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この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- そもそも住宅ローン団信の三大疾病特約とは?
- 住宅ローン団信に三大疾病特約をつける人はどれくらいいるのか解説
- 住宅ローン団信の三大疾病特約はいらない?入るべきかの判断ポイントを解説
- 貯蓄状況や加入中の保険の内容をみて判断する
- 住宅ローンに上乗せされる保障金利を確認して決める
- 住宅ローン団信の三大疾病特約を付けるのがおすすめな人
- 住宅ローン団信の三大疾病特約を付けるのをおすすめできない人
- 住宅ローン団信の三大疾病特約を付ける際に知っておきたいこと
- 毎月の返済金額は高くなる
- 住宅ローン団信の三大疾病特約の解約は不可
- 既に入っている保険の見直しをする必要が発生する
- 保障の適用条件が比較的厳しい
- 住宅ローンの返済分の保障だけしかつかないことが多い
- 健康状態や年齢によっては加入できないこともある
- 住宅ローン団信でお悩みならマネーキャリアに無料相談!
- 住宅ローンに三大疾病特約をつける人の割合・加入のポイントまとめ
そもそも住宅ローン団信の三大疾病特約とは?
住宅ローンの三大疾病特約とは、三大疾病である「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」を患った時に残りの借入金が保険金で返済される保険です。
三大疾病特約で保障が適用される所定の状態は以下のとおりです。
病名 | 一般的な三大疾病保障が適用される所定の状態 |
---|---|
がん | 所定のがん(悪性新生物)と初めて診断確定されたとき ※上皮内がんや、皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がんは除外 |
急性心筋梗塞 | 急性心筋梗塞を発病し、60日以上労働の制限を 必要とする状態が継続したとき ※労働の制限を必要とする状態とは、 軽い家事や事務などの座業はできるが、 それ以上の活動では制限を必要とする状態のこと |
脳卒中 | 脳卒中を発病し、60日以上マヒや言語障害など 他覚的な神経学的後遺症が継続したとき |
三大疾病は日本人の死因の約4割を占めるといわれており、厚生労働省の「人口動態統計(確定数)」(2022年)によると、死因のトップは「悪性新生物(がん)」で、24.6%も占めるともいわれています。
そのため、三大疾病特約とつけておくことで住宅ローンの支払いが滞ってしまわないよう備える人は多いです。
ただし、加入中の生命保険と保障が被ってしまうこともあるため、本当に特約が必要かは慎重に検討しましょう。
住宅ローン団信に三大疾病特約をつける人はどれくらいいるのか解説
住宅ローン団信の三大疾病特約はいらない?入るべきかの判断ポイントを解説
住宅ローン団信の三大疾病特約に入るべきかの判断には、以下のポイントを確認しておきましょう。
- 貯蓄状況や加入中の保険の内容をみて判断する
- 住宅ローンに上乗せされる保障金利を確認して決める
貯蓄状況や加入中の保険の内容をみて判断する
特約に加入すべきかどうか決める際には、貯蓄状況や加入中の保険の内容をみて判断することが大切です。
例えば、住宅ローンの支払者が三大疾病を患った際、その間の収入源がなくなってしまうため、貯蓄や他の保険の保障でカバーできるのかを十分に確認しておかなければなりません。
三大疾病を患った際の入院期間の平均は以下のとおりです。
15~34歳 | 35~64歳 | 65歳以上 | 平均 | |
---|---|---|---|---|
がん | 16.1日 | 14.7日 | 21.4日 | 19.6日 |
心疾患(高血圧性を除く) | 17.1日 | 12.6日 | 27.6日 | 24.6日 |
脳血管疾患 | 61.7日 | 51.8日 | 83.6日 | 77.4日 |
※参照:令和2年(2020) 患者調査(確定数)の概況|厚生労働省
入院だけでも上記の期間が必要となると、再度働ける状況になるまでには多くの日数が必要になることがわかります。
よって、余裕をもって万が一のリスクに備えられるかどうかを確認しておくのがお勧めです。
住宅ローンに上乗せされる保障金利を確認して決める
保障のための金額は、住宅ローンの金利に上乗せされ、上乗せされる金利は以下のように金融機関で異なります。
金融機関 | 上乗せ金利(年) |
---|---|
三菱UFJ銀行 | 0.3% |
ソニー銀行 | 0.2% |
イオン銀行 | 0.2% |
三井住友銀行 | 0.3% |
実際に適用金利1.5%の、借入額2,000万円、借入期間35年の場合で試算すると、団信保険の加入で返済額は以下のように増えていきます。
- 団信保険加入前の返済額:61,236円
- 団信保険(0.3%)加入後の返済額:64,128円
- 増えた額:2,892円
借り入れ額や返済期間が決まれば、金融機関のホームページで返済額を試算できるので、特約を付けた場合と付けない場合の返済額を比べておきましょう。
しかし、返済額を試算できても実際に三大疾病特約をつけるかどうかの判断はひとりでは難しいです。
住宅ローン団信の三大疾病特約を付けるのがおすすめな人
住宅ローン団信の三大疾病特約を付けるのがおすすめな人の特徴は以下のとおりです。
- 不規則な生活習慣がある人
- 将来のリスクが心配な人
- 貯蓄の少ない人
住宅ローン団信の三大疾病特約を付けるのをおすすめできない人
- 住宅ローンの借り入れ額が少ない人
- 貯蓄に余裕がある人
- 既存の保険でカバーできる人
住宅ローン団信の三大疾病特約を付ける際に知っておきたいこと
