

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- 4500万円の35年ローンは可能?きつい?
- 必要な年収目安は600万円以上
- 頭金の目安は450万円〜900万円以上
- 定年後の返済リスクを考慮する必要がある
- 【結論】4500万円の35年ローンは計画次第で十分可能
- 無料FP相談を賢く活用して、ライフプランにあった返済計画を立てよう!
- 4500万円・35年ローンの毎月の返済額をシミュレーション
- 年収600万円の場合の返済負担率
- 年収700万円の場合の返済負担率
- 年収800万円の場合の返済負担率
- 年収900万円の場合の返済負担率
- あなたの家庭にぴったりの方法は?FPと一緒に無理のない返済計画を立てよう
- 4500万円・35年ローンを組む際に後悔しないための対策6つ
- 借りられる額ではなく「月々返済できる額」を基準に考える
- 将来のライフプランを見据えた資金計画を立てる
- 諸費用や維持費も忘れずに試算する
- 団信の保障内容をしっかり確認する
- 共働きの場合は収入合算・ペアローンを検討する
- 無料FP相談を活用して最適な返済プランを立てる
- 【まとめ】4500万円・35年ローンは長期的な計画が重要!FP相談も活用しよう
4500万円の35年ローンは可能?きつい?
4500万円の35年ローンは、金額が大きく返済期間も長いため慎重に考慮する必要がありますが、年収や返済計画によっては現実的です。
必要な年収や頭金の目安、注意点などを返済シミュレーションと共にお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
必要な年収目安は600万円以上
4500万円の35年ローンに必要な年収は600万円以上です。返済負担率が住宅ローンの審査に通る範囲内に収まるからです。
返済負担率とは、年収に対する1年間のローン返済額の割合のことで、ローンの審査に通る返済負担率は30~35%、無理なく返済できる理想の返済負担率は20~25%とされています。
以下の表では、固定金利1.5%で4500万円・35年ローンを組んだときの年収別の返済負担率を比較してみました。
年収(手取り) | 返済負担率 |
---|---|
500万円(390万円) | 42.3% |
600万円(460万円) | 35.9% |
700万円(520万円) | 31.7% |
800万円(590万円) | 28% |
900万円(660万円) | 25% |
表からわかる通り、住宅ローンの審査に通りやすいとされる返済負担率35%程度に収まるのは、年収600万円以上でした。また、理想の返済負担率25%の年収は900万円となっています。
頭金の目安は450万円〜900万円以上
4500万円の35年ローンを返済するにあたって、頭金は非常に重要です。頭金の額によって、毎月の支払額や総支払額が大きく異なるからです。
表では、固定金利1.5%・借入期間35年の場合、頭金の額によって毎月の支払額と総支払額はどのように変わるのか比較しています。
頭金 | 毎月支払額 | 総支払額 |
---|---|---|
なし | 13万8000円 | 5800万円 |
1割(450万円) | 12万5000円 | 5650万円 |
2割(900万円) | 11万1000円 | 5530万円 |
頭金が多いほど利息が少なくなるため、頭金なしのフルローンと頭金2割では、総支払額に270万円もの差ができることが分かりました。
定年後の返済リスクを考慮する必要がある
35年ローンを組む場合、30歳での契約であれば完済時は65歳、40歳での契約なら完済時は75歳になっています。
退職の年齢や老後に受け取れる年金によっては35年ローンだと返済が難しくなる可能性もあるため、借入期間は慎重に決める必要があります。
老後の返済について見通しが立たない場合には、計画的に繰り上げ返済をすることで対処できるでしょう。
【結論】4500万円の35年ローンは計画次第で十分可能
ここまで見てきた通り、4500万円の35年ローンは年収や返済計画次第で実現可能といえます。次のような点に注意して返済計画を立てましょう。
- 必要な年収は600万円以上、理想的な年収は900万円以上
- 頭金の目安は450万円~900万円以上
- 定年後の返済について考えておく
- 毎月の支払額を無理なく捻出できるように計画する
無料FP相談を賢く活用して、ライフプランにあった返済計画を立てよう!

