解約返戻金の金額によっては「一時所得」として税金がかかる場合があります。
一時所得の計算式はこちらです。
{(解約返戻金-払込保険料)-50万円}÷2
解約返戻金と支払った保険料の累計との差額が50万円を超えない場合には、発生しません。しかし、他の一時所得がある場合は全て合算で計算されます。がん保険を解約する際の手順
がん保険を解約する際の手順は、解約返戻金を受け取りたい際の手順とほぼ同じですが、注意すべき点がありますので解説します。
- 担当者もしくは保険会社に解約の旨を連絡する
- 後日、届く書類に必要事項を記入する
- 記入した書類と他の必要な書類(本人確認書類、保険証券など)を同封し送り返す
- 保険会社が解約処理をする
- 保険会社から解約完了の通知が届く
難しいことはなにもありませんが、注意すべき点は解約する「タイミング」です。
がんの保障がもう必要ないという方は気にする必要はありませんが、より魅力的な保険に変えるという方は要注意です。
先述したように、がん保険には免責期間があります。
加入してから90日間は新しく加入したがん保険は使えませんので、解約するタイミングを間違えるとがん保障が何もない期間ができてしまします。
それを承知で解約するのか、新しくがん保険に加入してから90日後に解約するのか、タイミングをどうするのか、よく考えてから解約手続きを進めてください。
がん保険を解約する際は慎重に検討しよう【まとめ】
がん保険は年齢や貯蓄状況、他の保障などによって解約しても大丈夫かが異なりますが、がんの罹患率は2人に1人と高く、治療費も高額になりやすいため注意が必要です。
がん保険の解約を検討してもいいタイミングは以下の5つです。
- 保険料の負担が家計を圧迫している時
- 古い保険で保障内容が時代に合わない時
- 貯蓄や他の保障で十分にカバーできると判断した時
- 定年退職後で収入が減少した時
- がん治療に対する考え方が変わった時
- 新しいがん保険に加入できなくなる可能性がある
- 再加入時の保険料が高くなる可能性がある
- 再加入時には免責期間が発生する