
- 結論、住宅ローンを老後まで残してしまうと、返済が苦しくなり最悪の場合自宅を手放すことになる可能性もあります。
そのため、計画的な返済や適切な対策が必要です。
この記事がおすすめな人
- 老後・定年後に住宅ローン返済が残りそうで不安な人
- 具体的にどれぐらいローン残高が残っているときついのか知りたい人
- 老後・定年後に住宅ローン返済ができない場合の対処法を知りたい人

この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- 老後・定年後に住宅ローン返済が残るとどうなる?
- 年金収入だけでは返済が苦しくなるリスクがある
- 老後資金や生活費が不足しやすくなる
- 最悪の場合は自宅を手放すことになる可能性もある
- 老後・定年後にいくら住宅ローン残高が残っているときつい?
- 年金収入15万円の場合(単身世帯や年金受給額が少ないケース)
- 年金収入20万円の場合(夫婦世帯の平均的な年金収入)
- 年金収入25万円以上の場合(企業年金や個人年金などで余裕があるケース)
- 老後・定年後に住宅ローンが払えない場合の対処法
- 金融機関に返済条件の変更を相談する
- 自宅を売却してローンを完済する
- リバースモーゲージや他のローン制度を活用する
- 住宅ローンの借り換え
- リースバックの利用で家賃を払って住み続ける
- 老後・定年後に住宅ローンを残さないためにできる対策
- 繰上返済で住宅ローンの返済を早める
- 定年後の年金収入や退職金などを踏まえて月々の返済額を設定する
- 借入時に完済時年齢65歳以下を目安に返済計画を立てる
- 住宅ローン返済で老後生活の不安を解消する方法とは?
- まとめ:住宅ローン返済と老後生活のバランスを取れる計画をたてよう
老後・定年後に住宅ローン返済が残るとどうなる?
老後・定年後に住宅ローン返済が残っていると以下のような状態に陥る可能性があります。
- 年金収入だけでは返済が苦しくなるリスクがある
- 老後資金や生活費が不足しやすくなる
- 最悪の場合は自宅を手放すことになる可能性もある
年金収入だけでは返済が苦しくなるリスクがある
定年後の主な収入源は年金になりますが、多くの場合、年金収入は現役時代の収入を下回ります。
収入が減る一方でローンの返済額は変わらないため、老後・定年後の住宅ローン負担は現役時代よりも大きくなるケースがほとんどです。
年金収入だけでの生活になった際、多くの方は生活費をやりくりするだけで収入を使い切ってしまうため、住宅ローン返済が加わると赤字になる可能性が高くなります。
そのため、定年後まで返済期間を考えている場合は、現役時代から大幅に収入が減る部分を考慮して返済プランを立てるのが大切です。
老後資金や生活費が不足しやすくなる
住宅ローンの返済が年金収入を圧迫すると、毎月の返済を優先するあまり、これまで貯めてきた老後資金を取り崩さなければならない状況に陥りやすくなります。
その結果、日々の食費や光熱費といった基礎生活費を切り詰める必要が出てくるケースも少なくありません。
さらに、高齢期には予期せぬ病気やケガによる医療費、介護が必要になった場合の費用など、突発的な出費が増える傾向にあります。
住宅ローンの返済に追われていると、こうした緊急の出費に対応できず、必要な医療や介護サービスを受けられない事態も考えられます。
最悪の場合は自宅を手放すことになる可能性もある
住宅ローン返済が続けられなくなった場合、最終的には住み慣れた自宅を手放さざるを得ないという厳しい現実に直面します。
返済が困難になった際の主な選択肢は、自宅の売却かリバースモーゲージの活用です。
リバースモーゲージは、自宅を担保にお金を借り、契約者が亡くなった際に自宅を売却して一括返済する仕組みです。
どちらの方法も住み慣れた家での生活を続けるのが難しくなる可能性があり、決して望ましい選択肢とは言えません。
自宅を手放す事態を避けるためにも、早い段階から老後を見据えた資金計画を立てておく必要があります。
老後・定年後にいくら住宅ローン残高が残っているときつい?
