今回は、株式会社MEMEの代表取締役である齋藤 舞 氏に、キャッシュレス時代における子どもの金融教育の仕組みづくりに貢献する「manimo」と「スクペイ」について、マネーキャリア編集部が独自インタビューを行いました。
この記事の目次
- 株式会社MEMEが展開するmanimoやスクペイとは?
- manimo(親子向け金融教育アプリ)とは?
- スクペイ(学校向け集金サービス)とは?
- 株式会社MEME 齋藤氏にインタビュー
- Q1.manimoとスクペイは対象や用途が異なると思うのですが、両サービスに共通する根本的な思想やミッションについて教えてください。
- Q2.子どものお金教育において「家庭」と「学校」はそれぞれどんな役割を担うとお考えですか?
- Q3.子どもの金融教育において、家庭と学校それぞれが果たすべき役割をどのようにお考えですか?また、manimoとスクペイは、それぞれどの部分を担う設計なのでしょうか?
- Q4.とくにmanimoではデビットカードや送金機能といった「本物の金融体験」に近い設計がされていますが、あえて擬似体験に留めなかった理由は何でしょうか?
- Q5.現金を使う機会が減っている中で、子どもが正しい金銭感覚を身につけるために大切なことは何だと思われますか?
- Q6.manimoでは保護者向けの管理機能、スクペイでは学校側の管理機能が重要になるかと思うのですが、保護者や学校が安心して使えるように、どんな工夫をされていますか?
- Q7.manimoとスクペイそれぞれで、印象的だったユーザー(保護者・子ども・学校)の反応や、サービス改善につながったフィードバックがあれば教えてください。
- Q8.学校での金融教育必修化や金融リテラシー向上の動きは、御社サービスの設計や展開戦略にどのような影響を与えていますか?
- Q9.今後、manimoとスクペイをどのように発展させていきたいとお考えですか?
- Q10.manimoとスクペイを通じて、「子どもたちや学校」と「お金との向き合い方」はどのように変わってほしいとお考えでしょうか?
- 株式会社MEME 齋藤氏のプロフィール
株式会社MEMEが展開するmanimoやスクペイとは?
manimo(親子向け金融教育アプリ)とは?

「manimo|親子でお金を管理する金融教育アプリ」は、親子でお金の基本を実践的に学ぶための金融教育プラットフォームです。
スマホアプリと連動したプリペイドカードを通じて、子どもが「稼ぐ」「貯める」「使う」といったお金の流れを体験できるサービスです。
入出金は自動で記録され、親は支出や貯蓄状況を一緒に確認できるため、家庭でのルールづくりや実践的な学びがしやすい設計となっており、金融リテラシーを楽しみながら身につけられることを目指しています。
スクペイ(学校向け集金サービス)とは?

「スクペイ|学校の集金業務サービス」は、学校・教育機関向けのデジタル集金プラットフォームです。
教職員の方は保護者の方への請求書をオンラインで発行でき、保護者の方はスマートフォンから銀行口座登録・決済ができるサービスです。 本来であればアナログ対応である、現金集金や手作業の負担を大幅に軽減し、集金データは管理画面に自動反映され、一元的な収支管理が可能です。
また、保護者の情報を学校側が直接扱わずに安全性を保つ設計となっています。
株式会社MEME 齋藤氏にインタビュー
Q1.manimoとスクペイは対象や用途が異なると思うのですが、両サービスに共通する根本的な思想やミッションについて教えてください。
共通するところとしましては2つありまして、1つは「子どもに対するアプローチ」が中心になっています。
2つ目に、広い視点で見たときに、お金という「どこか触れにくいイメージ」に対して整理をし、どう改善していくのかの指針があります。
やはり古くからの文化で、子どもと親の間ではお金について「なんとなく触れていけない」といったイメージがあり、このイメージを変えるのがなかなか難しいと思うんですけども、このイメージをテクノロジーで払拭する、という点でmanimoがファーストステップになることを目指しています。
一方で、学校に関しては、そもそも金融教育が学校現場にスムーズに入っていけば良いものの、学校の先生方はすごく忙しいので、新しい教育やナレッジを先生方が取得していきながら、子どもたちに教えていく時間が捻出できないところがあります。
「金融教育はした方が良い」というマインドを持っていたとしても、そもそもその環境が整っていないというところが一番問題であると思っているので、そこをまず切り開いてから新しい教育ができるような環境を弊社が整えるべきだと感じています。
そこからきちんと金融教育に伴う行動を進めていくというところの「まだファーストステップになっていない環境を作る(ゼロベースを作る)」ことがミッションです。
Q2.子どものお金教育において「家庭」と「学校」はそれぞれどんな役割を担うとお考えですか?
