

監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- 緩和療養特約(緩和ケア特約)とは
- 緩和療養特約(緩和ケア特約)の必要性を解説
- がん保険の緩和療養特約(緩和ケア特約)は必要?迷ったらFPに無料相談しよう!
- がん保険の緩和療養特約(緩和ケア特約)の必要性が高い人とメリットを解説
- 延命よりも苦痛の少ない最期を希望する人
- 十分な資金準備が出来ていない人
- がん保険の緩和療養特約(緩和ケア特約)の必要性が低い人とデメリットを解説
- 最期まで積極的治療を希望している人
- 高額療養費の一時支払いに問題がない人
- がん治療の緩和ケアとホスピスの違いは?
- ホスピスは緩和ケアが専門の医療機関
- 緩和ケアの受療方法
- 緩和ケアやホスピスに必要な費用
- 緩和ケアにおける指定代理請求特約とは?
- 緩和療養特約(緩和ケア)は必要!【まとめ】
緩和療養特約(緩和ケア特約)とは
緩和療養特約とは、がんに伴う肉体的・精神的な苦痛を和らげる緩和ケアの医療費を保障する特約です。
緩和ケアは終末期だけでなく治療の初期段階から実施されるようになっており、がん治療の長期化に備える目的で注目されています。
この特約が適用されるためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 緩和ケアを受ける医療機関が緩和ケア専門病棟などの指定施設であること
- 公的医療保険が適用される治療行為を行っていること
例えば、一般病棟での緩和ケアや、公的医療保険が適用されない薬剤費用は対象外です。
入院の場合は「緩和ケア病棟入院料」が算定される施設であること、在宅や通院の場合も診療報酬明細に緩和ケアの記載があることが条件となります。
緩和療養特約(緩和ケア特約)の必要性を解説
緩和療養特約が必要とされる理由は以下の通りです。
- 緩和ケアは治療初期から受けられるよう厚生労働省が推進している
- 治療が長期化する中で、医療費を保障する特約の重要性が高まっている
- がん患者アンケートでも必要な保障の第3位に選ばれている
- がん保険の商品ごとに自分に必要な保障を見極めることが大切
緩和療養特約があれば治療に伴う経済的負担を軽減でき、安心して緩和ケアを選択できます。
がん保険を検討する際には、特約の有無が将来の安心につながる重要な判断材料となります。
がん保険の緩和療養特約(緩和ケア特約)は必要?迷ったらFPに無料相談しよう!
- 緩和療養特約を付けたほうがいいのか分からない
- 高額療養費制度があるのに、本当に保険で備える必要があるの?
と迷う方も少なくありません。
判断に迷ったら専門家であるFPに相談するのがおすすめです。
がん保険や特約はライフプラン・貯蓄額・治療方針によって必要性が大きく変わるため、プロの視点で整理してもらうことが安心につながります。
そこで役立つのが、何度でも無料で相談できるマネーキャリアです。
- あなたのライフプランや貯蓄状況を踏まえた最適な保障設計が可能
- 緩和療養特約の保障範囲や条件をわかりやすく解説してもらえる
- 保険料と保障内容のバランスを比較し、無理のない選択を提案
- 公的制度(高額療養費制度など)との違いや活用法もあわせて整理
- 数十社以上の保険を比較できるため納得感が高い
緩和療養特約は、がん治療が長期化した場合の経済的な備えになりますが、必ずしも全員に必要とは限りません。
自分や家族の希望する治療方針、医療費の自己負担力、ライフイベントの見通しを総合的に判断することが大切です。
その判断を一人で抱え込むよりも、FPに相談することで「自分にとって本当に必要かどうか」が明確になります。
がん保険の緩和療養特約(緩和ケア特約)の必要性が高い人とメリットを解説
緩和療養特約の必要性が高い人の具体的なケースは以下の通りです。
- 延命よりも苦痛の少ない最期を希望する人
- 十分な資金準備が出来ていない人
これらのケースに当てはまる人は、緩和療養特約を付けることで経済的・精神的な安心につながります。
ここからは、それぞれの理由とメリットを詳しく解説します。
延命よりも苦痛の少ない最期を希望する人
延命よりも苦痛の少ない最期を望む人は緩和療養特約の必要性が高いです。
医師が積極的治療の終了と緩和ケアへの移行を判断した場合に給付対象となるため、希望するケアを選びやすくなるからです。
緩和療養特約が必要な理由は次のとおりです。
- 医師の緩和ケア移行判断で給付金請求が可能
- 痛みや症状緩和に伴う医療費の自己負担を軽減
- 入院・在宅・通院の緩和ケアでも対象となる場合がある
- 経済的不安を抑え、本人と家族の意思を優先しやすい
十分な資金準備が出来ていない人
医療費の一時的な支払いに不安がある人は緩和療養特約の必要性が高いです。
高額療養費制度があっても窓口で一度は医療費を立て替えなければならないため、まとまった資金がない場合には支払いが困難になるからです。
必要性が高い理由は次のとおりです。
- 高額療養費制度は申請後に払い戻される仕組みのため、一時的に高額の支払いが発生する
- 緩和療養特約があれば給付金で窓口負担を軽減できる
- がん治療や緩和ケアは長期化する傾向があり、医療費の総額は大きくなりやすい
- 教育費や生活費など他の支出が重なる家庭では資金準備が追いつきにくい。
高額療養費の上限は年齢や年収に応じて設定され、多くの場合1か月あたり約8万円前後(年収約770万円以下の場合)になります。
しかし支払いは一度全額を立て替える必要があるため、十分な貯蓄がない人にとっては大きな負担です。
緩和療養特約を備えておくことで、この負担を和らげ安心して治療を受けやすくなります。
がん保険の緩和療養特約(緩和ケア特約)の必要性が低い人とデメリットを解説
緩和療養特約の必要性が低い人の具体的なケースは以下の通りです。
- 最期まで積極的治療を希望している人
- 高額療養費の一時支払いに問題がない人
これらのケースに当てはまる人は、緩和療養特約を付けても費用対効果が低くなる可能性があります。
ここからは、それぞれの理由とデメリットを詳しく解説します。
最期まで積極的治療を希望している人
延命や積極的ながん治療を希望する人には、緩和療養特約の必要性は低いといえます。
緩和ケアに移行したと医師が判断した際に給付対象となるため、積極的治療を続ける場合には特約の恩恵を受けにくいからです。
緩和療養特約の必要性が低い理由は次のとおりです。
- 給付は「緩和ケア移行時」に限定される
- 治療を継続する場合は対象外になりやすい
- 保険料に対して効果が得にくい
高額療養費の一時支払いに問題がない人
一定の貯蓄があり、高額療養費制度による立て替えが可能な人は、緩和療養特約の必要性が比較的低いといえます。
高額療養費制度が自己負担分を後から軽減する制度であり、事前の資金準備と制度活用ができれば特約で補う必要性が薄れるからです。
緩和療養特約の必要性が低い理由は次のとおりです。
- 高額療養費制度で医療費は上限が決まっている
- 限度額適用認定証で窓口支払いも軽減できる
- 貯蓄があれば一時的な立て替え払いに対応可能
がん治療の緩和ケアとホスピスの違いは?