老後・定年後にいくら住宅ローン残高が残っているときついのか、以下の年金収入別の解説します。
- 年金収入15万円の場合
- 年金収入20万円の場合
- 年金収入25万円以上の場合
ここで示す金額はあくまで目安であり、他に十分な貯蓄や退職金がある場合は多少残高が多くても問題ない場合もあります。
逆に、貯蓄がほとんどない場合はさらに厳しくなるため、できるだけ早く完済を目指すのが重要です。
年金収入15万円の場合(単身世帯や年金受給額が少ないケース)
月々の年金収入が15万円の場合、住宅ローンの残高が100万円以上あると、家計はかなり厳しい状況に陥る可能性があります。
年金15万円という収入は、単身世帯が最低限の生活を送るための家賃、食費、光熱費、医療費などで、そのほとんどを使い切ってしまうことが多い金額です。
ここに住宅ローンの返済が加わると、生活費を直接圧迫し、貯蓄を切り崩す必要が出てきます。
老後は現役時代と比べて医療費や介護費といった突発的な支出が増える傾向にあります。
毎月の返済のために貯蓄を取り崩す生活が続くと、いざという時の備えがなくなり、精神的な不安も大きくなるでしょう。
年金収入20万円の場合(夫婦世帯の平均的な年金収入)
夫婦世帯の平均的な年金収入である月20万円の場合、ローン残高が200万円以上残っていると、計画していた生活にゆとりがなくなる可能性があります。
夫婦2人分の生活費や医療費、将来の介護費用への備え、親せきや友人との交際費などを考えると、月15万円前後は生活費として必要になることが想定されます。
残りの5万円から住宅ローンを返済していくことになりますが、月々の返済額が2万円を超えると、自由に使えるお金はかなり限られる計算です。
ローン残高200万円を10年で返済すると月々の返済は約1.7万円となり、家計に占める割合は決して小さくありません。
老後の楽しみである旅行や趣味にかける費用を確保しづらくなり、精神的な余裕を持ちにくくなります。
年金収入25万円以上の場合(企業年金や個人年金などで余裕があるケース)
企業年金や個人年金も受給しており、月々の年金収入が25万円以上ある場合でも、ローン残高が300万円以上あると家計への負担感が出てきます。
年金収入25万円もあれば、ある程度返済は可能に見えますが、月々の住宅ローンの返済が3万円近くなると、将来の医療費や介護費、趣味や旅行といった支出に影響が出始めます。
忘れてはならないのが、住宅ローン以外にかかる住居費の存在です。
持ち家には住宅ローン以外にも固定資産税が毎年かかるうえに、マンションであれば管理費や修繕積立金の支払いも続きます。
これらの費用と住宅ローン返済が重なると思った以上に出費がかさむ可能性もあるため、安心した老後を送るためにも、ローン残高はできるだけ早く減らしておきましょう。
老後・定年後に住宅ローンが払えない場合の対処法
老後・定年後に住宅ローンが払えない場合は以下の対処法があります。
- 金融機関に返済条件の変更を相談する
- 自宅を売却してローンを完済する
- リバースモーゲージや他のローン制度を活用する
- 住宅ローンの借り換え
- リースバックの利用で家賃を払って住み続ける
金融機関に返済条件の変更を相談する
住宅ローンの返済が苦しいと感じたら、まずは借入先の金融機関に返済条件の変更を相談するのがおすすめです。
返済が滞る前に正直に状況を伝えることで、以下のような返済条件の見直し(リスケジュール)に応じてもらえる可能性があります。
- 返済期間の延長
- 一定期間の返済額減額
返済期間を延長すれば月々の返済額を抑えられますが、その分、利息が増えて総返済額が増加するデメリットもあります。
まずは現在契約している金融機関の窓口に連絡し、どのような選択肢があるのか確認してみましょう。
自宅を売却してローンを完済する
返済の継続が難しい場合は、自宅を売却してローンを完済するのも根本的な解決策の1つです。
売却価格がローン残高を上回れば、手元に残った資金を元手に、よりコンパクトな住居への住み替えや管理が楽な賃貸住宅へ転居が可能です。
また、売却価格がローン残高を下回った場合でも、競売にかけられるより有利な条件で売れる可能性がある「任意売却」という選択肢があります。
いずれにしても返済の負担を大きく減らすことが可能になるでしょう。
リバースモーゲージや他のローン制度を活用する
リバースモーゲージは、自宅を担保にして金融機関から融資を受け、毎月の返済を抑え、契約者が亡くなった際に自宅を売却して元金を一括返済する仕組みです。
リバースモーゲージを活用すれば、返済は自宅を売却後に行われるため、生前の返済負担がありません。
利用条件は金融機関によって異なりますが、一般的に60歳以上で、自己所有の戸建て住宅を持っている人が対象です。
ただし、契約時に担保評価や保証料などの諸費用が必要となることや、相続人の同意が必要となる場合があることに注意が必要です。
住宅ローンの借り換え
住宅ローンが払えなくなった場合は、現在よりも金利の低い住宅ローンに借り換えるのも選択肢の1つです。
金利の低い住宅ローンに借り換えることで、月々の返済額や総返済額を削減できる可能性があり、特に、数年前に比較的に高い金利でローンを組んだ場合には有効です。