- 毎月の返済金額は高くなる
- 住宅ローン団信の三大疾病特約の解約は不可
- 既に入っている保険の見直しをする必要が発生する
- 保障の適用条件が比較的厳しい
- 住宅ローンの返済分の保障だけしかつかないことが多い
- 健康状態や年齢によっては加入できないこともある
毎月の返済金額は高くなる
三大疾病保障特約をつけた場合、毎月の返済金額は高くなります。
例えば、団信保険の三大疾病保障特約に加入し、住宅ローンの返済額が月々3,000円増えると、トータルで支払う金額は以下のようになります。
- 3,000円×12ヶ月=36,000円
- 36,000円×35年間=126万円
そのため、万が一にそなえる保険の加入について考える際には、プロの意見なども参考にしながらその保険の保障の対象となる事態に該当する可能性と保険料負担を照らし合わせて検討するのがおすすめです。
住宅ローン団信の三大疾病特約の解約は不可
原則、三大疾病特約は住宅ローンの返済中に途中解約はできません。
住宅ローン団信には、一般の生命保険の特約のように途中で解約することも、途中で付加することもできないという特徴があります。
したがって、金利が上乗せされた返済額をずっと支払い続けることになります。
どうしても解約したい場合は、住宅ローンの借り換えなどを検討するしかなくなってしまいます。
住宅ローンの金利が下がったタイミングが借り換え時ですが、借り換えには保証料や手数料が発生します。
そのため、返済額以外のコストも加味した上で、借り換えのメリットがあるのか判断するのがおすすめ。
保証料や事務手数料を含めた諸費用は、金融機関のシミュレーションサイトで試算できます。
既に入っている保険の見直しをする必要が発生する
住宅ローン団信の三大疾病特約を付ける際には、既存の生命保険と医療保険の見直しが必要になります。
なぜなら現在支払っている保険料に団信の保険料も加わると、家計の負担が大きくなるからです。
団信の三大疾病保障特約には、以下の保障があります。
- 死亡したとき
- 高度障害状態になったとき
- 三大疾病で所定の状態になったとき
既存の保険と保障内容が重複する部分については、解約や減額を検討するのがおすすめです。
ただし、団信は住宅ローンの残債を相殺するだけで、三大疾病以外の病気やケガで働けなくなった場合はカバーされません。
そのため、団信ではカバーできないリスクを踏まえた、保険全体のバランスの見直しが重要となります。
保障の適用条件が比較的厳しい
三大疾病保障は、一般的にがん以外の適用条件は厳しいと言えます。
がん以外での保障適用条件は下記の通りです。
- 急性心筋梗塞:急性心筋梗塞を発病し、60日以上労働の制限を必要とする状態が継続したとき
- 脳卒中:脳卒中を発病し、60日以上マヒや言語障害など他覚的な神経学的後遺症が継続したとき
該当する病名と診断されても、60日以内に完治したり、60日経過しても障害が残るような重症でない場合は適用対象外になってしまいます。
また、最近は医療の進歩により入院期間や治療期間は年々短くなる傾向にあるため、保障の適用条件を満たさないケースも増えている点に注意が必要です。
住宅ローンの返済分の保障だけしかつかないことが多い
一般の医療保険の場合は、所定の三大疾病特約保険金と入院給付金が支払われますが、団信の三大疾病特約の保障内容は、住宅ローンの返済分の保障だけしかつかないことが多いです。
そのため、以下のような給付金はつきません。
- 診断給付金
- 入院給付金
- 手術給付金
- 通院給付金
入院費用や差額ベッド代などは自身で準備する必要があるため、住宅ローンの返済分の保障だけしかつかないことを理解しておくことが重要です。
健康状態や年齢によっては加入できないこともある
住宅ローン団信に加入するときには、既往症がないかなど、健康状態を正しく告知しなければなりません。
そのため、持病の有無や既往症によっては、加入できないケースもあります。
また、ローンの借り入れ金額が3,000万円以上、あるいは5,000万円以上など高額になる場合は、以下が必要になるケースもあります。
- 健康診断結果証明書の提出
- 医師の診断
借り入れ金額が大きくなると、審査も厳しくなる傾向があります。
さらに、住宅ローン団信は一般の保険と違い、加入年齢は完済時期からさかのぼって考えるため、満50歳までなど年齢制限が厳しい点に注意が必要です。
住宅ローン団信でお悩みならマネーキャリアに無料相談!
住宅ローン団信は、銀行によって適用条件などに違いがあり、自分で選ぶのは難しい部分が多くあります。
また、住宅を購入する不動産会社に、言われるがままに契約してしまうと、後から後悔してしまうケースもあります。
そこでおすすめなのが「マネーキャリア」のオンライン無料相談窓口への相談です。
マネーキャリアでは、住宅ローンの専門家(FP)が既存の保険内容や家計状況、健康状態に合わせた最適な団信プランを提案してくれます。
また、本当に三大疾病特約が必要かどうか、他にどのような保障が必要かを客観的な立場からアドバイスしてくれるのでおすすめです。

住宅ローンに三大疾病特約をつける人の割合・加入のポイントまとめ
ここまで、住宅ローン団信の三大疾病特約についてご紹介しました。
住宅ローン団信に三大疾病特約をつけている割合のデータはありませんが、将来のリスクに備える有効な手段のひとつです。
三大疾病特約をつけるかの判断は以下の点を考慮するのがおすすめです。
- 三大疾病特約を使う確率
- 住宅ローンに上乗せされる保障金利
- SNSなどの口コミ
また、三大疾病特約をつけない場合は、万が一の時にどう対応できるかを考えておきましょう。
とはいえ、三大疾病特約をつける前とつけた後の金額の差や、補償内容と保険料のバランスはひとりで考えて決めるのは困難です。