ホスピス、という言葉に聞き覚えがある方もいるかと思います。ホスピスも緩和ケアと同様に病気に伴う肉体的・精神的なケアを行います。
緩和療養特約が必要かどうかを考えるにあたって、ホスピスとの違いが気になる方もいるでしょう。
また、ホスピスががん保険の保障に含まれるか、という点も気になるかと思います。
がん治療における緩和ケアとホスピスの違いについては以下の点を押さえてください。
- ホスピスは緩和ケアが専門の医療機関
- 緩和ケアの受療方法
- 緩和ケアやホスピスに必要な費用
それぞれ詳しく解説していきます。
ホスピスは緩和ケアが専門の医療機関
ホスピスは緩和ケアが専門の医療機関で、緩和ケア病棟などが該当します。
ホスピスは回復の見込みがない方、病気の終末期にいる方に対して、人生の最後を穏やかに迎えるための施設です。
緩和ケアは病気の初期段階でも実施されることがあるため、この点が違いです。
厚生労働省に申請し、認定を受けた施設のみがホスピスとなり、施設の名称や所在地などは「緩和ケア病棟入院料届出受理施設一覧」で確認できます。2023年10月31日時点では全国に466ヶ所あります。
がん保険の緩和療養特約の対象となるかどうかは「緩和ケア病棟入院料届出受理施設一覧」で確認できるホスピスに入院したかどうかがポイントです。
一覧で確認できるホスピスに入院した場合はがん保険の緩和療養特約や入院給付金の対象となるケースが一般的です。
詳細な条件は商品によって異なるため、契約前にご確認ください。
緩和ケアの受療方法
次に緩和ケアの受療方法です。
ホスピスは入院のみでしたが、緩和ケアの場合、入院に加えて、在宅や通院もあります。
緩和ケアの場合、ホスピスのような人生の最後を穏やかに迎えるため、という目的がない点が影響しています。
完治を目指す方ががんの治療と一緒に緩和ケアを受けることもあり、近年がんの治療が入院よりも通院の方が主流になっていることからも、通院や在宅での緩和ケアを選ぶ人もいます。
まとめると、緩和ケアはがんの闘病中いつでも受けることができ、場所も自宅や病院などの選択肢がありますが、ホスピスはがんの末期に厚生労働省が認定した施設でのみ受療する点が違いです。
緩和ケアやホスピスに必要な費用
最後に費用に関してです。
一般病棟で緩和ケアを受ける場合、通常の医療費に加えて「緩和ケア診療加算」分がプラスされます。実際の医療費は公的医療保険が適用されるため、1割または3割負担です。
そこから、公的医療保険が適用されない食事代や差額ベッド代などが全額自己負担で加算されます。
次に厚生労働省から承認を受けている専門施設で緩和ケアを受ける場合、医療費は定額となっており、1日あたり約50,000円です。この費用に加えて、食事代460円が入院日数分に応じてかかります。
定額の医療費に関しては公的医療保険が適用されるため、3割負担であれば約15,000円、1割負担であれば約5,000円が1日あたりの実際に負担する医療費です。
仮に30日利用するとなると、1割負担であっても総額が15万円となりますが、高額療養費が適用されるため、医療費は抑えられます。
緩和ケアにおける指定代理請求特約とは?
- 配偶者
- 直系血族
- 同居または生計を一にしている3親等内の親族
緩和療養特約(緩和ケア)は必要!【まとめ】
緩和療養特約は、がん治療に伴う費用負担を和らげる重要な備えのひとつです。
治療の初期段階から緩和ケアが導入されるケースも増えており、長期化する治療に備える意味でも検討する価値があります。
本記事で紹介したポイントは以下の通りです。
- 緩和ケアは治療初期から受けられるため、保障があると安心できる
- 治療が長期化すれば費用も増え、特約が経済的負担を軽減する
- 十分な貯蓄があれば、特約を付けなくても対応できる場合がある
- 保険料と保障内容のバランス次第では割に合わないこともある
- 医療費に不安がある人には、緩和療養特約付きのがん保険が有効
緩和療養特約は全員に必須ではないものの、医療費の備えに不安がある人には大きな支えとなる保障です。
自身の貯蓄やライフプランを踏まえ、将来の安心につながる選択をしていきましょう。