まず、家庭に関しては「お金の習慣化」が一番大事だなとは思っています。
少し残念なことではあるのですが、今までは「環境によって子どもの金融リテラシーが左右されてしまう」という状況がありました。
しかし、この問題に対して、どんな家庭でもお金を使うだけではなくてお金の管理や「どこからお金が入ってくるのか」といったお金の流れを習慣化するために、意識して生活していくことが、まず家庭でできることかなと思います。
あとは上記も含め、家庭内でしっかりとお金に関わるコミュニケーションをとっていくことも必要であると感じています。
学校での金融教育に関しては、私自身としても教科として取り扱うべきであると感じていましたので、インプット型としての学校教育、そこで得たナレッジをアウトプットして社会で実践していく、といった流れができているのはすごく良いのでは、と思います。
Q3.子どもの金融教育において、家庭と学校それぞれが果たすべき役割をどのようにお考えですか?また、manimoとスクペイは、それぞれどの部分を担う設計なのでしょうか?
役割分担として、家庭は日常のお金に関わる意思決定を、学校は公共のお金のルールの理解を担う役割であると思っています。
そこに、manimoやスクペイが介入することで、意思決定や理解促進の一助になればと感じています。
スクペイに関しては、まだ金融教育に介入する、というところまでは進んでいないものの、将来的には上記の「金融教育におけるインプットとアウトプット」の橋渡しとなる役割になっていきたいと考えています。
Q4.とくにmanimoではデビットカードや送金機能といった「本物の金融体験」に近い設計がされていますが、あえて擬似体験に留めなかった理由は何でしょうか?
manimoについて、実は最初は擬似体験から始まったのですが、ユーザーが親と子どもでそれぞれ別である、といった点に難しさがありました。
親の課題を解決したいニーズを一番にしてプロダクトを作っても、子どもが使わなかったら利用をやめてしまうんですよね。
そこで、子どもが「どうやって楽しめるか」という点を主軸に置いたときに、「カードを使って大人と同じような環境」を体験することによって、自分が大人になったときにはどうなるのかということを考えられるのではと思っています。
とくに、親の目線から何を伝えても「実際にお金の取り扱いを体験している親と、そうでない子どもとの差」は結構あると思っています。
そこで、この体験をいかに大人に近づけるかという点を考えると、manimoでは擬似体験ではなく、子どもも楽しんでお金に向き合い、身近で体験できるリアルを求めた、という背景があります。
Q5.現金を使う機会が減っている中で、子どもが正しい金銭感覚を身につけるために大切なことは何だと思われますか?

よくいただくご質問なのですが、なかには「現金がビジュアル的にあった方が金銭感覚が身につくのでは」というご意見も確かにあります。
そんな中、たとえば物々交換の時代であれば、いちごがりんごに変わることが価値、すなわち物そのものが変わることの実感が湧きやすかったので、それが当たり前にできていたかもしれません。
そのように考えると、紙幣や硬貨ができて、次の新しい価値になったとなると、お金もただの手段であって、価値の見え方が変わっているだけであると感じています。おそらく10年後になると、見えないお金というものが当たり前になっているでしょう。
したがって、金銭感覚というところに関して、「その価値をどのように捉えるか」「新しい価値とは何か」を自分で判断していくという力が大切なのでは、と考えています。
Q6.manimoでは保護者向けの管理機能、スクペイでは学校側の管理機能が重要になるかと思うのですが、保護者や学校が安心して使えるように、どんな工夫をされていますか?