一般的に、借り換えのメリットが出やすいのは以下のケースがあります。
- 現在のローンとの金利差が1%以上
- ローン残高1,000万円以上
- 残り返済期間10年以上
ただし、借り換えには再度借入審査があるため、年金収入のみの場合や健康状態によっては審査が厳しくなる可能性があるので注意が必要です。
リースバックの利用で家賃を払って住み続ける
リースバックは、自宅を不動産会社に売却した後、賃貸契約を結んで同じ家に住み続ける方法です。
住宅ローンの残債を一括返済できるだけでなく、売却差額を老後の生活資金として活用することができます。
持ち家を手放すことになりますが、住み慣れた家に継続して暮らせるため、生活環境を大きく変える必要がありません。
ただし、契約期間が終了した際の更新条件や、将来的な賃料の変動可能性などについて、事前に十分確認することが重要です。
老後・定年後に住宅ローンを残さないためにできる対策
老後・定年後に住宅ローンを残さないためにできる対策には以下のようなものがあります。
- 繰上返済で住宅ローンの返済を早める
- 定年後の年金収入や退職金などを踏まえて月々の返済額を設定する
- 借入時に完済時年齢65歳以下を目安に返済計画を立てる
安心して豊かな老後を迎えるためには、可能な限り住宅ローンは老後に残さないのがおすすめです。
これらの対策を実践して、老後の不安を軽減していきましょう。
繰上返済で住宅ローンの返済を早める
老後・定年後に住宅ローンを残さない最も効果的な対策が「繰上返済」を積極的に行う方法です。
繰上返済した金額は全てローンの元本返済に充てられるため、その元本にかかるはずだった将来の利息を大きく減らしてくれます。
繰上返済には主に以下の2つのパターンがあり、特に「期間短縮型」は利息の軽減効果が高い傾向です。
- 期間短縮型:毎月の返済額は変えずに返済期間を短くする
- 返済額軽減型:返済期間はそのままに月々の返済額を減らす
ボーナスなどまとまった収入があった際に、定年を迎える60歳頃までを目安に繰上返済を進めておくと、老後の負担を大きく減らせるので安心です。
定年後の年金収入や退職金などを踏まえて月々の返済額を設定する
住宅ローンを組む段階で、定年後の収入と支出を具体的にシミュレーションして、月々の返済額を設定するのも老後に住宅ローンを残さないための方法です。
まずは将来の年金受給額を確認したり、勤めている会社の退職金がいくら見込めるかを計算したりしましょう。
そのうえで、老後の生活費や医療費、介護費用などを予測し、収入の範囲内で生活できるかを試算します。
定年前に住宅ローンを完済するのが理想ですが、もし定年後も返済が続く計画の場合は、年金収入の中からでも家計を圧迫しない金額を設定しておくのが大切です。
退職金での一括返済を前提にするケースもありますが、その場合も老後資金が不足しないように資金計画は綿密に立てておくのをおすすめします。
借入時に完済時年齢65歳以下を目安に返済計画を立てる
老後に住宅ローンを残さないためには、住宅ローンを契約する際に「いつまでに完済するか」というゴールから逆算して計画を立てるのが基本です。
住宅ローン完済時の年齢の目安になるのが「65歳」です。
多くの企業では65歳を区切りに完全な年金生活に入り、収入が大きく減少するため、収入が安定している現役のうちにローンを完済できる計画が理想になります。
借入時の年齢が高い場合は、返済期間を短く設定する、頭金を多くして借入額を抑えるなどの工夫が必要です。
金融機関が提示する「借りられる額」ではなく、自分が「無理なく返せる額」を基準に、返済プランを立てていきましょう。
住宅ローン返済で老後生活の不安を解消する方法とは?
住宅ローンの返済で老後生活が苦しくなってしまうかもしれないと不安になる人も多いです。
住宅ローンの返済を含めて老後生活に関する不安や疑問を解決するには、返済額や家計の見直しなど色々あります。
しかし、自力では何から始めればいいかわからない・どんな方法があっているのか見つけられないというケースも多いです。
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まとめ:住宅ローン返済と老後生活のバランスを取れる計画をたてよう
住宅ローン返済が老後まで残ってしまうと以下のようなリスクが考えられます。
- 年金収入だけでは返済が苦しくなる
- 老後資金や生活費が不足しやすくなる
- 最悪の場合は自宅を手放すことになる可能性もある
そのため、以下のような対策をして老後まで住宅ローンを残さないのが理想的です。
- 繰上返済で住宅ローンの返済を早める
- 定年後の年金収入や退職金などを踏まえて月々の返済額を設定する
- 借入時に完済時年齢65歳以下を目安に返済計画を立てる
しかし、どうしても住宅ローンが返済できなくなる場合もあるため、その際は返済条件の変更の相談やリバースモーゲージなどの対処法を取っていきましょう。
住宅ローンを組む際は返済時の年齢や返済後の生活まで想定して返済プランを考える必要があるため、自分たちだけで比較するのは難しいケースも少なくありません。
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