FP相談では、住宅ローンの審査ついての相談や、金利の違いなどによる返済シミュレーションができるほか、住宅ローン以外のお金の悩みについても相談できます。
家計管理や老後のための資産形成なども含めて、35年間ローンを返済するにはどんな計画がいいのか、幅広い視点からアドバイスが受けられるためローン返済がより現実的になります。

4500万円・35年ローンの毎月の返済額をシミュレーション
借入額4500万円、35年ローンを組んだ際の毎月の返済額をシミュレーションしてみましょう。
ここでは、固定金利1.5%、頭金なし、ボーナス払いなし、繰り上げ払いなし、元利均等返済で計算しました。
(参考:借り入れシミュレーションサイト)
毎月返済額 | 137,782円 |
---|---|
年間返済額 | 1,653,384円 |
総返済額 | 57,868,440円 |
表の返済額に加えて、仲介手数料、登記費用、不動産取得税などの諸費用がかかることに注意してください。
年収600万円の場合の返済負担率
返済負担率とは、手取り年収に対する1年間の返済額の割合のことです。
ローンの審査に通るとされる返済負担率は30~35%、無理なく返済できる理想の返済負担率は20~25%とされています。
ここでは、頭金なし、固定金利1.5%で4500万円・35年ローンを組んだときの年収別の返済負担率を比較してみました。
年収(手取り) | 返済負担率 |
---|---|
600万円(460万円) | 35.9% |
700万円(520万円) | 31.7% |
800万円(590万円) | 28% |
900万円(660万円) | 25% |
年収600万円の返済負担率は35%程度と、ローンを組むために最低限必要な年収であることがわかります。
次に、年収別に毎月の返済額を支払うと手元にはいくら残るのか、生活にはどれくらいの余裕ができるのかを考えてみましょう。
ここでは平均値などのデータを使って概算をお伝えしますので、実際の金額は上下することがあることに注意してください。
<年収600万円の場合>
手取り年収:約460万円
手取り月収:約38万円
住宅ローン返済後に残るお金:約24万5000円/月
年収600万円で2人以上世帯の生活費は毎月25~30万円ほどとするデータもあり、生活の余裕はほとんどないと予想できます。
子どもが進学したり、2人、3人と増えたりした場合にはさらに教育費・食費・日用品費などが必要になるため、慎重に計画を立てましょう。
年収700万円の場合の返済負担率
年収700万円で頭金なし、固定金利1.5%で4500万円・35年ローンを組んだときの返済負担率は31.7%でした。
では、毎月手元に残るお金をシミュレーションしてみましょう。
<年収700万円の場合>
手取り年収:約520万円
手取り月収:約43万円
住宅ローン返済後に残るお金:約29万5000円/月
年収700万円で2人以上の世帯の生活費を毎月28~33万円ほどとするデータもあり、生活の余裕はあまりないと予想できます。
年収800万円の場合の返済負担率
年収800万円で頭金なし、固定金利1.5%で4500万円・35年ローンを組んだときの返済負担率は28%でした。
毎月手元に残るお金のシミュレーションは次のようになります。
<年収800万円の場合>
手取り年収:約590万円
手取り月収:約61万円
住宅ローン返済後に残るお金:約39万4000円/月
年収800万円で2人以上の世帯の生活費は毎月30~35万円ほどとするデータもあり、いくらか余裕をもって生活できるとわかります。
年収900万円の場合の返済負担率
年収900万円で頭金なし、固定金利1.5%で4500万円・35年ローンを組んだときの返済負担率は25%でした。
そのため、年収900万円は無理なく返済できる理想の年収と言えます。
では、毎月手元に残るお金をシミュレーションするとどうなるでしょうか。
<年収900万円の場合>
手取り年収:約660万円
手取り月収:約55万円
住宅ローン返済後に残るお金:約41万2000円/月
年収900万円で2人以上の世帯の生活費は毎月30~38万円ほどとするデータもあり、余裕をもって生活できると予想されます。
あなたの家庭にぴったりの方法は?FPと一緒に無理のない返済計画を立てよう

ここまでで4500万円の住宅ローンを35年で返済する場合に必要な年収や概算でのシミュレーションを行ってきました。
あなたの世帯で4500万円のローンを組むとしたら、どんな方法が一番効率がいいのか、FPに相談しながら計画するのはいかがでしょうか。住宅ローンに関する疑問が解消されるだけではなく、ライフプランに合わせた最適な返済方法について提案が受けられます。

