
- 結論、iDeCoで商品を分散しすぎると逆効果になる可能性が高いです。
分散投資は効果的な運用方法ですが、やりすぎるとパフォーマンスや管理効率を下げる原因になるため適切な商品数に抑えることが大切です。

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- iDeCoで分散しすぎるデメリットを解説
- 同じ値動きの資産同士を組み合わせても分散投資の効果が薄くなる
- 商品が増えると1商品あたりの投資金額が少なくなる
- ひとつひとつの金融商品の動向に目が行き届かなくなる
- iDeCoに投資する商品はいくつ選ぶのがおすすめ?資金パターン別に解説
- 月々1万円以内の場合は1~2商品
- 月々2万円以内の場合は2~3商品
- 月々3万円以上の場合は3~4商品
- iDeCo(確定拠出年金)の分散投資に関する悩みならマネーキャリアに相談するのがおすすめ
- iDeCo(確定拠出年金)を分散しすぎている人が投資で分散効果を高めるコツ
- 値動きが異なる2つ以上の資産を組み入れるようにする
- 時間分散によって購入単価を平均化する
- 自分のリスク許容度に応じて資産配分を考える
- iDeCo(確定拠出年金)の分散投資でおすすめの運用スタイル
- 無難にバランスよく分散投資して運用したい方
- 投資経験があり自分で組み合わせたい方
- まとめ|iDeCo(確定拠出年金)の分散しすぎは効果ない?
iDeCoで分散しすぎるデメリットを解説
iDeCo(確定拠出年金)は、複数の商品に対して投資を行うリスク分散型の投資信託です。
iDeCoの分散しすぎるデメリットを以下3つ解説します。
- 同じ値動きの資産同士を組み合わせても分散投資の効果が薄い
- 商品が増えると1商品あたりの投資金額が少なくなる
- ひとつひとつの金融商品の動向に目が行き届かなくなる
iDeCoの目的は、老後資金を貯めて生活を豊かにすることです。長期的な考えを持って動く必要があるので、分散しすぎて逆に損しないためにも、ひとつずつ見ていきましょう。
同じ値動きの資産同士を組み合わせても分散投資の効果が薄くなる
まず、iDeCo(確定拠出年金)のなかで分散投資を行う「メリット」は、ひとつ商品が大きな値値下がりを見せたとしても、異なる動きをする別の商品の値動きでカバーし、利益を減らさない部分にあります。
しかし、商品の分散先を増やしてしまうと、同じ値動きをしてしまう商品が重複する場合があります。
これからiDeCoを始めようとする人の中には、似たような投資先ばかり選んでいる人も多いと思います。しかし、それだとリスクを分散できません。
つまり、大きくマイナスが出た場合には、リスクを分散できずに損益を生み出してしまうのです。
iDeCoで分散投資を行い、しっかりと利益を生み出していくためには、値動きが異なる商品を選択していく必要があります。
このとき、ただ沢山の投資先を選んで分散しすぎるのではなく、数を厳選し、必要最低限の商品で分散するのがオススメです。
商品が増えると1商品あたりの投資金額が少なくなる
iDeCo(確定拠出年金)は、あなたが今得ている収入の一部を使って、将来のための投資を行います。
つまり、人によって収入が変わるため、投資限度額は人それぞれであり、商品の数が多ければ多いほど、1商品あたりの投資金額が少なくなります。
これに対して「別に問題なのでは?」と感じる人もいるでしょう。では、次のことを考えてみてください。
- 1商品に対して100万円を投資
- 1商品に対して50万円を投資
- 100万円の投資が500万円になる(400万円の利益)
- 50万円の投資が250万円になる(200万円の利益)
ひとつひとつの金融商品の動向に目が行き届かなくなる
投資商品を選んでiDeCoを運用するとき、定期的に対象商品の「評価額の上下」や今後値動きはどうなるかをチェックしておきたいという人もいるでしょう。
このとき、分散しすぎた投資を行ってしまうと、あなたがチェックすべきものが増えてしまいます。
つまり、商品が増えれば増えるほどチェックに要する手間や時間が増えてしまうということです。
あまり投資信託について詳しくない人であれば、この状況は望ましくありません。
限られた時間内で一つひとつの商品を丁寧にケアしていく方がシンプルでわかりやすく、利益を出しやすくなるので、分散しすぎないように気を付けましょう。