まず、manimoでは「利用額を使いすぎないようにする管理機能」や「お小遣いを子どものウォレットに送金する際に、内容等を任意にコントロールできる機能」は工夫しているポイントです。
スクペイの学校側の管理機能に関しては、こちらもキャッシュレスでの集金という形にはなるので、「そもそも現金集金の手段を取らなくて済む」という点で安心して使えるサービスとなっております。
また、入出金に関してもきちんとデータが残るので、集金に様々な人が携わったとしてもそのデータは正しく履歴として残るので、不正をはじめとして学校側のリスクが軽減されるようにしている点でも工夫をしています。
Q7.manimoとスクペイそれぞれで、印象的だったユーザー(保護者・子ども・学校)の反応や、サービス改善につながったフィードバックがあれば教えてください。
manimoに関しては、まだスクペイがなかった頃に、manimoのユーザーの方が「家庭でのキャッシュレス化はできても、学校が現金集金である」といった、環境へのフィードバックが多くありました。
そこで、弊社が保護者と学校をつなげるサービスとして、スクペイを開発したというところにつながってきた点では印象的でした。
スクペイでは、学校やユーザー問わず、業務整備がされていない中で集金を行っている中、当初集金機能のみでリリースしたスクペイでしたが、機能追加のご要望であったり、スクペイを使う上での課題点だったりを率直にフィードバックいただけました。
弊社としてもご要望に応えていくための体制は整えているので、この点がサービス改善・唯一無二のサービスにつながっていると思います。
Q8.学校での金融教育必修化や金融リテラシー向上の動きは、御社サービスの設計や展開戦略にどのような影響を与えていますか?
高校の金融教育に関しては、弊社へも様々な意見をいただいております。
たとえば、
- 教育が形骸化してしまうのではないか
- (先生方に関しては)金融教育を習ったことがないのに教えるのが大変である
などです。こちらに関して、manimoの方ではメインのターゲット層が小中学生にはなっているという点もありますが、「高校だけではなくもう少し前からの教育が必要なのでは」という社会的な認識になってきているのではと思います。
今後、さらに若年層向けの教育が必要になってくると予想されますが、それを家庭でやるのか学校でやるのかの違いかと思っております。
とはいえ、この金融教育を学校で行う場合に関しては明らかに時間や人手が不足している状態ではあるので、ここに関して、弊社としても先生方の働き方にアプローチしていくべきでは?と考えております。
Q9.今後、manimoとスクペイをどのように発展させていきたいとお考えですか?
スクペイをご利用いただいている保護者数が25万人ほどとなっておりまして、スクペイを使っている保護者・学校の先生方だけではなく、子育て世帯の方への金融リテラシー向上にもアプローチしていきたいと考えております。
もちろんmanimoに関しても、より子育て世代の方にも浸透していけるような、サービスとしてのユーザー体験向上、価値提供をしていきたいと思います。
Q10.manimoとスクペイを通じて、「子どもたちや学校」と「お金との向き合い方」はどのように変わってほしいとお考えでしょうか?
子どもたちや学校でいうと、まずは先生たちの働き方を変えてほしいと思ってはいて、新しい教育を進んでやっていってほしいなと思っています。
それをスクペイを通じてできるというのが一番ベストかなと考えております。
また、お金との向き合い方に関しては、子どもたちが自分が育ってきた環境によって左右されないような向き合い方をしてほしいなと思っています。
子どもたちを取り巻く環境がどのようなものであっても、関係なくお金としっかりと向きあえるという環境を社会が用意するべきだとは思っています。
この課題に対し、社会の一員として、弊社の事業を通して良い方向に変えていくことができると自負しています。
株式会社MEME 齋藤氏のプロフィール
貿易会社にて、海外メーカーとの折衝、品質管理、輸入業務等を担当。新規事業の企画や金融セミナーの運営にも携わる。
2019年に株式会社エムズインクを創業。コロナ禍では事業を医療・健康用品の輸出入へと転換し、官公庁向けの納品を行う。
その後、自身の経験から、教育費の不透明さや金融教育の不足といった課題を実感し、2021年3月に株式会社MEMEを創業。
2022年には一般社団法人日本金融教育推進協会の理事に就任。