4500万円・35年ローンを組む際に後悔しないための対策6つ
- 借りられる額ではなく「月々返済できる額」を基準に考える
- 将来のライフプランを見据えた資金計画を立てる
- 諸費用や維持費も忘れずに試算する
- 団信の保障内容をしっかり確認する
- 共働きの場合は収入合算・ペアローンを検討する
- 無料FP相談を活用して最適な返済プランを立てる
借りられる額ではなく「月々返済できる額」を基準に考える
返済負担率を基準に考えた通り、4500万円のローンの審査に通るのは年収600万円以上、無理なく返済できるのは年収900万円以上と、借りられる額と無理なく返済できる額の間には大きな差があることが分かりました。
そのため、無理なく月々返済できる額を基準にしたローン契約がおすすめです。
現在の家計状況だけではなく、将来子どもが生まれるなどの変化や、収入変動、支出の増加などを考慮に入れた計画が必要です。
育児休業を取ったり、時短勤務をしたり、転職したり、退職したりした場合の収入はどのように変化するでしょうか。
また、教育費用や介護費用、引っ越しによる支出の増加など、35年間のライフプランを考えて具体的な計画を立てましょう。
将来のライフプランを見据えた資金計画を立てる
35年の間に子供が生まれたり、引っ越ししたり、転職や退職をしたりするなど、将来のライフプランを見据えた計画が必要です。
教育費用や車の買い替え、老後資金など、お金が必要なタイミングについて考えておきましょう。
諸費用や維持費も忘れずに試算する
住宅ローン契約時には、不動産取得に関する諸費用がかかります。契約時に必要な諸費用には、次のようなものがあります。
- 仲介手数料:140~160万円
- 住宅ローン手数料:約2万円
- 登記費用:60~70万円
- 火災保険料:4~5万円
- 登録免許税:18万円
- 不動産取得税:約100万円
- 引っ越し代・家具代
- 固定資産税:20~25万円
- 火災保険料:2~3万円
- リフォーム、修繕費(必要に応じて)
団信の保障内容をしっかり確認する
一般的に住宅ローンの契約者には、団信、つまり団体信用生命保険への加入が義務付けられています。
共働きで住宅ローンを返済する場合、単独ローンや収入合算を選択していると主契約者しか団信に加入できません。
例えば、夫の名義で住宅ローンを単独契約し、その他の生活費などは妻が担っている場合、夫が亡くなった場合は団信で住宅ローンの支払いが可能ですが、妻が亡くなった場合には保証がありません。
妻に万が一のことがあった場合の保証は民間の生命保険などでカバーできるよう、あらかじめ確認しておきましょう。
共働きの場合は収入合算・ペアローンを検討する
収入合算とは、2人の収入を合算して1つの住宅ローンを契約することで、ペアローンとは、1件の住宅に対して2本のローンを組むことです。
どちらも単独ローンに比べて借り入れ可能金額が大きくなることがメリットです。その他の特徴やメリット・デメリットについて簡単にまとめると次のようになります。
ローン形態 | 収入合算 | ペアローン |
---|---|---|
契約本数 | 1 | 2 |
メリット | 借り入れ可能金額が大きくなる | 双方が住宅ローン控除・ 団信の適用を受けられる |
デメリット | 住宅ローン控除・団信の適用は 主契約者のみ | 契約手数料が2倍になる |
おすすめなケース | 夫婦の収入差が大きい | 夫婦どちらも 住宅ローン控除を受けたい |
収入合算とペアローンのうちどちらも、借入可能金額が大きいため、将来の返済負担が大きくなりすぎないよう慎重な計画が必要です。
また、夫婦関係の変化により別居や離婚を選んだ場合、ローンの残債の扱いが難しくなります。こうしたリスクを正しく理解したうえで、最適な方法を選んでみてください。
無料FP相談を活用して最適な返済プランを立てる
住宅ローンの返済計画には、35年間の資金計画やライフプランなど多くの要素が関わっているため、一度情報を整理したいと思うかもしれません。
無料FP相談なら、決めるべき点や必要な資金についてのシミュレーションが可能で、最適な返済プランが実現します。
【まとめ】4500万円・35年ローンは長期的な計画が重要!FP相談も活用しよう

この記事でお伝えした通り、4500万円の35年ローンに必要な年収は600万円以上、無理なく返済できる理想の年収は900万円以上でした。
また、フルローンと頭金2割では、総支払額に270万円もの差ができることもわかりました。
35年間のライフプランを考慮しながら、今後の収入の変化や支出の変化があっても余裕をもって返済できる慎重な計画が必要です。
なお、ローンの契約形態や金利の選び方、諸費用などの詳細な点についてはFPへの相談がおすすめです。
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