iDeCoに投資する商品はいくつ選ぶのがおすすめ?資金パターン別に解説
iDeCoに投資する商品は、掛金の金額に応じて適切な数を選ぶのが効果的です。
以下は、掛金の目安ごとにおすすめの商品数です。
- 月々1万円以内の場合は1~2商品
- 月々2万円以内の場合は2~3商品
- 月々3万円以上の場合は3~4商品
このように、資金の額に応じて無理のない分散を心がけることが、iDeCo運用の成果を高めるコツです。
ここからは、各資金パターンごとに適した商品数の考え方を詳しく解説します。
月々1万円以内の場合は1~2商品
月々1万円以内の掛金なら、商品は1~2本に絞るのが効果的です。
少額で多くの商品に分散すると、1本あたりの投資額が小さくなり、運用効果が薄れるためです。
以下は、月1万円以内でのおすすめの投資パターンです。
- 1本:全世界株式など、1本で広く分散されたインデックス型投信
- 2本:先進国株式+国内債券など、値動きが異なる資産クラスを組み合わせる
掛金が限られる場合は、管理しやすく長期で成果を出しやすいシンプルな構成が理想です。
月々2万円以内の場合は2~3商品
月々2万円以内の掛金なら、2~3商品に分けて投資するのが適切です。
資産配分の自由度が増すため、リスク分散とリターンのバランスがとりやすくなります。
以下は、2万円以内での商品選びの基本パターンです。
- 2本:先進国株式+国内債券など、異なるリスク資産をバランス良く配分
- 3本:国内株式・外国株式・REITなど、複数の資産に分散して積立
シンプルな組み合わせでリスクとリターンのバランスを整えるのがポイントです。
月々3万円以上の場合は3~4商品
月々3万円以上の掛金がある場合は、3~4商品に分けるのが効果的です。
掛金に余裕があるため、複数の資産クラスに分散しながらリスクとリターンの最適化を図れます。
以下は、3万円以上での商品配分の一例です。
- 3本:先進国株式・国内債券・REITの組み合わせで値動きを分散
- 4本:国内株式・外国株式・外国債券・ゴールドなど多角的に分散
目的に合わせて資産クラスを組み合わせると効果的です。
iDeCo(確定拠出年金)の分散投資に関する悩みならマネーキャリアに相談するのがおすすめ
iDeCoの分散投資に悩んだら、専門家に相談できるマネーキャリアの利用がおすすめです。
商品の選び方や資産配分の考え方は人によって異なるため、自分に合った運用方針を明確にするにはプロのサポートが有効です。
- 何度でも無料で相談できる
- FP(ファイナンシャルプランナー)のプロフィール・口コミを事前に確認できる
- NISAやiDeCoなど税制優遇制度に詳しい専門家が対応
- ライフプランや将来設計に基づいた資産配分の提案が可能
- オンライン対応・土日祝も相談可能で予約もLINEで簡単
iDeCo(確定拠出年金)を分散しすぎている人が投資で分散効果を高めるコツ
iDeCoで分散しすぎていると感じる人は、以下の3つのポイントを意識することで、分散効果を最大限に高めることが可能です。
- 値動きが異なる2つ以上の資産を組み入れるようにする
- 時間分散によって購入単価を平均化する
- 自分のリスク許容度に応じて資産配分を考える
商品を増やすだけではリスク分散にならず、かえって運用効率が悪化することもあります。
商品の数ではなく、資産の種類や配分方法をどう設計するかが運用成果に大きく影響します。
ここからは、これら3つの工夫について具体的に解説していきます。
値動きが異なる2つ以上の資産を組み入れるようにする
iDeCo(確定拠出年金)で分散投資を行うなら、必ず値動きが異なる2つ以上の商品を組み入れるようにしましょう。
iDeCoで行う分散投資は「ドルコスト平均法」と呼ばれる投資の考え方に基づき、長期的にゆっくりと利益を生み出していく投資方法です。
このとき値動きが異なる商品を選ぶ際には、次の商品を組み合わせるのがオススメです。
- 株式
- 証券
時間分散によって購入単価を平均化する
分散効率を高める方法のひとつに「時間分散」を行うという方法があります。
時間分散とは、投資のタイミングを分散することによって、1年あたりの価格変動のブレを小さくする投資方法です。
時間分散を行っていけば、商品の購入単価を平均化することができ、安全に右肩上がりを期待できる投資が行えます。
たとえば、毎月2万円という資金を準備し、その中で購入できる数量(口数)だけ購入していくといった「定時定額積立投資」を行っていけば、価格変動のブレを小さくできます。
毎月の投資額に強弱があった場合、マイナスが大きい月に高額投資してしまうと、損益が生まれやすくなります。
そのため、毎月の投資額を事前に決定しておき、効率よく分散効率を高めていきましょう。
自分のリスク許容度に応じて資産配分を考える
資産に対するリスク許容度は、人によって異なります。
たとえば、資産に余裕があり余剰金の一部を使って投資信託を行う場合には、リスクが生じても生活に大きな影響がないので、投資信託の資産配分に自由度が効きます。
また、資産に余裕がなくできる限り冒険をしない動きが必要だという人なら、投資信託の資産配分にあまり自由がありません。
もし、これから投資する商品への資産配分を決めていこうとしているのなら、まずは現状の自分のリスク許容度がどれくらいなのかを考えていきましょう。
自分の資産状況などを考えずに無理な投資を行ってしまうと、老後資金を貯めるというiDeCoの根本的な目的を見失う場合があります。
貯金や将来収入などを考えつつ、資産配分を行ってみましょう。
iDeCo(確定拠出年金)の分散投資でおすすめの運用スタイル
「自分で考えて分散投資を行うのは難しそうだから、運用スタイルなどを決めたうえで動いていきたい」
そう考えているのなら、ぜひここで紹介する2つの運用スタイルを覚えていきましょう。
- 無難にバランスよく分散投資して運用したい方
- 投資経験があり自分で組み合わせたい方
この2つの運用スタイルは、iDeCoを利用する大勢が利用しています。そこで、運用スタイルの特徴や利用するメリットを詳しく把握していきましょう。
運用スタイルを持たずに動く人の中には、分散しすぎによってマイナスを生み出してしまう人もいます。
そのようなトラブルを避け、安定的に利益を生み出していくためにも、2つの運用スタイルを理解して、スムーズな運用に挑戦してみてはいかがでしょうか。
無難にバランスよく分散投資して運用したい方
投資の知識がなく、無難にバランスよく分散投資を行い、少しずつ利益を生み出していきたいというのなら「バランス型投資信託」にチャレンジしてみましょう。
バランス型投資信託とは、国内・海外株式や債券などの性格が異なる資産を組み合わせて運用するスタイルのことであり、iDeCo初心者にオススメの運用方法です。
それぞれ異なる値動きを見せることから、大きな値下がりが起きた場合に、資産が大きく減りにくいという特徴を持ちます。
また、バランス型投資信託には次のようなタイプが存在します。
- 安定型
- 安定成長型
- 成長型
投資経験があり自分で組み合わせたい方
ある程度の投資経験があり、自分のライフプランや目的に合わせて投資信託を行いたいのなら年齢に沿って「資産分配」という考え方を持つと良いでしょう。
資産分配とは、株式・債券だけではなく、不動産投資やコモディティといった様々な商品を組み合わせつつ分散投資を行うという運用スタイルです。
年々変化する収入や考え方に合わせて、組み合わせの割合を変更しつつ動くため、多少の投資知識があれば、リスクを抑えた運用を行えます。
たとえば、20代ごとに次のような動きをする人もいます。
- 20~30代:運用に時間を掛けられるため、国内外の株式を中核とした配分で積極的にリターンを追求
- 40代:「価格変動リスクが高い株式」「為替変動リスクの絡む海外資産」の比率を下げるといった微調整を行う
- 50代以降:徐々にリスクの低い資産の比率を高めていく
まとめ|iDeCo(確定拠出年金)の分散しすぎは効果ない?
この記事では、次のことを紹介しました。
- 同じ値動きの商品ばかり選ぶことや分散しすぎるのは、分散投資として好ましくない
- 分散しすぎた投資は、1つの商品あたりの利益が小さくなってしまう
- 時間分散を意識したり、資産に合わせて銘柄の数を調整したりするのがオススメ
- iDeCoの分散投資は、商品のリスク&リターン、そして組み合わせを意識して運用スタイルを考えるのがオススメ
- 初心者は「バランス型投資信託」、投資経験者は「資産分配」のスタイルで投資するのがオススメ